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01 田中先生(英語教師/40歳) ドライオーガズム、小スカ、前立腺責め
しおりを挟む東条明寿が自身の能力に気付いたのは小学校三年生の頃だった。 物心ついた時にはそれが当たり前のことだと思っていたし、不思議にも思わなかったのだ。
それが特別な力だと初めて感じたのは中学生に上がってからだった。
中学校一年生の夏、明寿は生まれて初めて恋をした。 一目惚れだった。 その人を一目見た瞬間好きになってしまったのだ。 しかもその相手というのは年上の男だった。
そう、明寿は生粋のゲイだった。 身長は高校生になった現在185センチあり、クラスメイトの中でも顔はいい方である。 男女共学なため生徒の半分は女子だ。 明寿の性格はとても付き合いやすく、面白い。 成績もかなり上の方で運動神経も抜群だ。 だから校内のマドンナ的存在の美女から告白されたこともあった。 しかし明寿にはそんな美女であったとしても心は微塵も動くことはなかった。 はじめから女には興味がないのだ。
明寿の中で女はみんな同じに見えている。 太っていても痩せていても美人でも不細工でも、女は女。 だから明寿の女子に対する態度は皆に平等なのだ。 それがまた皆から好感をもたれる要因なのかもしれない。 明寿からしてみれば女子と話をするという行為は本当にどうでもいいことだった。
今日も明寿はこの能力を思う存分発揮する予定だ。 この能力を自覚して今まで一度も力が衰えたことはなかった。 むしろ心と体が成長するにつれてこの能力も強くなっているように感じていた。
明寿には超能力がある。 中でも得意な催眠は自然な動作で相手の心の隙間に入り込み操る力で、対象になった者を見つめるだけでその力は発揮される。 本来、催眠というものは相手の目を見て初めて効果が出るものだが、明寿の催眠はただ相手を見るだけ。 視線が合わずとも催眠は思うが儘なのだ。
他にも軽いものであれば動かしたり、心を視たり。 能力は少しずつ力を増し、その種類も多いのである。
「…あ、次の授業は英語か。 ということは田中先生だな」
明寿は嬉しそうにクスリと笑った。 英語教師の田中先生は明寿のお気に入りだ。 今年四十歳になると聞いているが、その容姿は独身なせいもあるがとても若い。 年齢を知らなければ二十代と言われても不思議に思われないだろう。
田中先生は明寿がこの春、催眠による洗脳を始めたばかりの男である。 じわじわと心を奪い、最終的には体も手に入れようと思っている。
そうこうしている間に授業開始のベルが鳴り出した。 ざわざわとクラスの中は騒がしいが、田中先生がやってくれば室内は少し静かになった。
「よーし、授業を始めるぞー。 今日はえー、…122ページからだな。 と、その前に課題を出していたな。 確認するから順番にノートもってこーい」
『はーい!!』
この田中先生という者はとても気さくで、生徒達からも結構好かれている。 容姿も整っており、いつも服装はキチリとしたスーツを着ている。 痩せ型であるがガリガリではなく筋肉は引き締まっており、とてもセクシーだ。
明寿のお気に入りは後姿から見える小ぶりな尻だ。 スーツ越しに見える小尻は形もよく、プリッとしているのがわかる。
(ふふっ…、今日も少し遊ばせてもらいますよ田中先生)
生徒達が順番にノートを見せていく様子を見ながら明寿は意識を集中させ、椅子に座った田中先生の後ろの入口に力を送る。 すると田中先生は一瞬、ピクッと体を震わせた。 本人も気付かないほどの一瞬の震えだった。
明寿はクスリと笑い、力を注ぎ込む。
「…っ、…?」
「先生どうしたんですか?」
「あ、…いや、何でもない。 さて、チェックするからノート見せて見ろ」
「はーい」
女子生徒のノートをチェックしながら田中先生の表情が少し強張っているように見える。 明寿は楽しそうに田中先生を見る。
今、田中先生の後ろの入口には微弱な振動が伝わっている。 それは本当にとても弱い振動で、感覚としては少し痒く感じるくらいだろう。 明寿は目を閉じて田中先生の思考を読む。
(…何だ? 少し肛門が痒いような気が… …き、気のせいか…?)
