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本編
5.よくあること
しおりを挟む結局、団長と大隊長が不在の間も大きな問題はなかった。
確かにスコール小隊長と数人の男性隊員から多少の嫌がらせはあったものの、私からすれば『よくある範疇』だった。
遺失物として届けられたと言って、春画集などいやらしい本のタイトルや内容を音読させられるとか、
複数人の敵に囲まれた場合の訓練と称して抑え込まれてまさぐられるとか、
男子トイレや男性用浴場の清掃を、利用者の多い時間帯に命じられるとかその程度。
・・・体を触られても上半身はコルセットでほとんど感触はない。下は無防備だがさすがに訓練中にあからさまに下半身を触ってくることはないので多少の我慢で済む。
トイレや浴場の清掃など、命じたスコール小隊長自身は楽しいかもしれないが、困っているのはむしろ、可愛くもない女に見られてしまう男性たちの方だ。彼らのほうが必死で隠しているので申し訳ない気持ちにしかならない。
さすがに音読は恥ずかしいが、これこそ入隊当初から日常茶飯事。実際にするわけでもないのに読ませて何が楽しいのか分からないが、なぜか多くの男性がこれをやらせたがる。
こんなことに慣れてしまっている自分が嫌になる。
嫌にはなるが仕方がない。
他には性的なものではなく、後ろから突き飛ばされるとか食事中に食べ物の上に虫やごみを振りかけられるなど、ここは子供の学校かと言いたくなるような嫌がらせをしてくる男性隊員もいた。たしかロクサム、と言ったかしら。
多分、彼はフォードン隊長を慕っているのね。ごめんなさい。
でも階級は私の方が上なのだけど、彼はそれを失念しているのかしら。
今程度のうちはまだいいけど、目に余るようならちゃんと注意すべきね。
そんな感じで、少し前までの日常だった日々を過ごしているうちに団長たちが戻ってきた。
何もなかったかとフォードン隊長が心配そうに尋ねてくれるけれど、ロクサムのことは彼の想いを思うと告げ口する気にもなれず大丈夫とだけ答えておいた。
バカだったな・・・。
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