1 / 6
第1話
「偽聖女アレクサンドラ! 貴様みたいな女との婚約は破棄する!」
王宮での舞踏会の宵、第一王子クライドが言い放った。
それを言われたアレクサンドラは顔を真っ青にしてお腹を押さえた。
彼女のお腹には赤ん坊が宿っている――しかしクライドはそれを嘘とみなした。
「ふん、最低な女だな、アレクサンドラ」
「なぜそんなことを申します……? お腹にはあなたの子が……!」
「馬鹿な! そういうところが最低だというのだ! 俺はお前と寝ておらん!」
そう告げると、アレクサンドラはその場に崩れ落ちた。
クライドはそんな彼女を一瞥すると、貴族達に向かって叫んだ。
「諸君、聞き給え! この偽聖女は寝所を共にしてもいないのに、俺の子を孕んだと言っている! そんな理由で俺を引き留めるとは何と卑怯な女だろう! よってここでアレクサンドラとの婚約は破棄し、俺はカサンドラと婚約する!」
カサンドラ――それはアレクサンドラの妹である。漆黒の髪と瞳をした生真面目なアレクサンドラとは対照的に、紅色の髪と瞳をした無邪気な性格の少女である。クライドは自分がいなければ生きていけないカサンドラに夢中だった。病弱なあまり外へ出られないところもいい。きっと浮気もすることもないだろう。
「そ、そんな……それで、カサンドラはどこなんです……!?」
「俺のカサンドラに危害を加える気じゃないだろうな!? あの子は別室で休んでいるが、お前はそこへ行くことは許されん! さらに聖堂へ戻ることも許さない!」
「なぜです……!? 私は聖女ですよ……!?」
「さっき俺が偽聖女といっただろう!? お前は妹のカサンドラから力を貰い、奇跡を起こしていたのだろう!? 全て妹から聞いたぞ!」
「あ、ああ……! そんな……!」
アレクサンドラは頭を振り、訳の分からないことを叫んで広間から去った。クライドはあえて追い駆けなかった。力のない女のことだ、何もできまい。このまま舞踏会が終わるまで放っておいてもいいだろう。
そんな様子を国王と王妃が悲しそうな目で見詰めていたことを、彼は知らない。
王宮での舞踏会の宵、第一王子クライドが言い放った。
それを言われたアレクサンドラは顔を真っ青にしてお腹を押さえた。
彼女のお腹には赤ん坊が宿っている――しかしクライドはそれを嘘とみなした。
「ふん、最低な女だな、アレクサンドラ」
「なぜそんなことを申します……? お腹にはあなたの子が……!」
「馬鹿な! そういうところが最低だというのだ! 俺はお前と寝ておらん!」
そう告げると、アレクサンドラはその場に崩れ落ちた。
クライドはそんな彼女を一瞥すると、貴族達に向かって叫んだ。
「諸君、聞き給え! この偽聖女は寝所を共にしてもいないのに、俺の子を孕んだと言っている! そんな理由で俺を引き留めるとは何と卑怯な女だろう! よってここでアレクサンドラとの婚約は破棄し、俺はカサンドラと婚約する!」
カサンドラ――それはアレクサンドラの妹である。漆黒の髪と瞳をした生真面目なアレクサンドラとは対照的に、紅色の髪と瞳をした無邪気な性格の少女である。クライドは自分がいなければ生きていけないカサンドラに夢中だった。病弱なあまり外へ出られないところもいい。きっと浮気もすることもないだろう。
「そ、そんな……それで、カサンドラはどこなんです……!?」
「俺のカサンドラに危害を加える気じゃないだろうな!? あの子は別室で休んでいるが、お前はそこへ行くことは許されん! さらに聖堂へ戻ることも許さない!」
「なぜです……!? 私は聖女ですよ……!?」
「さっき俺が偽聖女といっただろう!? お前は妹のカサンドラから力を貰い、奇跡を起こしていたのだろう!? 全て妹から聞いたぞ!」
「あ、ああ……! そんな……!」
アレクサンドラは頭を振り、訳の分からないことを叫んで広間から去った。クライドはあえて追い駆けなかった。力のない女のことだ、何もできまい。このまま舞踏会が終わるまで放っておいてもいいだろう。
そんな様子を国王と王妃が悲しそうな目で見詰めていたことを、彼は知らない。
あなたにおすすめの小説
ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜
嘉神かろ
恋愛
魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。
妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。
これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。
婚約破棄の上に家を追放された直後に聖女としての力に目覚めました。
三葉 空
恋愛
ユリナはバラノン伯爵家の長女であり、公爵子息のブリックス・オメルダと婚約していた。しかし、ブリックスは身勝手な理由で彼女に婚約破棄を言い渡す。さらに、元から妹ばかり可愛がっていた両親にも愛想を尽かされ、家から追放されてしまう。ユリナは全てを失いショックを受けるが、直後に聖女としての力に目覚める。そして、神殿の神職たちだけでなく、王家からも丁重に扱われる。さらに、お祈りをするだけでたんまりと給料をもらえるチート職業、それが聖女。さらに、イケメン王子のレオルドに見初められて求愛を受ける。どん底から一転、一気に幸せを掴み取った。その事実を知った元婚約者と元家族は……
だいたい全部、聖女のせい。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」
異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。
いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。
すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。
これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。
婚約破棄が私を笑顔にした
夜月翠雨
恋愛
「カトリーヌ・シャロン! 本日をもって婚約を破棄する!」
学園の教室で婚約者であるフランシスの滑稽な姿にカトリーヌは笑いをこらえるので必死だった。
そこに聖女であるアメリアがやってくる。
フランシスの瞳は彼女に釘付けだった。
彼女と出会ったことでカトリーヌの運命は大きく変わってしまう。
短編を小分けにして投稿しています。よろしくお願いします。
婚約破棄が国を亡ぼす~愚かな王太子たちはそれに気づかなかったようで~
みやび
恋愛
冤罪で婚約破棄などする国の先などたかが知れている。
全くの無実で婚約を破棄された公爵令嬢。
それをあざ笑う人々。
そんな国が亡びるまでほとんど時間は要らなかった。
婚約破棄された悪役令嬢はヒロインの激昂を目の当たりにする
蛇娥リコ
恋愛
婚約発表するはずの舞踏会で婚約破棄された悪役令嬢は冤罪で非難される。
婚約破棄したばかりの目の前で、プロポーズを始めた王子に呆れて立ち去ろうとした悪役令嬢だったが、ヒロインは怒鳴り声を上げた。
一回書いてみたかった悪役令嬢婚約破棄もの。
婚約破棄された悪役令嬢が聖女になってもおかしくはないでしょう?~えーと?誰が聖女に間違いないんでしたっけ?にやにや~
荷居人(にいと)
恋愛
「お前みたいなのが聖女なはずがない!お前とは婚約破棄だ!聖女は神の声を聞いたリアンに違いない!」
自信満々に言ってのけたこの国の王子様はまだ聖女が決まる一週間前に私と婚約破棄されました。リアンとやらをいじめたからと。
私は正しいことをしただけですから罪を認めるものですか。そう言っていたら檻に入れられて聖女が決まる神様からの認定式の日が過ぎれば処刑だなんて随分陛下が外交で不在だからとやりたい放題。
でもね、残念。私聖女に選ばれちゃいました。復縁なんてバカなこと許しませんからね?
最近の聖女婚約破棄ブームにのっかりました。
婚約破棄シリーズ記念すべき第一段!只今第五弾まで完結!婚約破棄シリーズは荷居人タグでまとめておりますので荷居人ファン様、荷居人ファンなりかけ様、荷居人ファン……かもしれない?様は是非シリーズ全て読んでいただければと思います!
「聖女らしくしろ」と婚約者たる殿下はおっしゃいますが
こうやさい
恋愛
「聖女らしくしろ」と婚約者たる殿下はおっしゃいますが、そもそもあなたにとっての聖女とはどんな存在なのでしょう?
ビッチとも逆ハーとも微妙に言いづらいし描写もないけど女性が複数人と同時期に関係持ってますので苦手な方はお気をつけ下さい。
ちょっといろいろ歪んでるなぁ、どんだけアレなんだよ殿下。そしてカテゴリここでいいんだろうか?
……マジで月曜更新の予定で日曜日の更新になってしまった件。
次何時になるだろう? 定期の方がむしろ忘れにくい?
ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。