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陰女の秘密のご趣味
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私と先輩と女の子は、とりあえず歩道に立って話しをするのも通行人の邪魔になるということで、目の前にあった(女の子の後ろにあった)自然公園のベンチで話をすることにした。
自然公園はその名の通りに自然が多く、木々や花草で覆われた場所だ。
「……」
「……(チラチラ)」
「ふんふふんふふ~ん♪……ふん?」
何も言わない先輩に、何か言ってくれないかと先輩を見る私に、楽しそうに足をぶらぶらさせて鼻歌を歌っている女の子。
これがいわゆる三者三様というものなのだろうか。
先輩が無視し続ける所為で、つまらないことを考えてしまう私。
はやくどうにかして欲しい。そんな願いが届いたのか、先輩が口を動かした。
「……さっさと自己紹介でもしろよお前ら。俺はやく帰りたい」
「無責任すぎじゃありませんか先輩!? 一番関わりあるんだから、私の事情をこの子に説明してくださいよ。そして女の子のことも説明してください」
「はぁ? なんで俺が」
「……自分で説明するの恥ずかしいんですよ」
「……なぜに?」
「だって自分で自分は人に認識されないんだよ、とか言うの、中二病患ってるみたいじゃないですか」
「違うの?」
「違いますよ!? ……もう、いじわる言わないで下さい」
「はいはい」
「もう!」
真面目に聞いてくれない先輩に、私は完全にお冠になる。
今日デートをすることになった理由を、覚えてないのかこの先輩は。
「ラブラブだねー」
「……」
キャッキャと笑いながらそんなことを言ってくる女の子に、何も言えない私。ラブラブと言われるのは嬉しいけど恥ずかしい、先輩と付き合ってもいないのに。今、私の顔は赤くなっているに違いない。
「ユウノ」
「はーい」
先輩に名前を呼ばれて笑うのを止める女の子は、ベンチから立ち上がると、私の前に来る。
どうやら女の子の名前はユウノというらしい。
「ユウノ、一〇さいでーす。おにいさんのお部屋で一緒にくらしている幽霊でーす」
右手を上げて、元気よく自己紹介するユウノちゃん。その自己紹介の中には、聞き間違いかなと思えるものがあった。
「先輩、こんな小さな女の子と二人で暮らししているんですか?」
「……お前、今の聞いて気にするのそこなのな」
呆れたような目で先輩は私のことを見てくる。
しょうがないじゃないですか、先輩と二人暮らしなんて羨ましいんですから。 私も先輩と二人暮らししたいです!
なんて先輩には言えないため、心の中だけで訴える。
「……えーと、本当なんですか?」
もう一つユウノちゃんが言った気になることを確かめるように、私は先輩に聞いてみる。
先輩はなんとなしといった感じで、頷いて肯定してきた。
「で、でも、目の前にいるんですよ。いきなりユウノちゃんが幽霊とか言われても……」
「うそじゃないよー。ユウノ、幽霊なんだよー」
えー。
私はユウノちゃんの言葉を信じるにしても、どうやって信じればいいのか分からず混乱していると、誰かに肩を叩かれた。
そちらを見れば先輩がこちらを見て、何やら下に向けて指を差している。私は指が向けられた方を見ると、そこはユウノちゃんの足元。いったい、そこに何があるのかと見てみると……
「……え!?」
私は驚きで声を出してしまった。
それはそうだ、誰だって驚くと思う。だってユウノちゃんの足元には、誰にだってあるはずの『影』がないのだから。
私はまたも確かめるように先輩を見ると、先輩はユウノちゃんの方を向いて手招きする。ユウノちゃんが先輩の前に行くと、先輩は徐に右手で手刀を作り、それを振り上げてユウノちゃんの頭に振り下ろした。
「な……」
な、何をっ!
と私が声を出す前に、ユウノちゃんの頭に先輩の手刀は振り下ろされる。――しかし、ユウノちゃんの頭に手刀は当たらなかった。
私は目の前で起こったことに仰天した。なぜなら、私は先輩の手刀がユウノちゃんの頭に直撃するのを想像したのに、そうはならず先輩の手刀はユウノちゃんの頭をすき抜けたからだ。
「え、えっ」と驚く私を無言で見る先輩に、キャッキャと楽しそうに笑うユウノちゃん。
私は、ユウノちゃんが本当の幽霊だということを理解した。
自然公園はその名の通りに自然が多く、木々や花草で覆われた場所だ。
「……」
「……(チラチラ)」
「ふんふふんふふ~ん♪……ふん?」
何も言わない先輩に、何か言ってくれないかと先輩を見る私に、楽しそうに足をぶらぶらさせて鼻歌を歌っている女の子。
これがいわゆる三者三様というものなのだろうか。
先輩が無視し続ける所為で、つまらないことを考えてしまう私。
はやくどうにかして欲しい。そんな願いが届いたのか、先輩が口を動かした。
「……さっさと自己紹介でもしろよお前ら。俺はやく帰りたい」
「無責任すぎじゃありませんか先輩!? 一番関わりあるんだから、私の事情をこの子に説明してくださいよ。そして女の子のことも説明してください」
「はぁ? なんで俺が」
「……自分で説明するの恥ずかしいんですよ」
「……なぜに?」
「だって自分で自分は人に認識されないんだよ、とか言うの、中二病患ってるみたいじゃないですか」
「違うの?」
「違いますよ!? ……もう、いじわる言わないで下さい」
「はいはい」
「もう!」
真面目に聞いてくれない先輩に、私は完全にお冠になる。
今日デートをすることになった理由を、覚えてないのかこの先輩は。
「ラブラブだねー」
「……」
キャッキャと笑いながらそんなことを言ってくる女の子に、何も言えない私。ラブラブと言われるのは嬉しいけど恥ずかしい、先輩と付き合ってもいないのに。今、私の顔は赤くなっているに違いない。
「ユウノ」
「はーい」
先輩に名前を呼ばれて笑うのを止める女の子は、ベンチから立ち上がると、私の前に来る。
どうやら女の子の名前はユウノというらしい。
「ユウノ、一〇さいでーす。おにいさんのお部屋で一緒にくらしている幽霊でーす」
右手を上げて、元気よく自己紹介するユウノちゃん。その自己紹介の中には、聞き間違いかなと思えるものがあった。
「先輩、こんな小さな女の子と二人で暮らししているんですか?」
「……お前、今の聞いて気にするのそこなのな」
呆れたような目で先輩は私のことを見てくる。
しょうがないじゃないですか、先輩と二人暮らしなんて羨ましいんですから。 私も先輩と二人暮らししたいです!
なんて先輩には言えないため、心の中だけで訴える。
「……えーと、本当なんですか?」
もう一つユウノちゃんが言った気になることを確かめるように、私は先輩に聞いてみる。
先輩はなんとなしといった感じで、頷いて肯定してきた。
「で、でも、目の前にいるんですよ。いきなりユウノちゃんが幽霊とか言われても……」
「うそじゃないよー。ユウノ、幽霊なんだよー」
えー。
私はユウノちゃんの言葉を信じるにしても、どうやって信じればいいのか分からず混乱していると、誰かに肩を叩かれた。
そちらを見れば先輩がこちらを見て、何やら下に向けて指を差している。私は指が向けられた方を見ると、そこはユウノちゃんの足元。いったい、そこに何があるのかと見てみると……
「……え!?」
私は驚きで声を出してしまった。
それはそうだ、誰だって驚くと思う。だってユウノちゃんの足元には、誰にだってあるはずの『影』がないのだから。
私はまたも確かめるように先輩を見ると、先輩はユウノちゃんの方を向いて手招きする。ユウノちゃんが先輩の前に行くと、先輩は徐に右手で手刀を作り、それを振り上げてユウノちゃんの頭に振り下ろした。
「な……」
な、何をっ!
と私が声を出す前に、ユウノちゃんの頭に先輩の手刀は振り下ろされる。――しかし、ユウノちゃんの頭に手刀は当たらなかった。
私は目の前で起こったことに仰天した。なぜなら、私は先輩の手刀がユウノちゃんの頭に直撃するのを想像したのに、そうはならず先輩の手刀はユウノちゃんの頭をすき抜けたからだ。
「え、えっ」と驚く私を無言で見る先輩に、キャッキャと楽しそうに笑うユウノちゃん。
私は、ユウノちゃんが本当の幽霊だということを理解した。
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