死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?

わんた

文字の大きさ
144 / 188

ユーリテス:現在、ナイテア王国と調整しております

 ボレル島から戻ってきた私は旅の汚れを落としてから フカフカの厚い絨毯の上で膝を突いている。

 ここはブルド女王陛下の私室で、五人は余裕で寝られるベッド、民の家ほどあるウォークインクローゼット、小国の国家予算に匹敵するほどの宝飾品がしまわれているケースなど、目を引くものは多い。

 その中でも特に私が注目しているのは男だ。

 この部屋には他国から奪い取った男の奴隷が三人もいる。従順な性格になるよう調教されているので暴れるようなことはない。女王陛下の面倒を見るために存在しており、常に身の回りの世話をしている。今も紅茶を淹れた後、二人は足のマッサージ、残りは肩を揉んでいて非現実的な光景が広がっていた。

 羨ましいなんて思ったこともあったが、今はさほど嫉妬心というのは湧いてこない。きっとイオディプス君を知ったからだろう。

 可愛い彼の顔、優しい性格、意外と鍛えられた肉体、そして素晴らしいスキルの恩恵を見て感じ取ってしまえば、他の男なんて道に転がっている小石程度の価値しかなくなってしまう。

 あれを私だけのものにしたい。

 女としての欲望が心を締め付けてくるが、既に数人ほど決まった相手がいるみたいなので実現するのは不可能だろう。仮にブルド大国が奪い取ったとしても女王陛下が占有してしまうので、貸してもらうことはできたとしても占有は不可能だ。もしやるとしたら革命を――。

「視察ご苦労だった。報告を聞きたい」

 物騒な思考になりかけていると、ソファに座っているブルド女王陛下の声で我に返る。

 今は目の前のことに集中しないと。

「イオディプス君については、密偵からの報告通りの存在でした。見た目は可愛らしく女性に優しい理想的な男性です」
「私の奴隷と、どっちがいい?」
「女王陛下が寵愛している男性を評価するなんて畏れ多いです」
「許可する」

 気に入っているペットをけなされて気分が良くなる女なんていないので、逃げようと試みたのだが失敗してしまった。

 男奴隷の方が良いなんて嘘をついてもすぐにバレるだろうし、本心を伝えるしかないか。

「圧倒的にイオディプス君です」
「ほぅ。ユーリテスにそこまで言わせるか」
「特にスキルブースターは最高です。アレを経験してしまったら離れられません」

 国内に残っている文献とナイテア王国に放っている密偵の報告によって、能力はわかっていた。

 スキルを強化して時には進化させるという恐るべき能力で、発動条件は大切に思う相手という曖昧なもの。明確な効果範囲まではわからないが、少なくとも視界に入っていればスキルブースターの恩恵は受けられる。まさに規格外の能力だ。SSランク指定されるのも納得である。

「ユーリテスはスキル進化まで体験したのか?」
「はい。私は剣聖のスキルになりました。あの時の万能感と元のスキルに戻ったときの喪失感は今もなお、鮮明に覚えております」

 生まれたときから騎士というスキルを覚えていた。剣術、槍術、弓術、馬術、戦術など幅広くサポートしてくれる万能な効果を持っている。今までは最高のスキルだと思っていたのだが、剣聖はまさに格が違った。

 全身から溢れ出す力、剣を持てば神すら斬れるだろう自信、目の前に数千の軍があっても勝てるだろうという確信を持てたのは、あの時が初めてだ。イオディプス君さえいれば、ブルド大国で革命を起こしても成功するかもしれない。世界最大の下剋上だって実現可能な魅力があった。

「ほう。それほどか」

 興奮したのかペロッと舌を出して唇を舐めた。

 寵愛している奴隷の評価を下げても機嫌は損ねてないようである。

「イオディプスはいつ来るんだ?」
「現在、ナイテア王国と調整しております」

 ピクリと眉が動いた。

 あれは気に入らなかったときに出す反応だ。我慢のできない女である。イオディプス君を紹介していいか悩むな。

「一カ月以内に決まらなければ攻め落とそう」
「ま、待ってください! 今回はスキルブースターの特性を考えて戦争は回避する方針だったじゃないですか!」

 国力に差があるので奪い取ることも可能だろうが、イオディプス君の憎しみは我々に向いてしまう。

 そんな相手にスキルブースターを発動させたいと思うだろうか?

 様々な情報を精査した結果、彼の性格と発動条件を考慮すると、ないと結論を出している。

 貴重なSSランクスキルを死蔵させるのは大いなる損失になるからこそ、ボレル島では圧力をかけても武力で制圧する手段はとらなかったのだ。ビーチレスリングを受けたのも、ブルド大国に来てくれる約束さえ取り付けられれば何でも良いという女王陛下の勅命があったからこそで、勝敗なんて気にはしていなかった。

 まぁ、生意気なルアンナをボコボコにできたのは気分爽快だったが。

「むむ……確かにそうなんだが……私はユーリテスが評価する男は早く見たい」
「だとしても暴力だけはダメです。話を聞いていた以上にイオディプス君は争いを嫌っております」
「それほどか?」
「はい」

 争いから離れた場所で、命の大切さを教育されて育ってきたのだろうことはすぐに想像できた。でなければ、自分の身を商品にしてまで女同士の争いを止めようなんてしない。

「ふむ……なら仕方がない、か。だが、私の我慢も限界はあるぞ?」
「ナイテア王国には、一カ月以内に日程を決めるよう厳しく伝達しておきます」
「念話のスキル持ちを派遣しているのだろう? 期限は一週間以内だ。それ以上の時間をかけるようであれば奪い取るとでも言っておけ」
「ですが争いは……」
「心配するな。人を傷つけず奪い取る方法なんていくつもある。あのポンチャン教のミシェルだってやったことだ。問題はないだろう」

 欲しいものを手に入れるときだけ頭が回る。

 事実であるため反論は思い浮かばなかった。

「話は以上だ。これから男と楽しむから出て行け」
「かしこまりました」

 立ち上がると私室から出て行く。

 外で待機していた侍女がドアを閉めると、喘ぎ声が聞こえ始めた。

 ああやって毎日、男どもと遊んでいるのだ。

 やはりイオディプス君を渡すには相応しくない。彼には一途な女が似合うのだ。

======
あとがき
3章が終わりました。楽しんでいただけたでしょうか……?

Kindleにて電子書籍版2巻がAmazonにて好評販売中です!
購入してもらえると更新を続けるモチベーションになります!
(Unlimitedユーザーなら無料で読めます)
感想 28

あなたにおすすめの小説

男女比の狂った世界で俺だけ美醜逆転してるんだが…。

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、青山春。 日本によく似たパラレルワールド(男女比1:9)で彼女を作るために色々する物語。 前世の記憶のせいで、俺だけ美醜が逆転してしまっているので、この世界で可愛いと言われている子達には興味がない…。 うん。ポジティブに考えれば、前世で女優やモデルを出来る容姿の子とお付き合いできるのでは!? と、幼少期に光〇氏計画を実行しようとするも断念。 その後は勉強出来るのおもしれぇ! 状態に陥り、時が流れ大学に入学。 そこで義務を思い出し二十歳までに彼女が欲しい!いなきゃしんどい!と配信を始めてみたり…。 大学の食堂で出会った美人とお近づきになろうとしたり…! 作者が暗い話が嫌いなので、基本的に明るめの話構成になってるはずです。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

男が少ない世界に転生して

美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです! 旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします! 交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。