20 / 33
20 高松先輩1(先輩/39歳)
しおりを挟む結城にも、それを拒否する権利はある。
普段は言わない結城も、人によってはそういう場合も、無きにしも非ず。
仕事中、誰かがそろりと結城の背後に忍び寄り、グワシッと両手でそのムッチリとした尻を掴んだ。
ビクッとした結城は後ろを振り向き、ニコッと笑った。
「高松先輩、どうしました?」
「よお、結城。調子はどうだ?」
ムギュッ、ムギュッ
結城の尻を揉みながら言う先輩の高松に、近くで作業をしていた後輩の近藤太一はギョッとした目でそれを見ていた。
ニイッと思い切り笑顔な高松が、ニコリと微笑む結城の尻を両手で鷲掴み、揉み込んでいるシュールな絵面に、近藤の顔が赤くなったり青くなったりしている。
(何してんだ高松先輩!!羨ましい!!……違った!!何て罰当たりなっ!!)
近藤はオロオロしながらその様子を傍で眺め、目の前の二人は笑い合ったまま動かない。
普段の結城であればそのような時、笑って楽しそうに会話をするところだが、高松に至っては少し違った。
何やらゴゴゴゴゴッと結城の背後から、真っ赤な炎が見えたような気がするのは何故だろうか。
高松は微動だにせず、ニイッと楽し気に笑っているだけ。
すると結城がパッと高松の手を払い、少し小さな声で囁くように言った。
「駄目、ですからね」
「えーっ、何でだよ?」
「…先輩は、駄目、です」
「何だよ、それー」
ニコッと笑い、結城はその場を去った。
近藤は去っていく結城と、近くで佇む高松を交互に見ていたが、ハッとしたように早足で結城の方へ向かった。
残された高松は笑みを深め、ハハッと笑っていた。
結城と近藤は仲良く昼飯を食べていた。適当な場所で適当に座り、結城の弁当のおかずを分けてもらいながら、ゆったりしている。
先程の事が気になり、近藤は迷った末、興味が勝ってしまい、結城に尋ねてみた。
「結城さん、気になることがあります!!」
「何かな?」
「さっきの高松さんの事ですけどっ」
「うん?」
結城はのんびりと缶コーヒーを飲みながら、近藤の顔を見た。
先程、結城の背後に見えた炎は幻だったのか、今は可愛いお花がたくさん見える。
ゴクリッ、と喉を鳴らし、近藤は口を開いた。
「何が、駄目なんですか?」
「…んんー、ん。あの人はねえ、痛いんだよー」
「え、痛いって…、何が?」
「エッチ」
「………え、っち?」
「うん、エッチ」
ポカン、として近藤は結城の顔を見た。今の言葉を何度も頭の中で反芻し、よく考えてみる。
エッチ、エッチ、エッチ、そう、エッチ。いや、エッチとは?
何度も考え、導き出された答えはこちらの方のエッチ。つまり、セックスだった。
近藤は真剣な顔で結城を見て、静かに口を開いた。
「結城さん、まさか、高松さんに何か酷い事されたんですか?もしそうなら、俺、許せませんっ」
あまりにも強張った顔をする近藤に、結城が笑いながら手を振った。
「あははっ、そうじゃないんだよ。痛いのは暴力とかそんなんじゃないって」
「本当ですか?」
「うん、本当本当」
「…むむっ」
結城の言葉に、納得いかないような顔でムスッとしている後輩に、結城は嬉しそうにニコニコしながら、手の平を近藤の頭に置いた。
「へっ!?な、何ですかっ」
「ん~」
近藤の頭を撫でながら、結城は何も言わず笑っている。
しばらく口を閉じていた近藤だったが、照れたように視線を逸らし、小さな声で恥ずかしそうに結城に言った。
「結城さん、何かあったら言ってくださいよ。俺、結城さん好きですから…」
「ん?」
あまりよく聞こえなかったらしく、結城は首を傾げながらニコッと笑顔を向けた。
一瞬にして顔がボワッと真っ赤になり、慌てて近藤は立ち上がった。
「そ、そろそろ昼休憩終わりますねっ、おおおっ、お先にっ!!」
「うん」
走って作業に戻っていった近藤にクスッと笑い、結城も歩き出したのだった。
仕事が終わり、結城は家路をのんびりと歩いていた。
もう外は真っ暗で、道路には所々で街灯がチカチカと光っている。
自身の暮らすアパートが視界に入り、顔を上げた結城はその視線の先に見えた人物を見て、ニコッと笑った。
「高松先輩」
「よお、遅かったな。待ちくたびれたぜ~」
ニィッと歯を見せて笑う高松に、結城もニコッと笑った。
高松は結城に近付き、両手を伸ばす。
ムギュッ、ムギュッ
「先輩は俺の尻がお気に入りですか」
「おう、めちゃくちゃイイ尻だぞ、これは。適度な弾力と厚みが好みだぜ」
大きな手の平で結城の尻を揉みながら楽しそうにしている高松に、結城は笑顔でされるがまま、尻を揉みまくられている。
嫌がるでもなく、喜んでいるわけでもない。
結城は高松の背後に見える、自身の住むアパートを見ながらそっけなく返事をした。
「そうですかそうですか」
「んん~?何かちょっと面倒くさそうな顔してねえか?」
「どちらかというと先輩は面倒くさいですねぇ」
「何だよ連れねえなあ。お前、いつも俺にだけ冷たくね?」
「そんなことないですよー」
適当に返事をしている結城に、高松は不満気だ。しかし、しっかりと尻は揉み続けている。
外は暗く、寒い。結城は高松に視線を向けた。
「先輩、俺の部屋は壁が薄いんです。あんまり騒ぐと迷惑になりますよ」
「そんなことわかってるって。だから迎えに来たっての」
「どうせ、そんなところだと思ってました」
「わかってんならさっさと準備して来いよ」
「お風呂…」
「俺んちで入れ」
「…せっかちなんだから」
「早くしろー」
高松は結城を迎えに来たらしい。急かすように結城の背中を押し、アパートへと戻らせる。
結城は困ったように笑い家に戻ると、数分後、服を着替えて出てきた。
「腹減ったから、ちょっとどっかで食っていこうぜ」
「奢ってくださいね」
「へいへい」
二人は並んで歩く。
高松は始終ウキウキしたように結城に話しかけ、結城は笑顔で適当に相槌を打っているようだ。
そして、辿り着いたのは高松の住むマンション。二人は静かに部屋へと入っていった。
10
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる