××男と異常女共

シイタ

文字の大きさ
44 / 111
陰女の秘密のご趣味

3-20

しおりを挟む
 小休止を終えた私と先輩は、まだ回っていない場所、見てない魚達を鑑賞していき、最後にイルカのショーを見て水族館を後にした。
 あの小休止の後から、私は少し居心地が悪くて、先輩にうまく話しかけることができなくなっていた。そんな私を、先輩は気にする素振りも見せず、興味もなさそうに、いつも通りの態度で接していた。実は気づいてないだけかもしれないけど。
 
 私は先輩の隣を歩き、帰りの駅に向かいながら、勿体ないことをしたと後悔する。
 折角の先輩とのなのにつまらないことを聞いて、自分で自分の首を締めて、思う存分楽しむことができなかった。
 あんなことを聞かなければ良かった、そうしたら最後まで居心地が悪くなることなんてなかった。でも、聞かなかったらそれはそれで悩んでいたかもしれない。自分があの女の子のように、変われたのかどうかを。

 自分では考えても分からないから、先輩に意見を求めて質問した。
 もしも先輩にその質問をしないままにしていたら、どうなっていただろうか?
 多分、私は自分が変われたかどうかを考えて、悩みながら先輩の隣ににいたと思う。時折どこかで、先輩に聞きたい、質問したい、という思いが過ぎって先輩のことを見てしまう。考えて、悩んで、気になって、先輩と行動を共にすることになっただろう。最後には今とは違う、聞けばよかったという後悔を残してここに立っていた。結局、私はどうしても、気持ちよく今日を楽しむことができなかったのだ。

 やり直しても、結果は変わらない。

 先輩との今日のは、どうあろうとも、わだかまりなく終えることを私はできなかったのだ。

 ……恨みますよ神様。

 こんな結果になってしまった人生初のを、空からこちらを見ているだろう存在に、いるかどうかも分からない存在に、これぽっちも信じていない存在に、恨み言を放つ。
 誰かに愚痴を言わなければ、私は最後の最後まで居心地が悪い状態のまま先輩との一日を終えてしまう。
 そうならないようにするため、自分の悩みに踏ん切りをつけるように、私は神様に愚痴った。

 私は先輩に話しかけようと隣を見ると、そこに先輩はいなかった。あれ? 、と思いながら周りを見て後ろを振り向くと、先の方で先輩が立ち止まっている。

「どうしたんですか先輩?」

 私は先輩に呼びかけながら、先輩のもとに駆け寄っていく。先輩は私の声が聞こえてないのか、先程から首を横に向けて、先にある何かを見ているようだ。
 私も先輩と同じ方向に顔を向けて見ると、そこには道路を跨ぎ、こちらに向けて大手を振っている女の子が立っていた。

 先輩の知り合いかな?

「あの子、お知り合いですか先輩?」

 私は先輩に聞いた。純粋に疑問と好奇心ゆえに。 
 すると、先輩は訝しげな目を向けて私のことを見てきた。私は何故そんな顔をして、先輩が私のことを見てくるのか分からず、首をかしげる。
 何か不味いことでも言ってしまったのだろうか?
 私は自分の言葉を思い出すが、何が先輩にそんな顔させたのかは分からなかった。分からないがゆえに、もしかして先輩は俗に言うロリコンなのっ!? と突拍子もないことを考えてしまう。
 そして、先輩から突拍子もない質問が飛んできた。

「……お前、あれ見えてんの?」

「え? あの手を振ってる女の子のことですか? もちろん見えてますけど……」

 何故そんなことを聞いてくるのか、私は理解できなまま答える。
 先輩は私の答えに、怪訝な顔を一層怪訝にした。私はその反応の訳がわからず困惑する。
 すると――

「おにいさ~ん!」

 と手を振る女の子の声が聞こえてきた。
 先輩はそれを聞くと、ため息を吐いて、怪訝な顔をいつも通りの顔に戻す。そして、先輩は車が行き交う道路の左右を見ると、車が来ないことを確認して歩き出した。私はそれを見て慌てて先輩を追いかける、もちろん車が来ないか左右確認した後に。
 女の子が、先輩が来たことに嬉しそうな顔を見せる。やっぱり、この女の子は先輩の知り合いなのだと、その顔を見て私は理解する。

「こんなとこで何してんのお前?」

「いつもどおり散歩だよ。そう言うおにいさんは休日デートなのかな?」

「黙れ、そして嘘こけ。後つけてきたんだろうが」

「バレた、というよりバレてる。どうしてバレた?」

「どうでもいいだろ」

「えー、気になるー。今後の反省にしないいといけないし」

「なおさら言うか」

「おにいさんのケチケチドケチー!」

 いー、と歯を見せて女の子は不満な顔を見せるが、その顔はどこか楽しそうだ。先輩は「言っとけ」とどこ吹く風で、そんな女の子をただ見ている。
 そんな二人に置いてかれながら、私は呆然と女の子の言葉に驚きを見せていた。

「どうした三影? 豆鉄砲でも食らったのか?」

 そんな私に先輩は声を掛けてきて、私は我に返った。

「え、えっと、この子私のことが見えてるみたいなんですけど?」

「え、このおねえさん私のこと見えてるの??」

「……俺に聞くなよ、お二人さん」

 自分は関係ないと言いたげな感じに、二人の質問を投げやりに返す先輩。
 私は何も言ってくれない先輩に困り顔を見せ、どうしようかと思い、女の子の方に顔を向ける。
 すると、女の子もこちらに顔を向けてくる。
 私は困惑した顔で、女の子は楽しそうな顔で、何故か、あはは、と二人合わせて笑ってしまった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

黒に染まった華を摘む

馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。 高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。 「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」 そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。 彼女の名は、立石麻美。 昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。 この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。 その日の放課後。 明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。 塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。 そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。 すべてに触れたとき、 明希は何を守り、何を選ぶのか。 光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...