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陰女の秘密のご趣味
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小休止を終えた私と先輩は、まだ回っていない場所、見てない魚達を鑑賞していき、最後にイルカのショーを見て水族館を後にした。
あの小休止の後から、私は少し居心地が悪くて、先輩にうまく話しかけることができなくなっていた。そんな私を、先輩は気にする素振りも見せず、興味もなさそうに、いつも通りの態度で接していた。実は気づいてないだけかもしれないけど。
私は先輩の隣を歩き、帰りの駅に向かいながら、勿体ないことをしたと後悔する。
折角の先輩とのデートなのにつまらないことを聞いて、自分で自分の首を締めて、思う存分楽しむことができなかった。
あんなことを聞かなければ良かった、そうしたら最後まで居心地が悪くなることなんてなかった。でも、聞かなかったらそれはそれで悩んでいたかもしれない。自分があの女の子のように、変われたのかどうかを。
自分では考えても分からないから、先輩に意見を求めて質問した。
もしも先輩にその質問をしないままにしていたら、どうなっていただろうか?
多分、私は自分が変われたかどうかを考えて、悩みながら先輩の隣ににいたと思う。時折どこかで、先輩に聞きたい、質問したい、という思いが過ぎって先輩のことを見てしまう。考えて、悩んで、気になって、先輩と行動を共にすることになっただろう。最後には今とは違う、聞けばよかったという後悔を残してここに立っていた。結局、私はどうしても、気持ちよく今日を楽しむことができなかったのだ。
やり直しても、結果は変わらない。
先輩との今日のデートは、どうあろうとも、わだかまりなく終えることを私はできなかったのだ。
……恨みますよ神様。
こんな結果になってしまった人生初のデートを、空からこちらを見ているだろう存在に、いるかどうかも分からない存在に、これぽっちも信じていない存在に、恨み言を放つ。
誰かに愚痴を言わなければ、私は最後の最後まで居心地が悪い状態のまま先輩との一日を終えてしまう。
そうならないようにするため、自分の悩みに踏ん切りをつけるように、私は神様に愚痴った。
私は先輩に話しかけようと隣を見ると、そこに先輩はいなかった。あれ? 、と思いながら周りを見て後ろを振り向くと、先の方で先輩が立ち止まっている。
「どうしたんですか先輩?」
私は先輩に呼びかけながら、先輩のもとに駆け寄っていく。先輩は私の声が聞こえてないのか、先程から首を横に向けて、先にある何かを見ているようだ。
私も先輩と同じ方向に顔を向けて見ると、そこには道路を跨ぎ、こちらに向けて大手を振っている女の子が立っていた。
先輩の知り合いかな?
「あの子、お知り合いですか先輩?」
私は先輩に聞いた。純粋に疑問と好奇心ゆえに。
すると、先輩は訝しげな目を向けて私のことを見てきた。私は何故そんな顔をして、先輩が私のことを見てくるのか分からず、首をかしげる。
何か不味いことでも言ってしまったのだろうか?
私は自分の言葉を思い出すが、何が先輩にそんな顔させたのかは分からなかった。分からないがゆえに、もしかして先輩は俗に言うロリコンなのっ!? と突拍子もないことを考えてしまう。
そして、先輩から突拍子もない質問が飛んできた。
「……お前、あれ見えてんの?」
「え? あの手を振ってる女の子のことですか? もちろん見えてますけど……」
何故そんなことを聞いてくるのか、私は理解できなまま答える。
先輩は私の答えに、怪訝な顔を一層怪訝にした。私はその反応の訳がわからず困惑する。
すると――
「おにいさ~ん!」
と手を振る女の子の声が聞こえてきた。
先輩はそれを聞くと、ため息を吐いて、怪訝な顔をいつも通りの顔に戻す。そして、先輩は車が行き交う道路の左右を見ると、車が来ないことを確認して歩き出した。私はそれを見て慌てて先輩を追いかける、もちろん車が来ないか左右確認した後に。
女の子が、先輩が来たことに嬉しそうな顔を見せる。やっぱり、この女の子は先輩の知り合いなのだと、その顔を見て私は理解する。
「こんなとこで何してんのお前?」
「いつもどおり散歩だよ。そう言うおにいさんは休日デートなのかな?」
「黙れ、そして嘘こけ。後つけてきたんだろうが」
「バレた、というよりバレてる。どうしてバレた?」
「どうでもいいだろ」
「えー、気になるー。今後の反省にしないいといけないし」
「なおさら言うか」
「おにいさんのケチケチドケチー!」
いー、と歯を見せて女の子は不満な顔を見せるが、その顔はどこか楽しそうだ。先輩は「言っとけ」とどこ吹く風で、そんな女の子をただ見ている。
そんな二人に置いてかれながら、私は呆然と女の子の言葉に驚きを見せていた。
「どうした三影? 豆鉄砲でも食らったのか?」
そんな私に先輩は声を掛けてきて、私は我に返った。
「え、えっと、この子私のことが見えてるみたいなんですけど?」
「え、このおねえさん私のこと見えてるの??」
「……俺に聞くなよ、お二人さん」
自分は関係ないと言いたげな感じに、二人の質問を投げやりに返す先輩。
私は何も言ってくれない先輩に困り顔を見せ、どうしようかと思い、女の子の方に顔を向ける。
すると、女の子もこちらに顔を向けてくる。
私は困惑した顔で、女の子は楽しそうな顔で、何故か、あはは、と二人合わせて笑ってしまった。
あの小休止の後から、私は少し居心地が悪くて、先輩にうまく話しかけることができなくなっていた。そんな私を、先輩は気にする素振りも見せず、興味もなさそうに、いつも通りの態度で接していた。実は気づいてないだけかもしれないけど。
私は先輩の隣を歩き、帰りの駅に向かいながら、勿体ないことをしたと後悔する。
折角の先輩とのデートなのにつまらないことを聞いて、自分で自分の首を締めて、思う存分楽しむことができなかった。
あんなことを聞かなければ良かった、そうしたら最後まで居心地が悪くなることなんてなかった。でも、聞かなかったらそれはそれで悩んでいたかもしれない。自分があの女の子のように、変われたのかどうかを。
自分では考えても分からないから、先輩に意見を求めて質問した。
もしも先輩にその質問をしないままにしていたら、どうなっていただろうか?
