借金まみれの錬金術師、趣味で作ったポーションがダンジョンで飛ぶように売れる~探索者の間で【伝説のエリクサー】として話題に~

わんた

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第6話 求む、助っ人

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 突如として魔力持ちの人間が生まれ、俺たちは第三世代と呼ばれている。

 ダンジョン攻略やスキルの熟練度を優先されたため、義務教育すらまともに受けず、スキルの使い方や魔物との戦い方を学んできた。

 そういった政策のせいで常識に疎い自覚はあったが……まさか路上販売が違法だとは!

 格好よく言えば青天の霹靂、俺の気持ちを素直に表現するのであればガチ? ってところか。

 法に反してしまえば錬金術師の免許は剥奪されてしまう。流石にそれは避けたい。

 万策が尽きてしまったので、トボトボと歩いて家に帰るとベッドで横になった。

 素材がないので錬金術スキルは使えないし、金稼ぎのアイデアも思い浮かばない。

 果報は寝て待て。

 あくびをすると、一眠りしようかと思って目を閉じる。

 ぺちっと、おでこを軽く叩かれた。

「マスター、お金がないので夜ご飯すら用意できませんが、寝るんですか?」
「そうは言うけど、お金稼ぐの難しくない?」
「それは、わかります。想像していた以上に法律の壁は高いですね」

 実は帰りにユミが日雇いのバイトをすると申し出たのだが、契約した精霊やテイムした魔物は単独で行動させてはいけないという法があって断念していた。

 俺が働けばいいのだが、錬金術以外は人並み以下だ。一時間も立たずクビになるのは、やる前から分かっている。

 他人に迷惑をかけるまえに、自主的に辞退したのである。

「ご両親には頼れないのでしょうか?」
「死んでいるからねぇ。親戚もいないし、借りれる相手はいないんだよねぇ」
「でしたら、知晴さんはどうですか? マスターを評価してくれていますし、錬金術師として金稼ぎのアイデアを出してくれるかもしれません」

 悪くない考えだ。少なくとも俺たちより常識があって経験も豊富なのだから、相談すれば解決の糸口ぐらい見つかるだろう。

 ベッドから起き上がってスマホを取り出す。

 電話をかけるがつながらなかった。というか、通信ができない。

「料金を支払ってなかった」
「マスターそれは……」

 残念な子を見るような目をされてしまったが、スマホ代未払いについてはユミも忘れていたじゃないか。同罪とまでは言わないけど、責められるようなことじゃないぞ。

 多分……ね。

「こうなったらギルドに乗り込むか?」
「それは止めた方が良いと思います。知晴さんの言葉が正しければ、品質を追い求めるマスターは邪魔者です。家賃未払いを理由に、資格を取り上げられる可能性すらあります」

 確かにユミの指摘したとおりだ。そういえば会員費すら払った記憶が無いので、いつ免許が失効してもおかしくはない。

 今は知晴さんが良い感じに誤魔化してくれているんだと思うんだけど、俺がギルドで騒ぎ、守り切れないだろう。

 目を付けられて本格的に調査されたらヤバイ。

 錬金術師の免許が失効した状態で、ポーションを売ったら路上販売以上の犯罪になる。錬金術が出来ないのであれば生きている意味がない。何としても免許だけは死守しなければ。

「ギルド前で待ち伏せして捕まえるか」
「賛成です」

 方針は決まった。俺は今の服装で問題ないが、ユミは目立つのでブルーのワンピースと麦わら帽子に着替えさせた。顔と髪を隠せているので、注目を集めなくなっただろう。

 錬金術ギルドの定時は18時だ。支部長となれば残業ぐらいしているはず。

 今出ても暑い外で待つことになるので、時間までは家で待機しておくか。

「18時頃にギルド前へ行く。それまでは自由行動だ。俺はお昼寝するが、ユミはどうする?」
「わかりました。私は食べられる物が残ってないか、家の中を探しておきます」
「頼んだよ」

 勤勉で真面目なユミに感謝しながら、俺は昼寝という贅沢を堪能することにした。

 * * *

 定時に近づいたので、錬金術ギルド前で入り口を監視している。

 知晴さんの姿はない。

 立っているのも疲れたので近くのベンチに座ると、ユミが水筒を渡してくれた。

「熱中症になるかもしれませんので、飲んでください」

 蓋を開けて口を付けると、冷たい水だった。氷が入っている。

 飲めば汗が引いていく。気づかいがありがたかった。

 電気だけは自家発電できるようにしていて良かった。

「ありがとう」

 十分に喉が潤ったのでユミに返した。

 飲み口の部分をじーっと見ている。たまにこうやって固まるのだが、調子が悪いのだろうか。

 病院に連れて行こうにも、精霊を診れる医者なんていないしなぁ。

 悩みながら視線を前に向ける。

 スーツを着た知晴さんがいた。あのハゲ頭とまん丸なお腹は見間違えようがない。汗をかいているようで、ハンカチでおでこを拭っていた。

「見つけた。行こう」
「あっ」

 止まっているユミの手を握って歩き出す。

 向こうも気づいたようで走ってきた。

「お前! 何しに来た!」
「ちょっと話したいんだけど……」

 左右をキョロキョロと見た知晴さんは、息を吐くと小さな声を出す。

「深夜、お前の家に行く」
「今来てくれない?」
「会食があるから無理だ。待っていろ」

 返事なんて待たずに、どこかへ行ってしまった。

 会食かぁ。ギルドの金でご飯を食べられるんだよな。いいなぁ。

「ぐぅ~」

 豪華な食事を想像したら腹が鳴ってしまった。

「お腹減りましたね」
「そういえば家に食料はあった?」

 首を横に振られてしまった。ユミが探して見つからないのであれば、本当にないのだろう。

 人間は数日ご飯を食べなくても生きていける。逆に言うと数日しか生きていけないのだ。

 人工精霊は契約者の魔力で生きているため、俺が死ねばユミの存在は消えてしまう。一蓮托生だ。

 悔しいが常識のない俺じゃ限界がある。

 どうにかして知晴さんに助けてもらわなければ。

 ついでにお金も貸してもらえると嬉しいな。
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