アゲインスト・レグナ

神猫

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<Chapter1>始動

<1-9>開始

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「今から特別実戦試験を開始する!試験時間は10分。それでは、始め!」
弘津先生の開始の合図とともに床に置かれていた宝石が宙へと上がる。すると付近にある土や石を吸い上げ、それらが人の形へと収縮し、硬化されていく。

「よっしゃあ!いくぜ!!」
その完成を待たずに、桐嶋が我先にと突っ込んでいく。
走りだした桐嶋の右手には奏翔と同じ形をした『天使』が握られていた。

「コンバージョンッ!」
左手を近づけ、桐嶋がそう叫びながら右手を放すと、突如空中に投げ出された天使が破裂し、四散する。
だが、四散したはずの天使は欠片の状態で空中に留まり、また桐嶋の手へ収束していく。
それらが集まりきった時には、桐嶋の手の中には一本の曲刀ができていた。

「はああぁぁっ!!」
出来上がった曲刀を右手でしっかりと持ち、左から右へと一気に振りぬく。

しかし、その斬撃は間に合わなかった・・・

「くっ・・・」
曲刀は、すんでの所で完成したゴーレムの肩で埋められ、押さえられていた。
桐嶋は振りぬいた方向と逆向きに剣を振ることで、なんとか剣を引き抜く。
体制を立て直しながら、間合いをとった桐嶋は、突っ立たままの奏翔の方を見る。

「おい!何やってんだ。奏翔も早く準備しろ!」
そう言われて、我に返った奏翔はすぐさま、試験の説明の時に桐嶋から言われた事を思い出す。

俺が先に突っ込んで、二体・・・万が一できなくても必ず一体の注意を惹く。
その間に奏翔は俺とさっき言ったように叫べ。そうすれば・・・まあ、何とかなる!

そう笑いながら桐嶋から言われた事を思い出した奏翔は、その言葉通り行動する。

「・・・コンバージョンッ!」
空中へと投げ出された奏翔の天使は、桐嶋の時と同じように四散し、空中へと留まる。

よし、あとは意識を手に集中すれば・・・

奏翔が意識を集中させると、空中にとどまった天使が再び両手へと集まっていく。


だが、その途中で突然ガラスが割れるような音が響いた。
その音が自身の天使からなった音だと奏翔が気づいた瞬間、剣へと形を成そうとした天使は爆発した。
その爆風によって奏翔の身体はたやすく吹き飛び、一本の木に背中からぶつかる。
地面へと落ちた奏翔の頭からは、血が流れていた。

「っ!?大丈夫か、奏翔!?」
吹き飛んだ奏翔を見て、桐嶋が驚く。しかも、桐嶋が攻撃していないゴーレムの意識は吹き飛んだ奏翔へと向いていた。

「くそっ・・・こんな時に失敗かよ」
奏翔を助けに行こうとするが、目の前のゴーレムに阻まれてしまう。

「邪魔だっ!」
再び剣を振るうが、硬い体はそう簡単に崩れない。
その間に、奏翔へとゴーレムが近づいていく。

何が・・・

揺れる視界に惑わされながら、奏翔が頭を上げた時、目の前にはもうゴーレムがいた。
それを見た瞬間、奏翔の脳裏に恐怖が走る。
殺されるという現実を味わったことのない奏翔にはその恐怖が鮮明に感じられた。

「奏翔っ!逃げろ!!」
そう叫ぶ桐嶋の声は聞こえるが、奏翔の足は動かなかった。
恐怖という感情によって動かせなかった。

俺は・・・死ぬ・・・のか?

ゆっくりと太い腕を上げるゴーレムを映しながら、徐々に奏翔の目は閉じていく。
そしてゴーレムがその腕を振り下ろそうとした時、ついさっきまで聞こえてた声がした。

「グラス・ギガ」
その声に目を開けた奏翔の前にはゴーレムの腕があった。
だが、その腕は凍っていた。

「全く・・・手間をかけさせるなと言ったのに」
そう呆れながら、奏翔の横に現れたのは、試験開始から消えていた弘津先生だった。

視界の奥に見えるもう一体のゴーレムも同じように凍り付いていた。
「お前らは、やっぱり問題しか作らんな・・・・セルティフ」
血が出ている奏翔の頭へと手を伸ばし、そう唱えると奏翔の身体からは痛みが消え、意識が遠くなっていく。

「それは鎮痛剤みたいなもんだ。傷が治ったわけではない。だから、今は寝てろ」

その言葉を聞き終える前に、奏翔の意識は深くへと沈んでいった・・・
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