田中先生はもぞりと下半身を一度捩り、再びノートに視線を向けた。 本当に痒いような痒くないようなといった刺激なため、田中先生は気にするのをやめた。
すると明寿は再び神経を集中させ、今度は胸の先端、乳首へと力を送り込んだ。 肛門と同様、ごくわずかな振動で田中先生の乳首を震わせているようだ。 やはりそれも少し痒みを感じる程度のもので、田中先生は表情一つ変えない。
明寿は続けてペニスの先端にある尿道口にも同じことをした。 そして口内、腋、臍、背中、腰、足の裏、手の平、と次第にその刺激は全身へと送られるようになる。
「…ぁ、…っ……」
すると、田中先生が口から小さく声を漏らした。 顔を見れば少し赤いような気がするし、目も潤んでいるような感じだ。 小さな刺激も全身に渡ればそれ相応の効果が発揮されるということだろうか。
もぞもぞと体を動かし始めた田中先生の様子に目の前にいる女子生徒が首を傾けた。
「先生?」
「!! …ああ、…悪いが職員室に配ろうと思っていたプリントを忘れてきたのを思い出して、なっ…」
「そうなんですか?」
「ははは、うっかり忘れてたよ。 課題のチェックが終わったら急いで取ってくるつもりだ」
田中先生は女子生徒に軽く笑いながらそう言った。 しかし、実のところその下半身は全身への刺激で若干膨らみ始めているようだった。 明寿は何食わぬ顔で話をしている田中の心を覗いてみることにした。 じっと意識を田中先生へと向ける。
(…っ、何だか全身がくすぐったいようなっ…、服が擦れると痒みが増して…っ、はぁっ、はぁっ、…痒い!! だ、駄目だ、少しトイレで…っ)
田中先生の頭の中はもう肛門の痒みでいっぱいのようだ。 きっともう掻き毟りたくてたまらないのだろう。 クスリ、と明寿は内心笑った。
そうこうしているうちにノートの提出は最後の一人、明寿の番になる。 のんびりと歩きながら自然な笑顔で田中先生へと話しかける。
「お願いします」
「…あ、ああ。 …東条はいつも丁寧にノートをまとめているから関心するな。 課題もよくやっているし、間違いもないから嬉しいぞ」
「いえいえ…、田中先生の授業がわかりやすいからですよ。 あれ? 少し顔が赤いような気がしますけど、熱でもあるんですか?」
明寿は田中先生と視線が合った瞬間、強く念を送った。 その瞬間、ほんの一瞬だけのことだったが、田中先生の尿道口に今までの倍の刺激を与えてやったのだ。
田中先生は驚いたように小さく悲鳴を上げた。 それは確かに感じた快楽だったのだ。 もしかしたら既に田中先生のズボンの中は軽く濡れ始めているかもしれない。 前も後ろも微弱な刺激が体に送り込まれ続けているのだからそうなっても不思議ではない。
「ひいっ!? …あ、いやっ…、別に、いつもとっ、変わらないよ。 熱もないから大丈夫だっ…。 …ん、…よし。 席に戻っていいぞ」
「はい、ありがとうございました」
明寿は話を長引かせるためにのんびりとした口調で会話をした。 田中先生はもぞもぞと腰を動かしながらも何でもないような顔を取り繕いながらどうにかノートのチェックを終わらせた。
生徒を席に着かせ、田中先生は皆に聞こえるように大きな声で言う。
「…っ、すまないが職員室にプリントを忘れてきたようだ。 急いで取ってくるのでそれまでは自習しているように」
『はい』『はーい』
そう言うなり田中先生は生徒の返事を聞くこともなく足早に教室から出ていった。 生徒達はその行動を気にすることもなく返事をして自習に入った。
明寿はクスッと笑う。 きっと田中先生は職員室ではなく教職員用のトイレに行くはずだ。
