10 / 10
<Chapter1>始動
<1-10>惨敗
しおりを挟む何だろう・・・
なぜか体がぽかぽかして、とても気持ちいい。
そして体に何か柔らかい物が・・・
眠っていた奏翔がゆっくりと目を開けると、視界に入ったのは・・・胸の上で寝ている蒼葉だった。
ああ、なるほど。だから心地いいのか~
「・・・ってうわぁ!?」
自分の置かれている現状に気が付いた奏翔は驚きの声を上げる。
「な、な、なんで蒼葉さんが俺の胸の上に!?てか俺の上半身なんで裸なんだ!?」
お、俺が寝ている間に一体何があったんだ!?まさか、やってはいけない何かを既にしちまったってのか!?
「ん・・・」
突然の出来事に大慌てする奏翔の声を聴いて、胸の上にいる蒼葉が目を覚ます。
「あ・・・天宮君、おはよぉ」
「おはよう・・・じゃなくて一体何で蒼葉さんは何で俺の上で寝ていらっしゃったのですか?」
「ん?・・・えっと、気持ちよかったよぉ」
「感想!?ってそれは、眠ったのが?それとも既にしてしまったのか!?」
「ん~うるさい・・・すぅ・・・」
「いやいや、また寝ようとするな!起きてくれ!蒼葉さん!そしてこの状況を説明してくださいっ!?」
再び眠ろうとする蒼葉を奏翔が肩を持ち、必死に起こそうとしている時に、悲劇は起きた。
「ったく、うるさいぞ・・・保健室は静かに使ってく・・れ・・」
保健室のドアが空き、そこから一人の女性の先生が入ってくる。
だが、その歩みは一歩目にして止まった。
理由は明白、ベッドの上にいる二人を見たからである。
「あ~・・・ごゆっくり」
その女性は何もなかったかのようにドアを再び閉めた・・・
「ってちょっと待ってぇぇぇえええ!?」
*****
「本当に、一時はどうなるかと思った・・・」
保健室を出て、廊下を歩いている奏翔は非常に・・・主に精神的に疲れていた。
「全く、そうだね~」
その横では、未だに眠気の抜け切れていない蒼葉がホワンホワンとしながら歩いている。
あの後、すぐさま蒼葉を起こし、俺が何であんな状態になったのかを聞き、それを先ほどの女性の先生へと伝えたが、その先生はその事を聞いても微笑ましい物を見ているような目で見ていたので、実際には伝わっていないような形で、一応、事なきを得た。
ちなみに蒼葉が寝ていたのは、俺の治療をしたからであったらしく、このホワンホワンした状態でさらっと
「あ~、そういえば天宮君の肋骨とか、バキッバキに折れまくってたね」
と平然と言われたときには本当に驚いたな・・・
と心の中で呟いた。
「でも本当にありがとな・・・保健室の先生が他にかかりきりだったから、自分から治療してくれたんだろ?試験もあったのに・・・」
「いや、大丈夫だよ。私のパートナーが丁度、水魔法得意だったから、意外と早く終わっちゃって・・・それに、困った時はお互いさま、でしょ?」
人さし指を立てて、フォローする蒼葉を見て再び奏翔はどきりとする。
「にしても、弘津先生の優しさも体外だよね」
「ああ・・・まあ、でもあれがあの人なりの気遣いってやつなんだろうな・・・」
試験が開始される前、弘津先生は簡単だの、単純だのいっていたが、あれは俺たちが安心して試験を受けられるために言ったことであり、実際、かなり安心して試験に臨めた。けれどあのゴーレムは一度敵と認識させた相手を木っ端みじんにするまで止まらない・・・言わば本当の魔物と言ってもいいほどの代物だったようだ。だが、あれが魔法で呼び出せる中でも一番弱いらしいので、仕方のないことだったのだろう。
そこまで奏翔が考えていると、ふと気になったことがもう一つ思い浮かぶ。
「そういえば・・・俺の試験ってどうなりました?」
「えっと・・・途中中断で評価とランキング範囲外みたい・・・」
・・・やってしまった。
あれほど1位を取ることに魂を燃やしていた桐嶋が、今度は怒りに燃えていないか奏翔は心配になる。
「ま、まあ桐嶋君ならきっと許してくれるって・・・多分」
そんな引き攣った顔で言われても、全く説得力ないんですが・・・
しかし、他に行くところもないので奏翔は蒼葉とともに教室へと向かった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』
KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。
日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。
アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。
「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。
貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。
集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。
そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。
これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。
今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう?
※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは
似て非なる物として見て下さい
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密
藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。
そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。
しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。
過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる