借金まみれの錬金術師、趣味で作ったポーションがダンジョンで飛ぶように売れる~探索者の間で【伝説のエリクサー】として話題に~

わんた

文字の大きさ
21 / 64

第21話 ドラゴン討伐隊

しおりを挟む
「知晴の小僧が、裕真と話したいそうだ」

 ユミを抱きしめていたら、ばーちゃんがスマホを差し出してきた。

 受け取るとテーブルに置いてスピーカーモードにする。

「電話、替わったよ。どうしたの?」
「師匠から話は聞いた。ドラゴン騒動で一稼ぎしたいらしいな」
「うん。行商として参加できると最高なんだけど、知晴さんの力で何とかなるかな」

 お願いはしてみたけど、あまり期待はしていない。

 だって交渉相手は探索者ギルドだからね。

 錬金術ギルトとは別組織だから、いくら支部長とはいえ俺をねじ込むのは難しいだろう。

「今、探索者ギルドと討伐隊編成について話し合っているのだが、後方支援部隊を作ることになった。そこに、ねじ込むことはできるぞ」
「後方支援部隊に入れば、回復ポーションを売りさばけるの?」
「まあな。正確に言うと、その場では配って消費した分を後で探索者ギルドが買い取る感じになるがな」

 ドラゴン討伐はギルド主体だからお金を出す人が違うのか。

 前回の行商とちょっと形は変わるけど、商売になるのは間違いない。お金は稼げる。

 抱きかかえているユミを見ると、目をキラキラとさせていた。これは断れないな。

「回復ポーションは自分で用意して、死にかけの探索者に売ればいいんだよね?」
「死にかけって、お前……まあいいか。流れとしては、それで問題ない。探索者ギルドの人間が同伴するから、使用した各ポーションは報告しておけ。後で口座に直接振り込まれる」
「それは楽でいいね。価格はどうなっているの?」

 ユミの望みは高値で売ることにある。

 緊急事態だからって安く売れと言われたら、今回は引き下がるつもりだ。

「上級回復ポーションは一本300万円だ。他も調整中だが、危険手当として店で売るより高くなる」
「いいですね! 交渉頑張って下さい!」

 知晴さんの話を聞いてユミが楽しそうに言ったので、価格は問題なさそうだ。

 うん、よかったね。

「その声はユミか。師匠から聞いたんだが、新しいゴーレムを作ったらしいな」
「ミスリル水銀スライムのことですね。マスターが作ってくれました」

 一部強調していた気もするけど、ユミは変わらず嬉しそうにしているので気にしないでおくか。

「ミスリルと水銀の融合ゴーレムか。またギルドにない未知のレシピを開発したようだな」
「欲しければあげるけど」
「そんなことしたら、師匠に殺されるからいらん。秘匿しておけ」

 適正量を見つけるのは大変だったけど、素材の組み合わせ自体は特殊じゃない。別に公開しても問題ないと思うんだけど、ばーちゃんが俺を睨んでいたので、余計なことを言うのは止めておいた。

 ここは知晴さんに従っておけと、弟子だったときの勘が言っている。

「わかったよ」

 電話の向こう側から、安堵した声が聞こえた。

 何を心配しているのかわからないけど、知晴さんにはお世話になっているからね。安心したのであればよかった。

「探索者ギルド側との価格調整が終わったら、ユミのスマホに送っておく。後でしっかり説明を聞いておくんだぞ。それじゃ、またな」

 俺に送らないところがちゃんとわかっていて素晴らしい。

 当日まで錬金をするだけで問題なさそうだ。

 通話終了ボタンを押してから、スマホをばーちゃんに返した。

「話はまとまったようだな」
「うん。お金も稼げるようで助かったよ。それでさ、新しい相談なんだけど、ドラゴン討伐が終わるまでばーちゃんの家でお世話になってもいい? 素材がたっぷりあるから、商品を用意しておきたいんだよね」

 金を稼ぐチャンスなんだから色んな物を売りつけておきたい。

 錬成する度に渋谷からここまで来るのはめんどうだから、立ち入り禁止が解除されるまで住もうと思ったのだ。

「かまわんよ。家も素材を保管する設備も裕真の物だ。ついでに、わしもな」
「そっか。あははは」

 ばーちゃんはちょっと遠慮したい。

 笑って誤魔化していると、ユミが前のめりの返事をする。

「師匠のお世話は任せて下さい!」

 すごいやる気だ。どうしたんだ?

 俺に面倒がなければ、まあいいのか?

 考えるのが面倒になったので、流れに任せよう。悪いようにはならないさ。

「いい娘だねぇ。裕真、大切にするだよ?」
「言われなくても、そうしているよ」
「ならいい」

 満足そうに言うと、ばーちゃんは立ち上がった。

「渋谷ダンジョンに、ドラゴンが出現する異常事態が発生しているんだ。装備も調えた方がいいだろう。ヒヒイロカネを使うなら腕の良い鍛冶師を紹介するが、どうする?」

 実は使いたくてウズウズしていたんだよね。

 ヒヒイロカネは素材そのままで使うべきだから、鍛冶スキルの腕次第で完成度が変わってくる。

 ばーちゃんの紹介なら間違いないだろう。

「武器にするつもりだったから紹介お願い!」
「任せな。腐れ縁だが日本で最高峰の鍛冶師を使わせてやる」

 自信ありって感じだ。ヒヒイロカネは扱いが難しい。ばーちゃんもわかっているだろうから、人選はまるっとお願いすれば大丈夫だ。

 俺はその間、素材を見繕ってドラゴン討伐用に必要な回復ポーションを作って待っていればいいだけ。

 店の滞納分の返済もできそうだし、最近はついているな!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~

仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。 祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。 試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。 拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。 さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが…… 暫くするとこの世界には異変が起きていた。 謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。 謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。 そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。 その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。 その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。 様々な登場人物が織りなす群像劇です。 主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。 その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。 ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。 タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。 その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。 彼はその日から探索者――シーカーを目指した。 そして遂に訪れた覚醒の日。 「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」 スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。 「幸運の強化って……」 幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。 そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。 そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。 だが彼は知らない。 ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。 しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。 これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。

処理中です...