異世界転移して戻ってきたけど、疲れきったおじさんになっちゃった元勇者が子連れで再召喚されたら総愛されになってしまった件について

鳥海あおい

文字の大きさ
8 / 25

7.食事+α

しおりを挟む
俺のキース---とテオ--のイメージは「ちょっと意地悪」である。
昔の双子にとっての俺はどっちかというとおちょくりの対象で、まだ高校生だった俺はからかわれてはむきになって噛みつく、という関係だったからだ。

だから早いとか、イかせたったとか…キースは絶対からかってくると思ったのに。
拍子抜けしていると、ガチャリと部屋の扉が開いて、シルヴァが入ってきた。

「うん、ゲッソリしていたのがだいぶ顔色がよくなってる。くまも消えてますね」

なりゆきとはいえエロいことをしてしまった事後のがバレないか心配な俺を尻目に、キースはしゃあしゃあと言った。

「回復魔法しっかりかけといたからな」

「じゃあ回復の次は食事ですね」

シルヴァは運んできたワゴンを指差した。
見ると美味しそうなあれこれ料理が並んでる。
シルヴァと入れ替わるようにキースがじゃあまた、と出ていってしまい、俺はシルヴァと二人きりになった。

「とりあえず色々持ってきたので、何でも好きなもの食べてくださいね」

「食欲ないんだ。俺、朝はほとんど食わないし。コーヒーと食べてもトーストくらいかな」

「こーひーととーすと?」

いかん、また異世界にないものを言ってしまった。

「いや、ちょっとしか食べないって意味」

シルヴァは微笑んだ。
ちょっと冷たそうな顔がすこしほころぶと、超絶美形の笑みの破壊力すごくて思わず目をそらす。
まばゆいっ!

「…ちゃんと食べないと体に悪いですよ。だって…」

ブドウ(っぽい)果物の皿を、シルヴァはワゴンからとった。
果物なら食べれるかも…と考えていたら、いきなり手首を掴まれてしまう。

「ほら、今のあなたなら片手で簡単にどうにかできる」
 
えっ!?と思った瞬間、ぐるりと視界がまわり、俺は両手首を掴まれたまま再びシーツの上にひっくり返されていた。
えっ、またこのシチュエーション?

「こんなに弱かったでしたっけ?」

「勇者チートがなくなったんだよ!今の俺は一般人」

勇者として呼び出された時は様々なチート能力が付与されていた。
これ、なんてラノベ?て感じで、見た目特に筋肉隆々でもないのに力が強かったり、怪我が治りやすかったり…あと光魔法が使えたりとか。
ちなみに、今回は残念ながらそんな能力は付与されてないようだ。
チートは勇者の時しかないのかもしれない?まだ来たばかりでしたことといえばぐーすか寝たのと、アレしかしてない。
どうなんだろ?

「それはそうとそろそろ離してくれないかな」

とりあえず、この体勢はちょっと嫌である。
が、シルヴァも細く見えるが、やはり騎士だけあってしっかり筋肉がついているし、動きのツボを抑えているのか、軽く掴まれているだけみたいな感じなのに、動くことができない。
シルヴァは俺の言葉を完無視すると、じいっと見下ろしてきた。

「クロエ、だいぶ面変り変わりましたね」

「そうかな。確かに背はかなり伸びたけど…そんな変わったかな?」

「とりあえず、食べて元気にならないと。召喚されてきた時の気だるくて物憂い感じも蠱惑的でしたけど…また何回か回復魔法もかけてもらったほうがよいですね」

シルヴァの赤みを帯びた唇の両端が上がり、笑みの形に弧を描いた。
思わず見とれているとブドウが口に押し込まれ、俺は反射的に咀嚼した。

「美味しい」

あまいくて美味しい。

「よかった。もっとちゃんと食べて」

つられるよいな何度かブドウを食べさせてもらってしまってから、あれ、何でこんなことになってるんだっけ?と、我にかえる。
俺はシルヴァを見返した。
紫色の瞳に、今までみたことのないような色が浮かんでいて、ちょっと不安になる。

「で、そろそろ放してもらってよいかな?子供じゃないから自分で食べれるって」
       
「確かにもう子供じゃないですよね」

シルヴァがブドウの皿をサイドテーブルに置いた。
と思ったら。

不意に口を唇で塞がれた。

(またこの展開~!!)

俺は心の中で叫んだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる

クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

転生悪役弟、元恋人の冷然騎士に激重執着されています

柚吉猫
BL
生前の記憶は彼にとって悪夢のようだった。 酷い別れ方を引きずったまま転生した先は悪役令嬢がヒロインの乙女ゲームの世界だった。 性悪聖ヒロインの弟に生まれ変わって、過去の呪縛から逃れようと必死に生きてきた。 そんな彼の前に現れた竜王の化身である騎士団長。 離れたいのに、皆に愛されている騎士様は離してくれない。 姿形が違っても、魂でお互いは繋がっている。 冷然竜王騎士団長×過去の呪縛を背負う悪役弟 今度こそ、本当の恋をしよう。

喪女なのに狼さんたちに溺愛されています

和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です! 聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。 ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。 森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ? ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。

処理中です...