多分、私は自分が変われたかどうかを考えて、悩みながら先輩の隣ににいたと思う。時折どこかで、先輩に聞きたい、質問したい、という思いが過ぎって先輩のことを見てしまう。考えて、悩んで、気になって、先輩と行動を共にすることになっただろう。最後には今とは違う、聞けばよかったという後悔を残してここに立っていた。結局、私はどうしても、気持ちよく今日を楽しむことができなかったのだ。
やり直しても、結果は変わらない。
先輩との今日のデートは、どうあろうとも、わだかまりなく終えることを私はできなかったのだ。
……恨みますよ神様。
こんな結果になってしまった人生初のデートを、空からこちらを見ているだろう存在に、いるかどうかも分からない存在に、これぽっちも信じていない存在に、恨み言を放つ。
誰かに愚痴を言わなければ、私は最後の最後まで居心地が悪い状態のまま先輩との一日を終えてしまう。
そうならないようにするため、自分の悩みに踏ん切りをつけるように、私は神様に愚痴った。
私は先輩に話しかけようと隣を見ると、そこに先輩はいなかった。あれ? 、と思いながら周りを見て後ろを振り向くと、先の方で先輩が立ち止まっている。
「どうしたんですか先輩?」
私は先輩に呼びかけながら、先輩のもとに駆け寄っていく。先輩は私の声が聞こえてないのか、先程から首を横に向けて、先にある何かを見ているようだ。
私も先輩と同じ方向に顔を向けて見ると、そこには道路を跨ぎ、こちらに向けて大手を振っている女の子が立っていた。
先輩の知り合いかな?
「あの子、お知り合いですか先輩?」
私は先輩に聞いた。純粋に疑問と好奇心ゆえに。
すると、先輩は訝しげな目を向けて私のことを見てきた。私は何故そんな顔をして、先輩が私のことを見てくるのか分からず、首をかしげる。
何か不味いことでも言ってしまったのだろうか?
私は自分の言葉を思い出すが、何が先輩にそんな顔させたのかは分からなかった。分からないがゆえに、もしかして先輩は俗に言うロリコンなのっ!? と突拍子もないことを考えてしまう。
そして、先輩から突拍子もない質問が飛んできた。
「……お前、あれ見えてんの?」
「え? あの手を振ってる女の子のことですか? もちろん見えてますけど……」
何故そんなことを聞いてくるのか、私は理解できなまま答える。
先輩は私の答えに、怪訝な顔を一層怪訝にした。私はその反応の訳がわからず困惑する。
すると――
「おにいさ~ん!」
と手を振る女の子の声が聞こえてきた。
先輩はそれを聞くと、ため息を吐いて、怪訝な顔をいつも通りの顔に戻す。そして、先輩は車が行き交う道路の左右を見ると、車が来ないことを確認して歩き出した。私はそれを見て慌てて先輩を追いかける、もちろん車が来ないか左右確認した後に。
女の子が、先輩が来たことに嬉しそうな顔を見せる。やっぱり、この女の子は先輩の知り合いなのだと、その顔を見て私は理解する。
「こんなとこで何してんのお前?」
「いつもどおり散歩だよ。そう言うおにいさんは休日デートなのかな?」
「黙れ、そして嘘こけ。後つけてきたんだろうが」
「バレた、というよりバレてる。どうしてバレた?」
「どうでもいいだろ」
「えー、気になるー。今後の反省にしないいといけないし」
「なおさら言うか」
「おにいさんのケチケチドケチー!」
いー、と歯を見せて女の子は不満な顔を見せるが、その顔はどこか楽しそうだ。先輩は「言っとけ」とどこ吹く風で、そんな女の子をただ見ている。
そんな二人に置いてかれながら、私は呆然と女の子の言葉に驚きを見せていた。
「どうした三影? 豆鉄砲でも食らったのか?」
そんな私に先輩は声を掛けてきて、私は我に返った。
「え、えっと、この子私のことが見えてるみたいなんですけど?」
「え、このおねえさん私のこと見えてるの??」
「……俺に聞くなよ、お二人さん」
自分は関係ないと言いたげな感じに、二人の質問を投げやりに返す先輩。
私は何も言ってくれない先輩に困り顔を見せ、どうしようかと思い、女の子の方に顔を向ける。
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私は困惑した顔で、女の子は楽しそうな顔で、何故か、あはは、と二人合わせて笑ってしまった。
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