(ふふっ、どれどれ、確かめに行くか)
「悪い、ちょっと具合が悪くなってきたから保健室に行ってくる。 先生が戻ってきたら伝えておいてくれないか?」
「え、大丈夫か? 一人で行けるか?」
「ああ、大丈夫だ。 それじゃぁ」
「気を付けてなー」
明寿は隣の生徒に適当な理由をつけて教室を出ると、その足で田中先生の行ったと思われる教職員用のトイレへと向かった。 今の時間はどこも授業中なので廊下は誰も歩いていない。 静かにそっと行動すれば誰も明寿には気付かないだろう。
少し歩けばトイレが見えてきた。 人影が一瞬見えた気がしたが多分田中先生だろう。 明寿は気付かれぬよう足音を決してトイレへと近づく。
すると個室のドアが一つだけ閉められているところがある。 聞き耳を立ててみれば中から小さな声が漏れてきているのがわかった。 明寿はそっと隣の個室へと入って音を立てないようにドアを閉めた。
「…はぅっ、…んっ、…ああっ、ベ、ベルトがぁ…っ」
カチャカチャと音がしている。 きっと手が震えてなかなかベルトが外れないのだろう。 あまりの慌てように明寿は口から笑い声が零れそうになるのを必死にこらえている。
カシャンッと音がした。 ようやくベルトが外れたのだろう。 手から滑って床に落ちてしまったようだ。
「痒いっ…、ケツ穴の周りがぁっ、ぁぁっ、どうしよう…っ、どうしたらっ…、ああっ、指、指でっ、くっ…、くぅん~っ!! んはぁっ!! な、何でっ、…痒いのが治まらないぃ~!! はぁっ、はぁっ、はぁっ!!」
どうにか肛門の淵を指で掻き毟るが一向に痒みが引くことはなく、田中先生は焦ったように涙交じりの声でどうしようと呟いている。 面白くなっていた、と明寿は田中先生の肛門に再び念を送り、その痒みを倍増させてやる。 ついでにと乳首や耳の中、尿道口など、とうとうその刺激は全身に送られるようになった。
「ああっ、な、何でちんぽが…っ」
とうとう田中先生の体は全身の痒みを快楽と認識してしまったようだ。 乳首はツンと硬くなり、ペニスは汁を垂らしながら勃起していた。 便器に座ったまま田中先生は驚愕して体を震わせているようである。
(ははは、もっと淫乱になればいいよ。 どれ、ちょっと見てみようかな)
明寿は超能力の中で、透視能力も持っている。 しかもその透視能力はとても正確で、見たいと思うものを鮮明に透視することができるのだ。 目を閉じて一度軽く深呼吸をすると、明寿の脳内に隣の個室にいる田中先生の様子が映し出された。 するとその映し出された田中先生の姿に明寿は今にも声を出して笑いそうになってしまった。
便器に座った田中先生は、ズボンを下したまま勃起したペニスの竿を両手で握り足を内股にしてもじもじとさせている。 ブラウスの前を開き、中から見えたのは完全に尖りきった乳首が真っ赤に上を向いている。 顔を上に向けたまま目を虚ろにして涙を流しながら、口は開いたまま舌を前に突き出し涎を垂らしている。
今にも射精してしまいそうなペニスを震える手で擦ろうとしているのを見て、明寿はニヤリと悪い顔をして念を送った。
(ペニスは触るだけ。 擦ってはいけない。 勃起はしても射精は駄目。 乳首も触っちゃ駄目。 そのまま体は動かなくなるよ…)
「ひっ、ひぃいいいっ!? 体がっ、動かない!? あああっ!! 扱きたいのに!! 射精したいのに!! 何で体が動かないんだ…っ!? あああっ…」
明寿の超能力によって田中先生の体は硬直したように動かなくなってしまった。 膨らんだペニスに両手を添えたまま何も出来ず、尿道口はパクパクと口を開閉している。
