この子、貴方の子供です。私とは寝てない? いいえ、貴方と妹の子です。

サイコちゃん

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第4話 王妃メルティアナ視点

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 王妃メルティアナは今、幸せの絶頂にいた。
 私はやりおおせた、王家に知られずに子を産んだ――
 自分は今、最も輝いている女性に違いないと悦に浸っていた。

 物心ついた頃から、彼女は姉を軽視していた。
 先に生まれた姉は出来損ないで、後に生まれた自分は神の申し子。
 そう思い込むようになるほど、両親は妹だけを可愛がった。
 それもそのはず、両親はメルティアナが自分達にそっくりだと見抜いていた。
 一方、気弱な姉は妹に何かあった時のための替え玉、道具であった。
 だからメルティアナは姉を思う存分、使ってやったのだ。

 妊娠に気付いた時、産むしかないと彼女は思った。
 なぜなら堕胎には医者の手が必要である。
 もし王子の婚約者が堕胎をしたと知れたら、お仕舞だ。
 かといって、闇医者に弱みを握られるのは絶対に嫌だった。
 では自分の手で堕胎してはどうか――いいや、それは危険だ。
 この大切な命を危険に晒すなんてことはしたくない。
 だから堕胎をするなんて選択肢はなかったのだ。
 そのため、メルティアナは姉を自分の代わりに仕立て上げた。

 問題は引き籠りの姉が上手く自分の替え玉を務められるかである。
 しかし姉からの報告によれば、上手くいっていたようだった。
 実際、入れ替わった今も、問題はほとんどない。
 彼女は満足気に頷く。

 それにしても、妊娠発覚から出産までの間、姉の振りをして家に引き籠っているのはとても辛いことだった。
 そんな中、両親はメルティアナをひたすら甘やかして、ご機嫌を取ってくれた。
 だからこそ、こうして今の自分があるのだ。
 両親は役目を終えた姉を赤ん坊と共に追い出してやったらしい。
 姉には惨めな人生がお似合いと、メルティアナはほくそ笑む。

 そんなことより、今の幸せに目を向けようと彼女は目を閉じた。
 国王アダムは金髪碧眼の美男子で、最高の相手だ――これ以上は望めない。
 自分はこの国で最も栄誉な女性の地位を手に入れたのだ。
 しかしどうやら国王は勘のいい男らしい。
 結婚前と何かが違うと、事あるごとに訴えてくるのだ。
 しかし優しく微笑むと、誤魔化されるので大したことはないのだが。

 それより問題なのは出産で傷付いた箇所と妊娠線だ。
 これを見られたら、すぐに経産婦だと知られてしまう。
 だから閨では明かりを落とし、決して見ないでほしいと頼んでいた。

 まあ、それも大したことではないとメルティアナは微笑む。
 なぜなら私は神に愛されし存在――失敗や落ち度などありはしないのだ。
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