××男と異常女共

シイタ

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陰女の秘密のご趣味

3-22

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 ユウノちゃんが幽霊だということを信じることができたところで、今度は私がユウノちゃんに自己紹介をした。
 自分が誰にも認識されないという説明をするときは少し恥ずかしかったけど、なんとか説明し終ることができた。
 そして、私はユウノちゃんみたいに自分の特性をすぐに説明するものがあったり、物理的に証明したりはできないため、前の通りを通り過ぎる通行人を使って証明した。

「わぉ、ほんとうに気づかれないんだね。さっきの人おねえさんが目の前でウロウロしたり、手ふったりしてたのにぜんぜん気付いてなかったね」

 私が戻ってくると、ユウノちゃんはパチパチとまるでマジックショーでも見た後みたいに拍手をして、私を迎えてくれた。その顔は先ほどと変わらず楽しそうな感じである。

「これで、証明できたかな?」

「うん、うん」

 コクリコクリと大きく頷くユウノちゃん。
 隣に座っていつのまにかスマホを弄っている先輩。
 どうしてこの人は自分は関係ないみたいなスタンスなんでしょうか?この中で一番関係が深いと思うんですけど……。
 そう思って私が先輩のことを見ていると、ユウノちゃんがベンチから立ち上がって、私の手を掴んできた。

「ねぇねぇ、おねえさん。かくれんぼしよう!」

「え」

 私は突然の遊びのお誘いに戸惑いの顔を見せると、ユウノちゃんはそんな私に構わず、次は先輩に向かって行く。

「おにいさん、かくれんぼしよう!」

「は? なん――」

「じゃあ、おにいさんが鬼ね! それ、にげろ~!!」

 先輩に間髪を入れさせず、ユウノちゃんは私の手を取って走り出した。私は手を握られながら、慌ててユウノちゃんについて行く。
 後ろを振り向くと未だベンチにポツンと座って私達のことを見ているだけの先輩。ちょっと可哀想に見えるけど、いい気味だとも思った。
 私は前を向き、ユウノちゃんと一緒に走って行った。

 二人でいたら見つかった時、すぐにかくれんぼが終わってしまうということで、私とユウノちゃんは途中で別れて隠れることにした。
 別れた後、私は隠れるところを探そうとしたのだけど、走り疲れてしまい、休憩のために近くのベンチに座ってしまった。あんなに走るのは久々だ、私は息を整えながらそう思う。
 ベンチの背に身体を預け、目を閉じると、周りがとても静かなことに気付く。いや、風で木々や葉が揺れる音が聞こえるため、静かというよりも穏やかと言った方がいいかもしれない。
 木々の隙間から漏れる風が自分に当たって、気持ちが良い。

「……癒される」

 そうやって穏やかな空間に身を寄せていると、不意に昔のことを思い出した。
 子供の頃の隠れんぼ、あの時はこんな穏やかな気持ちでいる時間など全くなかった。ひたすら見つけて欲しいと願って、近ずいてくる足音に敏感になって、心を休めることなんてなかった。
 ユウノちゃんに隠れんぼに誘われた時、私はその時のことを思い出して、一瞬尻込みしてしまった。もう昔のことなのに、未だに引きずっている自分が嫌になる。
 まあ、目の前で変わることに成功した女子を羨ましいと思ったり、自分もやり直すことができたらと考えてしまう時点で、隠れんぼのことを引きずるも何もないんだけど。

 そこで、そういえば、と私はあることを思い出す。
 あの時には言えなかった、違う子に取られてしまった、隠れんぼで隠れる子が決まって言う、あの言葉を――

「みーつけた」

 閉じていた目を開くと目の前には、先輩が私のことを見下ろして立っていた。
 私は先輩を見て、先輩が言った言葉を聞いて、喜びで胸がいっぱいになる。初めて先輩に見つけてもらえた時と同じで、泣きそうになる。

 先輩は、また私の願いを叶えてくれるんですね。

「みつかっちゃった」

 あの時言えなかった言葉を、私は言うことができた。
 今の結果があるのなら、私はやり直しなんてできなくなても構わない。そう思った、思えるようになった。

 その後、私は先輩と一緒にユウノちゃんを探し当て、隠れんぼを終えて三人で帰った。
 私はユウノちゃんという幽霊の、二人目の友達を作ることができた。
 今日という特別な日を、私は決して忘れない。




陰女の秘密のご趣味 (終わり)
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