肛門もあまりの痒みに力が入ったり抜けたりを繰り返しているのか、その尻たぶがキュッと何度も力が入る度にえくぼを作っている。
時折ブラウスに擦れる乳首にも快楽を感じてしまい、田中先生は少ししか動かせない全身を必死に動かそうと歯を食いしばって力を入れている。 しかし、明寿の力によって体を動かすことは絶対にできない。
とぷりとぷりとペニスからは濃厚な我慢汁がひたすら垂れ続けている。 イキそうな感覚が訪れる度に田中先生は口を大きく開き、おほぅっ、おほうっ、と下品な喘ぎ声を漏らしている。
「おふぅっ、おほっ、んほぉっ、…ちんぽがっ、ちんぽがぁ~っ!!」
そこにはもう授業が始まった時のさわやかな田中先生はいなくなり、今では下品に喘ぐだけの生き物となってしまった。 四肢が強張ると腹に力が入るせいか、引き締まった腹筋が尚更ギュッと締まりとても厭らしい。
喘ぎ乱れる田中先生を堪能していた明寿であったが、さすがに時間ばかりはどうすることもできない。 そろそろ授業が終わる時間になり、自習をしている生徒たちが職員室までプリントを取りに行ったはずの先生が戻らないことを不思議に思い始めているかもしれないと思い、明寿はいい加減田中先生の体を開放してやることにした。
(んー、普通に動きを開放させてあげてもいいけど、僕的にはちょっと面白い方が好きだしな。 …よし!! 田中先生、一息にイってください!! せーの!!))
明寿は田中先生の体に念を送り、その照準を肛門の奥にある前立腺へと合わせた。 頭の中で掛け声を叫び、狙い、念を…、打った!!
ドンッ
「…ひ…? ひっ、ひっ、ひっ、…ひ、ぐうううううううおおおおっ!?」
それは例えるなら勢いの良過ぎる水鉄砲のような刺激だった。 田中先生の前立腺へと明寿の念の塊が的確に狙い撃ちされたのだ。 それも勢いよく、とてつもない速さで。
体の硬直が解かれぬまま、田中先生は一瞬にしてイってしまった。 しかも射精はしないまま、ドライオーガズムという形でだ。 動けぬ体はギクッ、ギクッと少し跳ねるだけでどうすることもできない。
田中先生は口を「お」の字にしたまま、息を止めてその快楽に感じ入っていた。 ピタリと動きを止めた体はそのまま数十秒、まるで時が止まったかのようにピクリとも動かなくなってしまった。
「…ぉっ、……おっ、……おっ、………っ…」
開いたままの口からは言葉にならない声が漏れ、舌も最大限にピンッと延ばされたままだ。
ショロロロロロロ…
しばらくすると田中先生は失禁した。 まぁトイレの中なので別におかしいことではないが。 ペニスは勃起したままだったため尿は上向きに放物線を描きながら地面へと落下していく。 瞬く間に床は水浸しになってしまった。 ずり落とされたままのズボンとベルトにも尿はかかり濡れてビチャビチャになっている。
「…んおっ、…おぅっ、……おっ…、…んっ……、ぁぁぁ…っ…」
時々白目を向いていた田中先生の表情は完全に蕩けきり、あまりの快楽に涙が止まらないようだ。 あうあうと口を動かしながら未だに感じ入っている様子。 そんな田中先生の体を明寿はようやく開放してやることにした。
「…はんっ!! …んっ、あああっ、……あ…、…何で、こんなっ……」
田中先生はようやく正気に戻ったのか、自分の犯した惨状に言葉を失ったまま動けないでいた。 尿道口が馬鹿になてしまったのかたまにチョロッと尿が漏れると、ブルブルと体を震わせ小さく喘いでいる。
明寿は満足そうにふうー、と息を吐き出した。
(さぁて、これ、どうしたもんかな。 先生を一度眠らせて片付けてあげてもいいけど、それじゃぁ面白くないよね。 うーん、それなら…)
