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20 高松先輩1(先輩/39歳)
結城にも、それを拒否する権利はある。
普段は言わない結城も、人によってはそういう場合も、無きにしも非ず。
仕事中、誰かがそろりと結城の背後に忍び寄り、グワシッと両手でそのムッチリとした尻を掴んだ。
ビクッとした結城は後ろを振り向き、ニコッと笑った。
「高松先輩、どうしました?」
「よお、結城。調子はどうだ?」
ムギュッ、ムギュッ
結城の尻を揉みながら言う先輩の高松に、近くで作業をしていた後輩の近藤太一はギョッとした目でそれを見ていた。
ニイッと思い切り笑顔な高松が、ニコリと微笑む結城の尻を両手で鷲掴み、揉み込んでいるシュールな絵面に、近藤の顔が赤くなったり青くなったりしている。
(何してんだ高松先輩!!羨ましい!!……違った!!何て罰当たりなっ!!)
近藤はオロオロしながらその様子を傍で眺め、目の前の二人は笑い合ったまま動かない。
普段の結城であればそのような時、笑って楽しそうに会話をするところだが、高松に至っては少し違った。
何やらゴゴゴゴゴッと結城の背後から、真っ赤な炎が見えたような気がするのは何故だろうか。
高松は微動だにせず、ニイッと楽し気に笑っているだけ。
すると結城がパッと高松の手を払い、少し小さな声で囁くように言った。
「駄目、ですからね」
「えーっ、何でだよ?」
「…先輩は、駄目、です」
「何だよ、それー」
ニコッと笑い、結城はその場を去った。
近藤は去っていく結城と、近くで佇む高松を交互に見ていたが、ハッとしたように早足で結城の方へ向かった。
残された高松は笑みを深め、ハハッと笑っていた。
結城と近藤は仲良く昼飯を食べていた。適当な場所で適当に座り、結城の弁当のおかずを分けてもらいながら、ゆったりしている。
先程の事が気になり、近藤は迷った末、興味が勝ってしまい、結城に尋ねてみた。
「結城さん、気になることがあります!!」
「何かな?」
「さっきの高松さんの事ですけどっ」
「うん?」
結城はのんびりと缶コーヒーを飲みながら、近藤の顔を見た。
先程、結城の背後に見えた炎は幻だったのか、今は可愛いお花がたくさん見える。
ゴクリッ、と喉を鳴らし、近藤は口を開いた。
「何が、駄目なんですか?」
「…んんー、ん。あの人はねえ、痛いんだよー」
「え、痛いって…、何が?」
「エッチ」
「………え、っち?」
「うん、エッチ」
ポカン、として近藤は結城の顔を見た。今の言葉を何度も頭の中で反芻し、よく考えてみる。
エッチ、エッチ、エッチ、そう、エッチ。いや、エッチとは?
何度も考え、導き出された答えはこちらの方のエッチ。つまり、セックスだった。
近藤は真剣な顔で結城を見て、静かに口を開いた。
「結城さん、まさか、高松さんに何か酷い事されたんですか?もしそうなら、俺、許せませんっ」
あまりにも強張った顔をする近藤に、結城が笑いながら手を振った。
「あははっ、そうじゃないんだよ。痛いのは暴力とかそんなんじゃないって」
「本当ですか?」
「うん、本当本当」
「…むむっ」
結城の言葉に、納得いかないような顔でムスッとしている後輩に、結城は嬉しそうにニコニコしながら、手の平を近藤の頭に置いた。
「へっ!?な、何ですかっ」
「ん~」
近藤の頭を撫でながら、結城は何も言わず笑っている。
しばらく口を閉じていた近藤だったが、照れたように視線を逸らし、小さな声で恥ずかしそうに結城に言った。
「結城さん、何かあったら言ってくださいよ。俺、結城さん好きですから…」
「ん?」
あまりよく聞こえなかったらしく、結城は首を傾げながらニコッと笑顔を向けた。
一瞬にして顔がボワッと真っ赤になり、慌てて近藤は立ち上がった。
「そ、そろそろ昼休憩終わりますねっ、おおおっ、お先にっ!!」
「うん」
走って作業に戻っていった近藤にクスッと笑い、結城も歩き出したのだった。
仕事が終わり、結城は家路をのんびりと歩いていた。
もう外は真っ暗で、道路には所々で街灯がチカチカと光っている。
自身の暮らすアパートが視界に入り、顔を上げた結城はその視線の先に見えた人物を見て、ニコッと笑った。
「高松先輩」
「よお、遅かったな。待ちくたびれたぜ~」
ニィッと歯を見せて笑う高松に、結城もニコッと笑った。
高松は結城に近付き、両手を伸ばす。
ムギュッ、ムギュッ
「先輩は俺の尻がお気に入りですか」
「おう、めちゃくちゃイイ尻だぞ、これは。適度な弾力と厚みが好みだぜ」
大きな手の平で結城の尻を揉みながら楽しそうにしている高松に、結城は笑顔でされるがまま、尻を揉みまくられている。
嫌がるでもなく、喜んでいるわけでもない。
結城は高松の背後に見える、自身の住むアパートを見ながらそっけなく返事をした。
「そうですかそうですか」
「んん~?何かちょっと面倒くさそうな顔してねえか?」
「どちらかというと先輩は面倒くさいですねぇ」
「何だよ連れねえなあ。お前、いつも俺にだけ冷たくね?」
「そんなことないですよー」
適当に返事をしている結城に、高松は不満気だ。しかし、しっかりと尻は揉み続けている。
外は暗く、寒い。結城は高松に視線を向けた。
「先輩、俺の部屋は壁が薄いんです。あんまり騒ぐと迷惑になりますよ」
「そんなことわかってるって。だから迎えに来たっての」
「どうせ、そんなところだと思ってました」
「わかってんならさっさと準備して来いよ」
「お風呂…」
「俺んちで入れ」
「…せっかちなんだから」
「早くしろー」
高松は結城を迎えに来たらしい。急かすように結城の背中を押し、アパートへと戻らせる。
結城は困ったように笑い家に戻ると、数分後、服を着替えて出てきた。
「腹減ったから、ちょっとどっかで食っていこうぜ」
「奢ってくださいね」
「へいへい」
二人は並んで歩く。
高松は始終ウキウキしたように結城に話しかけ、結城は笑顔で適当に相槌を打っているようだ。
そして、辿り着いたのは高松の住むマンション。二人は静かに部屋へと入っていった。
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