お父様、お母様、わたくしが妖精姫だとお忘れですか?

サイコちゃん

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第4話

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 やがてわたくし達は貴賓室の椅子に落ち着きました。

 国王陛下と王妃殿下は泣くのをやめてくれましたが、ガチガチに緊張しているようです。一方、グラキエス様は優雅にお茶を飲みつつ語り始めました。

「この国は妖精の恩恵と加護によって成り立っています。作物が実るのも妖精の力、魔物が侵入しないのも妖精の力。だからこそ、国王陛下と王妃殿下はその妖精の姫であるあなたを心から恐れていたのです。その気持ち、ご理解頂けるでしょうか?」

 その言葉に、国王陛下と王妃殿下は激しく頷きます。

「その通り、儂は妖精姫様を恐ろしい方だと思っておりました……! その所為で、伯爵家の所業を知ることができず、大変申し訳なく思っております……!」
「ええ……! 姫様を苦しめた伯爵家の者達はすぐに処刑致しましょう……!」
「しょ、処刑!? いえ、それはしなくていいです!」

 そう言うと、お二人は不安げに顔を見合わせました。わたくしが国王陛下に手紙を書いたのは、伯爵家の方達を叱ってほしいなと思ったからでした。しかし処刑してほしいとは思っていません。

「やはりリリウム様はお優しい。まあ、処刑などしなくてもリジューレ伯爵家は勝手に破滅して野垂れ死ぬでしょうけどね」
「うむ……そう言われれば、そうだな……」
「考えてみれば、それもそうね……」

 グラキエス様の言葉に、国王夫妻は頷きます。確かに、わたくしが幸運を与えなくなった伯爵家は昔の状態に戻るでしょう。でももう手助けするつもりはありません。それより、自分の今後のことが気になります。

「あのう、話は変わりますが、わたくしに住む家を貸して頂けませんか?」
「住む家ですか……?」
「ここに住んで頂ければ……」
「宮廷ですか!? それはちょっと――」

 狼狽えていると、グラキエス様が提案しました。

「では、フェジョン公爵家の養女になるのはどうです?」
「ああ、あの公爵家なら安心だな」
「そうね、あそこなら信頼できるわ」

 わたくしは養女と聞いて、少し怖くなりました。

「で、でも……もう養女は……」
「大丈夫ですよ、リリウム様。フェジョン公爵夫妻は女の子が欲しくて養女を探していたところです。それにこれからも学園に通い続けるのでしょう? もしそうなら、公爵家に入った方が都合が良いはずです」
「確かに、学園には通い続けたいですね……」
「それでは、すぐに連絡致しましょう」

 そして彼は公爵家と連絡を取ってくれました。公爵夫妻は養女が妖精姫だと知り、とても喜んでくれたそうです。何だか上手くやっていけそうな気がします。



 こうしてわたくしはフェジョン公爵家の養女となりました。

 今まで通り学園へ通えるのね、と胸を撫で下ろします。



 翌日、元妹のロサが学園で問題を起こすとも知らずに――
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