悪戯を思いついた子供の顔をして明寿が静かにそっとトイレから出た。 そして隣の田中先生のいる個室の前に立ち、トントンッとドアをノックした。
「!!? …っ!? (だ、誰だ!? こんな状態の時に誰がっ…!?)」
突然のノック音に田中先生の体がビクゥッ、と飛び跳ねるように弾んだ。 そして次には自身の惨状に顔を真っ青にして慌て始めた。 このような姿を、このような状態を人に見られてしまっては教師として、いや、人として終わってしまう。 どうしよう、どうしよう、と田中先生は声を失って目に涙を滲ませながら目をキョロキョロとさせる。
明寿はその状況を透視で見るなりクスッと笑う。 教師がトイレで自慰をしてあまりの快楽に尿を漏らしたという状況に、あまりの非日常に、明寿は顔がニヤけるのが止まらないようだ。 それでも平静を装った声でトイレの向こうの田中先生へと話しかけた。
「あ、すいません。 中にいるのは田中先生ですよね? 東条です。 ちょっと声が聞こえてきまして…。 僕、体調が悪くなって保健室に行く途中だったんですけど、歩いてるうちに少しよくなってきたので教室に戻ろうとしていたんですが、途中で先生がこちらに入るのが見えて…。 プリントを取りに行くって言ってましたけど、どうしたんですか? もしかして体調が悪いんですか?」
「…っ、…あ、…と、東条…?」
「はい、東条です。 田中先生、酷く苦しそうな声でしたけど…」
「い、いやっ…、何でも、…何でもないんだ!! 少し催してしまってっ、トイレに行ってからプリントを取りにいこうと思っていたんだっ、だからもう出るからっ、…と、東条は先に教室に戻っていてくれっ!!」
今にも大声を出して笑いそうになってしまった。 このドアの向こうでは快楽で震え涙を流している田中先生の姿があるというのに、本人はただの小便だと言う。 それならばこのドアの下から見えるびしょ濡れになった布切れは何だというのか。
混乱した田中先生はもう、それに気付くことも出来ないのだろう。 明寿は意地悪くそれを指摘してやる。
「田中先生、ドアの下から濡れた布が見えるのですが、これは何ですか? 僕の記憶では先生の履いていたズボンの模様だと思ったんですけど…」
「えっ!? あっ!! いや!! こ、これは…っ」
「何故濡れているんですか? それに、床にも水が垂れてきていますけど」
「そ、そうか!? あ、ああ、これは俺のズボンだっ、…床はもともと濡れていたみたいだしっ、ズボンは手から落としてしまったんだ…っ!!」
あからさま過ぎる嘘に明寿はもうたまらなかった。 このような言い訳、あまりにも無理がありすぎる。 それでも明寿はとぼけたように会話を続ける。
「ああ、そうだったんですか。 あ!! それなら替えのズボンが必要ですよね? 僕でよければ取ってきますけど、替えのズボンはありますか?」
「…あ、ああ…。 職員室の俺のロッカーの中に…」
「すぐに取ってきますね!!」
「た、助かる…」
途中からどうにか冷静さを取り戻した田中先生は東条の申し出にありがとうと言った。 そうだ、ズボンが使い物にならないのだ。 それならば替えが必要だ、と。 東条は足音を立てて小走りで職員室へと行った。
ハッとして腕時計に目を向ければ時刻は授業終了の20分前にまでなってしまっていた。 東条は走って職員室まで行ったので数分で戻ってくるだろう。 プリントはもう今度の授業の時にでも配ればいい。 とにかく教室に戻って何もなかったということを見せなければ、と田中先生は未だに少し混乱している頭でそう思った。
