死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?

わんた

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いーーだ!

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 戦いに慣れている人たちの調査をするからか、十数人もの衛兵のひとたちが冒険者ギルド内に入ってきた。

 昔テレビで見た、反社会勢力にガサ入れしている雰囲気にいている。

 受付のカウンターの奥にまで入っていって、建物の隅々まで調査するみたい。依頼を受けようとしている冒険者たちは尋問をするのか、パーティ単位でどこかに連れて行かれている。

 出入り口や窓はおさえられてしまっているので、逃げ出そうとしてもできない。

 やましいことは何もしてないので怯える必要なんてないんだけど、大股で近づいてくる衛兵を見ると、どうしても緊張してしまう。

「後ろに隠している女を見せろ」

「断る」

「いーーだ!」

 衛兵の命令にヘイリーさんとレベッタさんが反抗してしまった。メヌさんはハンマーを手に持つし、アグラエルさんは周囲に氷の槍を浮かべて臨戦態勢に入っている。

 みんな好戦的すぎるでしょっ!
 公務執行妨害みたいな罪に問われるんじゃないのかな!?

 大事になってしまう前に、僕が止めるべきだろうか。

 悩んでいるとテレシアさんが来てくれた。

 助けて、という意味も込めて小さく手を振ると、微笑んでくれる。気持ちは伝わっただろうか。

「こいつらの調査は私がする。お前は別の冒険者を調べろ」

 テレシアさんが衛兵の肩に手を置いて、命令を出していた。

 上司に反抗なんてできないみたいで、僕たちを尋問しようとしていた衛兵はどこかに行ってしまった。

「事情を説明したい。五人とも付いてきてもらえないか?」

「信じて良いんだよね」

「レベッタなら知ってるだろ? 私はイオちゃんが好きだ。嫌がることをするはずないだろ」

 面と向かって好きと言われてしまい、こんな状況だというのに顔が熱くなってしまった。それに気づいたヘイリーさんがお尻をつねってきたけど、照れてしまったことぐらいは許して欲しい。

 クソ親父のせいで学校にすら通えてない僕は、女性への免疫がないんだよ。

「どこに連れて行くつもり?」

「紹介したい人もいるから衛兵所に来てくれ」

「なんだか嫌な感じがするけど、良いよ」

「じゃぁ行こうか」

 衛兵のトップが現場を離れて良いのかなと思ったけど、レベッタさんとのやりとりに口をはむことはできなかった。

 テレシアさんに連れられて、冒険者ギルドを出ると町の中を歩く。

 ぱっと視界に入る範囲にも衛兵っぽい女性が何人もいて、すごく物騒だ。

 厳戒態勢と言っても過言ではない。

 何か大きな事件が起きたのかもしれない。僕だけじゃなく、仲間のみんなや町に住む人々も感じていた。

* * *

 衛兵所につくと取調室ではなく、応接室に案内された。

 三人掛けのソファが二つ向き合うように置かれていて、レベッタさん、ヘイリーさん、メヌさんが座る。アグラエルさんはその後ろに立ち、僕はドラゴンの尻尾に巻かれて抱かれていた。

 これは何かあったときに、アグラエルさんが僕だけを運んで窓から逃げ出すためのフォーメーションだ。

 ふんふんと髪の匂いを嗅がれてしまっているけど、気にしてはいけない。

「いつまで待たせる気かなぁ~」

 不満を口に出したのはレベッタさんだ。

 案内が終わった後、テレシアさんはすぐに出て行ってしまったので、僕たちはしばらく待たされている。

「暇だからイオちゃんとイチャイチャする?」

「賛成」

 メヌさんがこの場にそぐわない提案をして、ヘイリーさんが受け入れてしまった。

 立ち上がろうとして腰を浮かしかける。

「大人しくしてろ」

 頼れるアグラエルさんが、二人の頭に拳を叩きつけて座らせてしまった。

 ここは外で、僕が男だと知らない人も沢山いる。みんなと触れ合うのは嫌いじゃないけど、場所ぐらいは選んで欲しかったので助かった。

「痛い」

「暴力的な女は男性に嫌われるよ」

 不安そうな目をしたアグラエルさんが僕を見てきたので、首を横に振って否定した。

 世の男はどう思うか知らないけど、強い女性は好きだ。たくましさを感じて安心する。

「問題ない。それよりも変態の方が嫌われると聞く。メヌの方が危ないんじゃないのか?」

「イオちゃんは心が広いから大丈夫だから」

「そう思っているのはメヌだけかもな」

「へぇ。アグラエルも言うようになったね」

 やばいケンカが始まりそうだ。メヌさんが立ち上がってアグラエルさんの前にきた。お互いに顔を近づけて威嚇し合っている。

 ピリピリした空気が応接室内に広がっていく。

「二人とも落ち着いて! ここでケンカしたら牢に入れられて、イオちゃんに会えなくなるよっ!」

 ピタリと二人の動きが止まった。

 衛兵所でケンカしてしまえば言い訳なんてできない。間違いなくレベッタさんが言ったとおり、牢に入れられてしまうだろう。しかも町中でのケンカより重い罪になりそうだから、出てこれるか分からない。

 それは二人も分かっているだろうけど、引っ込みがつかない状態である。ここは男である僕がきっかけを作るべきだろう。

「会えなくなったら悲しいです。私のためだと思ってケンカは止めてもらえませんか?」

「イオちゃんが言うなら良いよ。わかった」

 メヌさんはすぐに顔を離すとソファに座った。

 仲裁した効果が出たようだ。応接室でケンカしてしまうような事態は避けられた。

 この世界の女性は、たまにマウントの取り合いをするから、これからも気を付けるしかない。

 とりあえず場の空気を和ませよう。僕が今日の晩ご飯を何にするか話題を振って、みんなで盛り上がっているとノックもなく応接室のドアが開いた。
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