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第7話
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王宮の庭園――
そこでアデルは立ち尽くしている。
まるで人形になったかのように彼女は動かない。
ウォレスが詰んだ花を差し出すと、彼女は礼儀正しくお辞儀をした。
「ありがとうございます、ウォレス様」
「うん……」
アデルはずっとこんな様子だった。昔は快活で表情がくるくると変わる愛らしい少女だったのに、酷い変わりようである。ウォレスはそんなアデルを庭園のティーテーブルに着かせると、語り出した。
「あの襲撃事件で、僕は君が死んだとばかり思っていたんだ……。しかし賊から証言を得てアバルティエ伯爵家を調べ始めたら、幼馴染の君が侍女として働いているじゃないか……。本当に驚いたよ、君が生きているなんて……」
アデルはティーカップを見詰めたまま無言で頷いていた。
「僕は君が聡明だと知っていた……。見聞きしたことは絶対に忘れず、何だってこなせることを……。だから婚約者選びで、あんなことをさせたんだよ……。少しでも伯爵とマルチナへの復讐になると思ってね……」
ウォレスは心の中で悲しんでいた。囚われていたアデルを救ったら、元の彼女に戻るのではないかと期待していた。しかし彼女は伯爵家で見た通り、無感情のままだ。だが、そうなるのも無理はないとウォレスは自分に言い聞かせる。なぜなら両親を殺された挙句、その加害者に虐め抜かれていたのだから――感情が消えてもおかしくはない。
「復讐……?」
その時、アデルが唇を開いた。
「どうしたんだい? アデル?」
「復讐とは……一体何の復讐でしょうか……?」
ウォレスはアデルの目を見て、必死に語る。
「勿論、君の両親を殺し、君を苦しめた親子への復讐だよ! 僕は君のことだけを思って、行動していたんだよ!」
その言葉を聞くなり、アデルの手が震え始めた。
「で……ではウォレス様はあの親子を裁くための口実として私を利用したのではないのですね……? 私のことを思って、行動してくれていたのですね……?」
そこでアデルは立ち尽くしている。
まるで人形になったかのように彼女は動かない。
ウォレスが詰んだ花を差し出すと、彼女は礼儀正しくお辞儀をした。
「ありがとうございます、ウォレス様」
「うん……」
アデルはずっとこんな様子だった。昔は快活で表情がくるくると変わる愛らしい少女だったのに、酷い変わりようである。ウォレスはそんなアデルを庭園のティーテーブルに着かせると、語り出した。
「あの襲撃事件で、僕は君が死んだとばかり思っていたんだ……。しかし賊から証言を得てアバルティエ伯爵家を調べ始めたら、幼馴染の君が侍女として働いているじゃないか……。本当に驚いたよ、君が生きているなんて……」
アデルはティーカップを見詰めたまま無言で頷いていた。
「僕は君が聡明だと知っていた……。見聞きしたことは絶対に忘れず、何だってこなせることを……。だから婚約者選びで、あんなことをさせたんだよ……。少しでも伯爵とマルチナへの復讐になると思ってね……」
ウォレスは心の中で悲しんでいた。囚われていたアデルを救ったら、元の彼女に戻るのではないかと期待していた。しかし彼女は伯爵家で見た通り、無感情のままだ。だが、そうなるのも無理はないとウォレスは自分に言い聞かせる。なぜなら両親を殺された挙句、その加害者に虐め抜かれていたのだから――感情が消えてもおかしくはない。
「復讐……?」
その時、アデルが唇を開いた。
「どうしたんだい? アデル?」
「復讐とは……一体何の復讐でしょうか……?」
ウォレスはアデルの目を見て、必死に語る。
「勿論、君の両親を殺し、君を苦しめた親子への復讐だよ! 僕は君のことだけを思って、行動していたんだよ!」
その言葉を聞くなり、アデルの手が震え始めた。
「で……ではウォレス様はあの親子を裁くための口実として私を利用したのではないのですね……? 私のことを思って、行動してくれていたのですね……?」
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