下品な喘ぎ声を上げてドライオーガズムに加えて失禁したことはもう忘れかけている。 とにかく着替えなければ、とそればかりを考えてしまっているのだ。
自身の濡れたズボンで床に飛び散った尿をふき取り丸めて、後から捨てようと個室の隅に置いた。 漏らしたことで匂いが気になったため備え付けの消臭剤を拭き空気を換えると、また少し頭の中が冷静になったような気がした。
5分後、駆け足で東条はトイレへと戻ってきた。
「持ってきましたよ」
「あ、ああ、すまないな」
「渡すのでドアを開けてください」
「………え?」
東条の言葉に田中先生の動きがピタリと止まった。 ドアを開ける? 今、東条はドアを開けてくれと言った。 田中先生は顔を一気に真っ青にさせ、慌て始めた。
ドアの向こうにいる東条は透視によってその様子を楽しそうに見ている。 そして再び同じ言葉を田中先生にかける。
「替えのズボンを渡したいのでドアを開けてくれませんか?」
「えっ!? い、いやっ、…そ、それは…っ」
「早くしないとあと15分で授業が終わりますよ!! 開けてください」
田中先生はしどろもどろしながら何とかドアを開けない方法を探している様子だ。 明寿はわざと焦ったような言い方をしてドアを開けるように言う。
「う、上から投げてくれて構わないからっ」
「実は昨日両肩を痛めてしまい振ることができないんです」
「そ、それなら下から入れてくれ!!」
「床が濡れているんですよね?」
「う…、…じゃ、じゃぁ、洗面台にでも置いていてくれていいっ!! さすがに下半身丸出しのまま君の前に出るわけにはいかないからっ…!!」
「男同士ですし僕は平気ですよ? さぁ、ドアを開けてください、田中先生」
「…っ」
未だに田中先生のペニスは緩く勃起している。 そして床にはズボンでは吸いきれなかった尿が散乱している。 挙句の果てにはその汚れたズボンが丸めて隅に置かれているのだ。
きっとドアを開けてしまえばこの状態を見てすぐに自慰をしていたことがバレてしまうし、尿を漏らしたことも確実に知られてしまうだろう。 どうしてもこのドアを開けることはできなかった。 いや、絶対に開けてはいけない。
田中先生はどうにか無理矢理言い訳を作りながらも明寿をトイレから出ていかせようと躍起になっていた。 もう自分が何を言っているのかもわからないのだろう。
「先生、あと10分で授業が終わりますよ」
「頼むから出ていってくれ…っ」
「先生」
「…頼むから…っ」
その時だった。 突然、カチャッと鍵が動き、ドアが勝手に開いた。 田中先生は驚きのあまり声がでないようだった。 と共に、激しい羞恥心にかられ、固まったように動けなくなってしまう。
そう、これは全て明寿の超能力によるものなのだ。 明寿の目の前現れた田中先生の姿はあまりにも滑稽で、情けないものだった。 透視ではなく己の目で直接見るその姿に、明寿の目は笑っていた。 しかし、それを表情に表してしまえば田中先生の心が離れてしまう。 明寿は至極真面目な顔をして口を開いた。
「田中先生っ、一体どうしたんですか!? ぺ、ペニスが…、それに尿を床に漏らしてしまったんですね? …あ!! もしかして体調が悪いんじゃないですか? 顔も赤いですし、きっと熱があるんですね? 高熱が出ていると体の制御もできなくなるらしいですし…」
「…っ、こ、これは…っ…」
「田中先生!!」
「ひっ…」
明寿は少し声を大きくして先生の名を呼んだ。 すると田中先生はビクッと怯えるように体を竦ませた。 明寿は内心大笑いをしながらも必死に平静を装い、グイッと体を寄せ、覗き込むように田中先生の顔を見ながら静かに口を開く。
田中先生はこの世の終わりのような表情で明寿と視線を合わせた。
