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イオちゃん、後ろを見て
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男の関わる事件が起こった。それは間違いないらしいんだけど、捜査をするのはルアンナさんたちだ。話し合いから一週間経過しても僕の生活は何も変わらない。
朝起きては冒険者ギルドで依頼票を見て、簡単な仕事を片付ける日々が続いている。ときには魔物とも戦って、バングルの効果を試すこともあった。よくわからない謎の言語――魔法語という呼び名らしい――の発音にも慣れてきて氷の魔法を思い通りに使えるようになっている。
駆け出しの冒険者として順調に経験を積んでいるのだ。
たまにスカーテ王女やルアンナさん、テレシアさんたちが遊びに来てくれるし、毎日が充実していて楽しい。
だから僕は、事件があったことなんて忘れて日常を楽しく過ごすことにしていた。
* * *
冒険者ギルドで依頼を受けると町中を歩いている。隣にはレベッタさんが機嫌良さそうに歌っていた。二人っきりだから嬉しいんだと思う。
僕たちの背負い袋の中には回復用のポーションがいくつも入っていて、治療院に持って行けば仕事は終わるらしい。僕だけ革鎧を着てショートソードまで持ってきたのに、拍子抜けするような内容だ。
「ねーねー。仕事が終わったら、どこかで買い食いしようね-」
「いいですよ。ちょうど食べたいのがあったんです」
「やったー! イオちゃんとデートだー!」
喜びが限界突破したらしく、飛び跳ねながら僕の周りをグルグルと回っている。
周囲にいる女性たちから奇異の目で見られているけど、気づいてないみたいだ。
心の中で迷惑かけてごめんなさいと謝っておいた。
「落ち着いてください。このままだと、衛兵に通報されちゃいますよ」
隙をついて腰に抱きついて動きを止めた。
「イオちゃん、我慢できなくなったのかな? 治療院の前にホテルへ行く?」
奇行は止まるだろうと思って行動したら、予想外の反応をされてしまった。
見上げると、レベッタさんは真面目な顔をしている。冗談で言っているわけではないようだ。
男性が少ない世界なのにホテルでイチャイチャする文化があるのは不思議だと感じるけど、きっと僕の妄想を超えるような何かをしているんだろう。
種族の違いによる差別はいたことないし、意外と多様性という面では進んでいるのかも。
彼女たちがナニをしているのか正直興味はあるけど、僕にはまだ早い。もっと色々と成長しなきゃいけないし、何よりもこの世界に馴染むまでは慎重になりたいと思ってる。夜の事情を知るのは後でもいいだろう。
「行きませんよ。ちゃんとお仕事しましょ」
「はーーい」
頬を膨らましたレベッタさんから離れると、手をつないで歩き出す。
体温と一緒に心までふれあっているように感じる。すごく幸せだ。何かが満たされるような気がした。
他にも似たようなことをしている人がいるので、女性同士でも変な目で見られない。むしろ普通といった感じだ。
やっぱり異性が少ないから、同性に走る人も多いんだろう。
青空の下、人通りの多い道を歩く。左右にはレンガ造りの建物が並んでいて、みんな楽しそうに買い物をしている。
デブガエルみたいな男が近くにいないので、ピリピリした空気はない。平和そのものだ。
冒険者たちが集まるエリアとは離れているし、衛兵の姿もよく見かけるので、このエリアは治安が良いのかもしれない。男性特区と同じぐらい安心できる。
しばらく進んでいくと路地に入った。目の前には緩い上り坂がある。ゴミは落ちてない。お店らしき建物もあって、危険な恨みとのような感じはしなかった。
「この先に治療院があるんだ。案内するね」
引っ張られるようにして坂を上っていく。思っていたよりも長くて終わりが見えない。太ももに疲労を感じて息が乱れてきたけど、レベッタさんは止まってくれない。
体力差がここまであるとは思わなかったなぁ。毎日のラニングは再開したけど、体力差が縮まったようには感じられなかった。
男は根性! なんて何度も心の中で叫びながら、地面を見ながら足を動かし続ける。
どのぐらい経ったかわからないけど、ついに登り切ったようだ。レベッタさんが止まったので、手を離してから汗を拭い、呼吸を整える。
「到着! イオちゃん、後ろを見て」
言われるがまま振り返った。
「……すごい」
今住んでいる町が一望できる。こんな場所あったんだ。
中心には壁に囲まれたエリアがあって、すぐに男性特区だと分かる。続いて、やたら大きな庭を持つ建物があつまっている場所に目が行く。
裕福層や偉い人たちが集まっているのだろう。一番大きな所はスカーテ王女が住んでいる屋敷だ。近くに背の高い建物があるので、もしかしたホテルなのかも。
目立つ場所の次は外壁周辺だ。遠くからじゃわかりにくいけど、ちゃんとした建物は少なく感じる。魔物が襲ってきたとき、最初に襲われる場所だから人が住みたがらないんだろうなぁ。
