尽くしすぎの僕がスパダリに会ってざまぁして幸せになるまで。

鳥海あおい

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スパダリな俺は尽くす系恋人に黒い秘密を墓場まで持ってゆく。

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白石純一。 
資産家ランキング10指に入る日本有数の若手実業家と人は言う。
アメリカ在住時に友人たちとたちあげたアプリ開発会社が当たり、その会社を売った利益で日本でECサイトのシステム開発会社から始め、会社が大きくなった現在ではインターネット全般の業務などに関わり業績を伸ばしている。


---そんな飛ぶ鳥を落とす勢いの俺であるが、はじまりはというと落ちこぼれである。
集団生活の苦手な俺は、小学校時代は変な子扱いだった。
先生の話は聞けない、小さなことにこだわってしまう、動かない、一方で教室をとびだす、そしてなにより漢字がかけない…要するに今でいう「配慮が必要な子供」であったのだ。
今でこそ世の中がかわって理解や対策が進んでるが、なにせ昔である。
俺は変わった子、落ち着かない子扱いをされ、小学校の先生たちには嫌われたり疎外されたりすることが多かったが、そんな時に現れた天使が佐伯涼であった。
涼は面倒見のよい子供で、めんどくさがらず俺を受け入れ、助けてくれた。声をかけてくれたり、こまったときは一緒に考えてくれたり、そういう些細なこと、決して見捨てられないという安心感は子供心に本当に嬉しいことだった。
ただひとりでもそのままで受け入れてくれる人がいる、という安心感は他のものに代えがたいものであった。
中でも先生に罵倒されて泣いてたときに
「できないからこそ人より努力する余地があるから、絶対無駄じゃない…ってお母さんが言ってた」と言ってくれて、それが本当に心に響いた。
できない分人より努力する…
苦手な事が多いことことがむしろ能力だと思ってその分人より頑張ることが、俺の人生の指針になった。
小学校卒業を期に親の転勤でアメリカに渡ったのだが、アメリカの実力主義と個人主義も俺にあっていたのも成功の理由だと思う。
成長とともに自分がゲイというのはわかってきたが、どうしても相手のボトム(ネコ)を物色するときに涼の面影を探してしまう自分に気づいて、涼が初恋だったことに気づいて胸を焦がした。

…とかなり初恋を拗らせていたわけだから、まあまあな金持ちになって日本に凱旋的に帰国した俺がまずはじめに調べたのが涼のことだったのは仕方ないだろう。
なんと、涼が同じゲイだったというのは一番喜ぶべきことであった。
女と結婚してしまい子供が生まれてしまったりしたら、かなりの確率でどうにもならない。仲の良い元同級生のポジにしかなれないだろう。
だがゲイなら。結婚で縛り合うことが出来ない分、分がある。もちろん男同士でも強い絆で結ばれている恋人同士もいるが、そういうパートナーに出会えることはしょっちゅうあることではない。
というわけで、俺は定期的に涼の周りを調べて綻びを探った。もはやストーカーである。期を待つのは得意であるのだが、涼が優しくてまめなせいか別れてもすぐ次の恋人ができてしまうので、なかなかチャンスがない。
だが、涼の行きつけのゲイバー「KANNA」にこそこそ通い、カンナママと仲良くなったのは俺にとって大きな収穫だった。
 