「〝大丈夫ですよ、これは僕しか見ていません。 誰にも言いませんし、心配しないでください〟」
「…と、東条?」
「人間、体調が悪い時は誰だって無理をすればこうなることもあるでしょうし、僕は田中先生が笑い者にされることは嫌ですから。 だから安心してください。 絶対に誰にも言いません」
「…ありがとう、東条…」
明寿の言葉を聞き、田中先生は完全に安心したように肩を撫でおろした。 深く息を吐きながらどうにかその煩い心臓の音を落ち着かせようとしている。
明寿はニヤリ、一瞬だけ笑った。 そしてこう言った。
「これは二人だけの秘密ですよ」
「え?」
「秘密、シークレットです。 僕は誰にも喋るつもりはないですが、もし僕を怒らせるようなことがあればわかりません。 もしかしたらペロッと誰かに喋ってしまうこともあるかもしれませんね」
「そ、そんなっ…!! それだけはやめてくれ!! 頼む…っ、何でも言うことを聞くから…っ!!」
その言葉を聞いた瞬間、明寿の目がギラリと光ったような気がした。 田中先生は怯えるように何度も頼む、お願いだ、と言い続けた。
明寿は人の好さそうな笑顔で言う。
「やだなぁ、先生。 そんなに怖がらないでくださいよ。 僕だって人間ですし、先生を脅して何かをしたいとかそういうことはしないですよ。 それより、もう授業が終わってしまいますね」
「…あ…っ」
時計を見ればもうあと2分で授業終了のベルが鳴る。 とにかくこの状態でトイレにいれば他の職員が来てしまうだろう。 田中先生は慌てた様子で明寿を見た。
「は、話はまた放課後しよう!! とにかく今は着替えさせてくれっ…!!」
「ふふっ、わかりました。 それじゃぁ放課後、誰もいなくなった教室で」
「ああ、わかった!!」
「それじゃぁ僕はもう教室に戻りますね。 …あ、皆が心配してるでしょうから、田中先生は急用で授業には戻らないってことにしておきますから安心してください。 では。」
「………っ」
そう言うと明寿は静かにドアを閉めて去っていった。 残された田中先生はしばらくの間放心したようにじっと動かなかった。 今の出来事がまるで嘘のように思えて仕方なかった。 しかし、この床の状態を見ればこれが嘘でも夢でもなかったことがわかる。
悔しいのか、恥ずかしいのか、それとも情けないのか。 様々な感情が田中先生の胸に深く突き刺さっていた。
未だにゆるく勃起したペニスは若干の快楽に汁を垂らしている。 それでも今の気持ちではそれ以上何もする気にはなれず、少々痛みを感じたがそのまま無理やりズボンの中にペニスを押し込んだ。
いつの間にか肛門の痒みは消え、乳首の腫れも引いていた。 体中のあの何とも言えぬ、まるで大量の虫でも這っているのではないかというほどの刺激が嘘だったかのように今は何も感じないのだ。
「…はぁっ、…ぁ…っ」
先ほどの刺激を思い出し、少し熱のこもった息が口から零れた。 ジュンッとペニスからまた粘ついた汁が垂れたような気がしたが、今はそれよりも放課後のことが気になって仕方がなかった。
あの優秀な生徒が、東条が、自分をどうしようとしているのか、考えるだけで恐ろしかった。
田中先生はどうにかふらつく体で着替えをして、掃除道具入れの中にあるゴミ袋を一枚取り、隅に丸めて放置していた汚れたズボンを入れると隠すように抱えてトイレから出ていったのだった。
その表情は暗く、今にも倒れてしまいそうなほど真っ青になっていた。
応援ありがとうございます!
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