景色を見るだけでも、町の作りが分かって楽しい。
久々にワクワクする感じだ。
「どう? 良い景色でしょ」
「うん。素敵だ」
自慢したくなるのもわかる。これは確かに、僕の心を揺り動かしてくれた。
朝起きては冒険者ギルドで依頼票を見て、簡単な仕事を片付ける日々が続いている。ときには魔物とも戦って、バングルの効果を試すこともあった。よくわからない謎の言語――魔法語という呼び名らしい――の発音にも慣れてきて氷の魔法を思い通りに使えるようになっている。
駆け出しの冒険者として順調に経験を積んでいるのだ。
たまにスカーテ王女やルアンナさん、テレシアさんたちが遊びに来てくれるし、毎日が充実していて楽しい。
だから僕は、事件があったことなんて忘れて日常を楽しく過ごすことにしていた。
* * *
冒険者ギルドで依頼を受けると町中を歩いている。隣にはレベッタさんが機嫌良さそうに歌っていた。二人っきりだから嬉しいんだと思う。
僕たちの背負い袋の中には回復用のポーションがいくつも入っていて、治療院に持って行けば仕事は終わるらしい。僕だけ革鎧を着てショートソードまで持ってきたのに、拍子抜けするような内容だ。
「ねーねー。仕事が終わったら、どこかで買い食いしようね-」
「いいですよ。ちょうど食べたいのがあったんです」
「やったー! イオちゃんとデートだー!」
喜びが限界突破したらしく、飛び跳ねながら僕の周りをグルグルと回っている。
周囲にいる女性たちから奇異の目で見られているけど、気づいてないみたいだ。
心の中で迷惑かけてごめんなさいと謝っておいた。
「落ち着いてください。このままだと、衛兵に通報されちゃいますよ」
隙をついて腰に抱きついて動きを止めた。
「イオちゃん、我慢できなくなったのかな? 治療院の前にホテルへ行く?」
奇行は止まるだろうと思って行動したら、予想外の反応をされてしまった。
見上げると、レベッタさんは真面目な顔をしている。冗談で言っているわけではないようだ。
男性が少ない世界なのにホテルでイチャイチャする文化があるのは不思議だと感じるけど、きっと僕の妄想を超えるような何かをしているんだろう。
種族の違いによる差別はいたことないし、意外と多様性という面では進んでいるのかも。
彼女たちがナニをしているのか正直興味はあるけど、僕にはまだ早い。もっと色々と成長しなきゃいけないし、何よりもこの世界に馴染むまでは慎重になりたいと思ってる。夜の事情を知るのは後でもいいだろう。
「行きませんよ。ちゃんとお仕事しましょ」
「はーーい」
頬を膨らましたレベッタさんから離れると、手をつないで歩き出す。
体温と一緒に心までふれあっているように感じる。すごく幸せだ。何かが満たされるような気がした。
他にも似たようなことをしている人がいるので、女性同士でも変な目で見られない。むしろ普通といった感じだ。
やっぱり異性が少ないから、同性に走る人も多いんだろう。
青空の下、人通りの多い道を歩く。左右にはレンガ造りの建物が並んでいて、みんな楽しそうに買い物をしている。
デブガエルみたいな男が近くにいないので、ピリピリした空気はない。平和そのものだ。
冒険者たちが集まるエリアとは離れているし、衛兵の姿もよく見かけるので、このエリアは治安が良いのかもしれない。男性特区と同じぐらい安心できる。
しばらく進んでいくと路地に入った。目の前には緩い上り坂がある。ゴミは落ちてない。お店らしき建物もあって、危険な恨みとのような感じはしなかった。
「この先に治療院があるんだ。案内するね」
引っ張られるようにして坂を上っていく。思っていたよりも長くて終わりが見えない。太ももに疲労を感じて息が乱れてきたけど、レベッタさんは止まってくれない。
体力差がここまであるとは思わなかったなぁ。毎日のラニングは再開したけど、体力差が縮まったようには感じられなかった。
男は根性! なんて何度も心の中で叫びながら、地面を見ながら足を動かし続ける。
どのぐらい経ったかわからないけど、ついに登り切ったようだ。レベッタさんが止まったので、手を離してから汗を拭い、呼吸を整える。
「到着! イオちゃん、後ろを見て」
言われるがまま振り返った。
「……すごい」
今住んでいる町が一望できる。こんな場所あったんだ。
中心には壁に囲まれたエリアがあって、すぐに男性特区だと分かる。続いて、やたら大きな庭を持つ建物があつまっている場所に目が行く。
裕福層や偉い人たちが集まっているのだろう。一番大きな所はスカーテ王女が住んでいる屋敷だ。近くに背の高い建物があるので、もしかしたホテルなのかも。
目立つ場所の次は外壁周辺だ。遠くからじゃわかりにくいけど、ちゃんとした建物は少なく感じる。魔物が襲ってきたとき、最初に襲われる場所だから人が住みたがらないんだろうなぁ。
景色を見るだけでも、町の作りが分かって楽しい。
久々にワクワクする感じだ。
「どう? 良い景色でしょ」
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