「白石くん、おはよう!」
朝から天使の声がして、俺は幸せな気分で目がさめた。
コーヒーと焼き立てのパンの幸せな香りが鼻孔に漂ってきている。幸せのにおいだ。
「おはよ、涼」
今、恋人同士になった俺と涼は涼の家で一緒に同棲生活をしている。
俺の家で、といったけど広すぎて落ち着かないんだそうだ。涼の家は2DKのマンションだから広くはないが、肩を擦り寄せるように暮らすのもなかなか幸せなことだった。
「シャワー浴びる?用意してあるよ」
そういうので見ると、タオパンパ(注;オカン的タオル、パンツ、パジャマ3点セットである)がぴしっと畳まれておいてあった。
「…こういうの、しなくていいよ?」
「でも、してあげたくて」
うん、いい男育成マシーンだけどダメ男育成マシーンでもあるよね。
これを毎日してもらって当たり前になってしまった男たちが生活をともにする恋人としてだめ人間になってゆき、思いあがってしまう理由はわかる気がする。
「俺も涼にしてあげたいから」
寝転がったまま引き寄せてギュっとする。
「してあげてもよい?」
「…」
涼は赤くなり時計を見た。
「そんな、聞かないでよ…」
もう何度も抱きあっているのにいちいち恥じらうのにグッとくると同時に、股間のほうもグッと臨戦態勢になってしまったのがわかった。
「一回だけ…」
甘えるように言ってキスすると涼は体を預けてきた。きっちり着ていたシャツのボタンを外し、さらされる肌にキスし、所有印を残してゆく。肌が白いから赤い跡が本当に映える…と思いながら、すべらかな肌に指を這わせる。
「白石くん、見えるとこは、跡、だめ…」
羞恥心ゆえか声をおさえるのがいじらしくて、思わずもっと声を出させたくなる。
涼の手が俺の股間によりそってきたが、俺はその手を抑えた。
「駄目。今日は尽くさせて。タオパンパのお礼」
鎖骨を強く吸い上げると身悶えするのが可愛くて、感じてぷくりとふくらみを増しはじめた乳輪と肌の狭間や、脇腹など際どい快感を生むところを愛撫しながらスラックスの前に手を差し入れる。
濡れて勃ちあがった前の先端はもうびしょびしょに濡れていた。
「…あとで着替えないとね。染みてる」
「やだ!そんな言わないで」
ぬるぬると先端の部分をいじめてから括れた部分を触れるか触れないか優しく触れてやると、さらに汁が溢れて俺の手を濡らした。
「あっ、それ気持ち良すぎてだめ…」
感じやすく俺の愛撫に素直な体にうれしくなる。
今は俺だけのものになった孔は、昨日の夜もしたからというのもあるが、柔らかく開いて俺の指を受け入れ、そしてすり寄り懐いてくる。
入れているのは指なのに、まるでペニスを入れているかのような快感と陶酔があった。
「…ああ、んー、…白石くん、もう入れて…」
恥ずかしそうに強請るさまに、脳みそが爆発しそうになりながら俺はゴムをつけてゆっくりと自分のそれを差し入れた。
ぴったりとそれを埋め、そこが埋まると本当に涼と一つになれたような気がした。
「涼の中暖かくて、気持ちいい…」
心も体も満たされて、本当に涙が出そうなほどに幸せな瞬間、こうしていられる奇跡を噛みしめる。
あるのが当たり前でない。
大切にしないとと気持ちを引き締める瞬間であった。
「ずっとこうしていたいね」
「ずっとこうしてちんちん入れてたい?」
「ばか!…でもほんと幸せ…」
くだらない枕話に怒りながら恥ずかしがる涼にキスをたくさんしながら、幸せだなと感じた。
いつまで同じ気持ちでいれるかわからないが、ずっと同じ気持ちでいたい。そのために努力をしなければ。




…色々な努力を。





「あんたってさぁ、なかなか黒いわよねぇ~」
『白』石のくせにさぁ、と、ママがタバコをふかしながらいった。なかなかうまいことを言うなあと感心してしまう。
ゲイバー「KANNA」のカウンターに座り、俺とママはコソコソと話していた。
週末のバーはなかなか混み合っていて、涼は久しぶりに会ったらしい知り合いと話しにいってしまっていない。でなければこんな話ができようはずがない。
「…でもママだって俺のおかげで漁夫の利したでしょ?」
「まあね。でも粘着質な男はこわいわぁって思ったわよね」
だって、全部仕込んだんでしょ?とママは言った。
涼の元彼が俺の会社に転職したことも。
涼の友人が元彼にちょっかいかけるように人を使ってそれとなく唆したのも。
あの日、カウンターに俺がいたのも。
計算づくだもんね。
俺はしーっ、と指を立てた。
これは秘密。
涼は絶対に言えない秘密だ。
「言わないわよぉ。それにしてもワルねぇ。まあ嫌いじゃないケド」
「ありがとう。涼にバレたらやばいな」
「涼チャンなら最後には許してくれそうだけどね」
あはは、とママは笑った。
「怖いけど、それだけ愛されたら幸せかもね」


涼は何でも受け入れる。
だからこそ俺はこんな俺を涼に見せたくない。
俺はこの秘密を墓場まで持ってゆくつもりだ。
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