尽くしすぎの僕がスパダリに会ってざまぁして幸せになるまで。

鳥海あおい

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続★ざまぁされた俺(バリタチ)がネコにされてしまいヒンヒンいわされてまう話。①

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俺は黒木晃司(34)、バリタチのゲイ。
会社員である。

大事だから二度言うが、バリタチである。

先日2丁目のゲイバー「KANNA」で愚痴っていてかなりしつこくクダを巻いてしまい、何故かママのカンナに犯られる羽目になってついヒンヒン鳴かされてしまった。
だが、あくまで俺はバリタチである。
つまり、あれは事故みたいなものなのだ。

 
そんなことがあったので俺は「KANNA」に行くのが気まずくなってしまい、新しい行きつけのお店を探すべく、しばらく他のお店を放浪していた。
しかし「KANNA」ほど雰囲気がよくて、フードが美味しくて、アルコールの種類が多くて、落ちついていて、楽しいお店はなかなかない。
つまり俺は「KANNA」をめちゃくちゃ気に入ってたのである。
だからなかなか俺はケツが定まらぬまま、あっちのお店、こっちのお店と2丁目をウロついていた。


*

「よぉ、クロ!」

今日なんとなくはいったショットバーでチビチビとビールを飲んでいた俺は、知った顔に声をかけられて顔を顰めた。
聞こえなかったふりをしようと思っていたら、馴れ馴れしく腕を肩にまわされてしまう。

「やめろよ」

「そんな事言うなよ、穴兄弟だろ」

ニヤニヤしながら言っているのは元恋人である佐伯涼…の、俺の2個前の元彼である。
佐伯涼は平凡を絵に描いたような男であるが、倒見のよい男で「いい男育成マシーン」と揶揄されるぐらい付きあった男がアゲチンされてしまう不思議な奴である。

最近パートナーとくっついたのだが(それはまた別の機会、別の話にて…という感じだが)とにかく、この男も確かしがないプータローだったのに、今やなにやらモデルになったとか聞いた気がする。
確かに背は高いし、ハーフらしく、見た目だけはなかなかカッコよい。

名前は…

「カネダだっけ?」


「カネコだよ!」 


言うと、カネコは俺の横にすべり込んできた。

「聞いたよ」

「なにが」

「ネコ転したんでしょ?」

「してねーよ!!」

俺は思わず大きな声を出してしまい、バーテンに冷たい目を向けられてしまう。
前回、カンナにヤられた時、途中までまな板ショー状態だったため、事態の一部始終は尾鰭背鰭がついてあっと言う間に2丁目界隈に中知れ渡ってしまった。
ただでさえ俺が涼をひどい捨て方をして元々ヒソヒソされていたため、リアル「ざまぁ」じゃん?とまことしやかに言われているのだったが、それをおもしろがって直接言ってくる奴らがいるのだ。

「カンナにヤられたんだろ?どうだった?」

「……」

「ちんぽでかかった?」

耳元で囁かれて思わず横を向くと、ヤツのなかなかかっこいい顔が間近にあってぎょっとする。

「いいかげんにしろよ」

なぐってやりたい気持ちをこらえながら恫喝し、立ち上がった。
ここを選んだことを後悔しながら店を出るとヤツも何故かついてきたので、じろりと睨む。

「ついてくんな」

「俺も、こっち」

チッと舌打ちすると、グイッと暗い路地にひっぱられた。思ったより力が強くて、振りほどこうとしているうちに非常階段みたいなところに連れ込まれてしまう。

またか。

と、俺は思った。
鼻持ちならないタチ專がちんぽくらわされてネコになったという噂話は、性欲と暇と好奇心に溢れたクズの気をひくには充分だったらしい。
何回かこれに近い目にあったが俺はガタイもいいほうだから、抵抗の素振りを見せれば今まではそれ以上はされることさなかった。だが、目の前の男は俺よりも背が高く、ガタイがよい。

俺は刺激しないようになるべく冷静に言った。

「やめろよ。お前モテんだろ?俺なんて」

「そういうとこがたまんねーんだわ」

カネコは舌なめずりせんばかりで俺のケツを撫で、腰をがしっとつかむ。

「動揺してるの隠して強がってるのもかわいいし」

もう片方の手が俺の顔を掴み、目元を探る。

「この泣きぼくろもエロいっておもってた」

俺はその手をはらった。
この泣きぼくろは自分の顔で大嫌いな部分である。

「他をあたれよ。俺はネコじゃねぇ」

「あんたがちんちん入れられてヒーヒーよがってるの想像したらたちそう」

耳元でささやかれるとイラッとする。
そもそも穴兄弟でヤりたいなんて悪趣味すぎる。

「バカ、死ねよ。テメーがネコになるから考えてやんよ」

俺が拳を握ると、ごめんごめん冗談、とカネコはにこやかに手を放した。
簡単に開放されて一瞬ぼーっとしたが、俺は舌打ちして路地から出た。
しばらく2丁目界隈にいくのはやめよう、と思った。


それからしばらくは飲みに行かずにいた。
とはいえ、性欲のほうはマッチングアプリで知りあった子とワンナイトしてみたり、セフレと遊んだりして適当に解消して過ごしていた。
ネコの味を知ってしまったら勃たなくなるなんて話を聞いたので内心不安だったが、そんなことはなかったので俺は大いに自信を取り戻しつつあった。

さて、とある金曜日の夜のことである。
アプリで知り合い一回セックスした関係のサトルと、俺は久しぶりの2丁目に足を踏み入れていた。
東北出身で上京してきたばかりというサトルは白くてモチ肌のかわいい顔をした青年である。
正直ワンナイトで終わらせず、付き合えたらよいなという下心があった。

で…

「2丁目行ったことがないから行きたいんです~」

と頼まれたら、嫌とは言いづらかった。
とりあえず「KANNA」にいかなければなんとかなるだろう、と。


その時そんな風に楽観的に考えてしまった俺を…時間を巻き戻せたら100回くらいぶん殴ってやりたい。
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