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第64話 放置ダンジョンの価値
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「よし、敵は全滅したな。先に進むぞ」
「素材を採取する時間は取れない?」
トレントの枝やバーサーカー・ビートルの外殻は錬金術や鍛冶に使える。いくつか確保しておきたかったので、誠に許可をもらおうとしたのだ。
「騒ぎを聞きつけた別の魔物が来るかもしれない。今は移動を優先したいんだが……」
控えめな態度なのは、採取していいと約束をしていたからだ。
ごり押しすれば許してくれそうな雰囲気だけど、ユミを危険にさらすわけにはいかないか。貴重な素材ではないし、次の機会にしよう。
「わかった。誠の判断に従うよ」
「助かる」
方針が決まったので、俺たちは移動を再開した。
運よく魔物とは出会わず奥へ進んでいく。そろそろラルクノアの群生地がある場所にまで近づくと、全員が解毒ポーションを飲んだ。
最低でも30分は効果が持続するので、足を踏み入れても倒れることはない。
何事もなく川の近くに咲き乱れる真っ赤な花を発見した。
「これは、すごい! 群生地だけで、このダンジョンの価値が激変するよ! もしかしたら渋谷ダンジョンよりも人気になるかもね!」
一攫千金とは探索者の夢である。
それを実現できるのがラルクノアだ。
ルートと魔物の分布さえ分かれば、ベテラン探索者なら群生地にたどり着くことはできるだろう。魔物の数を考えれば数人は死んでしまいそうだけど、言い値で買い取ってくれるラルクノアであれば参加する人は絶えないはずだ。
「川に沿って下っていくとブルーボルド草とイエローボルド草の群生地がある」
「渡った先には?」
「わからん。そこまでは調査できなかった」
「だったら今回は行こう。少ししたら森を抜けて岩場につながっているはずだよ」
ドローン一号の尊い犠牲によって手に入れた情報だ。
この目で直接確認せず、帰るなんてできない。
「あの鳥がまだいるかもしれない。今日は川上の方を調査して、岩場は明日にしないか?」
「俺もファイヤーバードと出会いたくないからね。そうしよう」
火の玉を吐いたから勝手に命名してやった。
意味は通じたみたいなので、今後も使い続けよう。
「信也は前方、光輝は川を警戒して進んでくれ。俺は圭子と裕真の護衛に専念する」
ユミの名前は呼ばれなかったが、意地悪をされているわけじゃない。俺の護衛という固定した役割があるので、誠は指示を出さなかったのだ。
隊列を調整して歩き始めたんだけど、川岸の地面には石が沢山転がっているので歩きにくい。
途中で小さな滝が出現して崖を登らなければならなくなったんだけど、ミスラムを階段状にすることで難所を軽くクリアした。武具だけじゃなく便利な道具にもなる、頼もしいゴーレムだね。作っておいてよかった。
さらに30分ほど歩いていると、今度は大きな滝に遭遇した。高さは10メートルほどあって、ミスラムを階段にしても届きそうにない。
別の道がないか探すために滝の裏に入ると、ツヤツヤした透明のクリスタルのような物を発見した。恐らく石英だろう。こういった場所に何らかの鉱脈があるかもしれないと、昔聞いたことがある。
もちろん何もない場合もあるんだけど、軽く探すぐらいはしたいな。
「ねぇ。この岩を少し採掘できないかな?」
誠の腕をぽんぽんと叩いた。
破拳のスキルは殴った対象を破壊する能力があるので、叩きつければ穴を開けられると思ったのだ。
「やるだけ、やってみるか」
腰を落として誠が構えると、肘まで伸びている白い手甲が光った。スキルを発動した証拠だ。
ユミはミスラムを使って大盾を作ったので、俺たちは後ろに隠れる。これで破片が飛んできても怪我はしないはずだ。
誠が石英のあった場所に向けて一発殴った。小さな穴ができただけだが、二発目で大きなヒビが入り、三発目で穴が広がる。1メートルぐらいは掘れただろうか。
「もういいか?」
「ダメ! もっと奥まで調べたい!」
武器として使っている白い手甲は傷ついてないんだ。誠の体力も大丈夫そうだし、ワガママを言ってみた。
今回は譲らないよ!
「わかったよ」
マナポーションを飲んでから、誠は破拳のスキルを連続で使う。どんどん横穴は深くなっていって、最後は5メートルほどまで掘れた。
これなら軽く調べるには十分だろう。
マジックバッグからライトを取り出して、穴の中を確認していく。
石英が光を反射するなか、岩に白いラインがあるのに気づいた。ライトを近づけるとキラキラと光っている。さらにエーテルの反応を確かめるため、測定器を近づけると周囲よりも数値が10倍以上も高い。
これは決定だ。新しい鉱脈を見つけたぞ。
穴から出て、皆に報告する。
「ここにミスリル鉱脈がある。埋蔵量はどのぐらいかは、調べないと分からないけど、純度は高そうだ」
「ラルクノアの他にも貴重な素材があったのか。さらに価値は高まったな」
渋谷ダンジョンが人気なのは、ミスリル銀が採取できるからだ。
放置ダンジョンにも存在するのであれば、ここが人気になる理由がさらに1つ増えたね。
鍛冶スキル持ちがいれば、鉱石からミスリル銀だけを抽出できるから、持ち帰るのは不純物を除いた少量になるし、錬金術師を雇えばマジックバッグが使える。
山奥にあるからといって運搬が大きな問題になる可能性は低い。
「疲れたから、俺はもう動きたくない。ここで一泊するぞ!」
外を見れば太陽が沈み始めていた。
新しい発見もできたことだし、俺も賛成だ。
滝の裏側から出て川岸から少し離れる。地面が平らなところを選んで、俺たちはテントを張ることにした。
「素材を採取する時間は取れない?」
トレントの枝やバーサーカー・ビートルの外殻は錬金術や鍛冶に使える。いくつか確保しておきたかったので、誠に許可をもらおうとしたのだ。
「騒ぎを聞きつけた別の魔物が来るかもしれない。今は移動を優先したいんだが……」
控えめな態度なのは、採取していいと約束をしていたからだ。
ごり押しすれば許してくれそうな雰囲気だけど、ユミを危険にさらすわけにはいかないか。貴重な素材ではないし、次の機会にしよう。
「わかった。誠の判断に従うよ」
「助かる」
方針が決まったので、俺たちは移動を再開した。
運よく魔物とは出会わず奥へ進んでいく。そろそろラルクノアの群生地がある場所にまで近づくと、全員が解毒ポーションを飲んだ。
最低でも30分は効果が持続するので、足を踏み入れても倒れることはない。
何事もなく川の近くに咲き乱れる真っ赤な花を発見した。
「これは、すごい! 群生地だけで、このダンジョンの価値が激変するよ! もしかしたら渋谷ダンジョンよりも人気になるかもね!」
一攫千金とは探索者の夢である。
それを実現できるのがラルクノアだ。
ルートと魔物の分布さえ分かれば、ベテラン探索者なら群生地にたどり着くことはできるだろう。魔物の数を考えれば数人は死んでしまいそうだけど、言い値で買い取ってくれるラルクノアであれば参加する人は絶えないはずだ。
「川に沿って下っていくとブルーボルド草とイエローボルド草の群生地がある」
「渡った先には?」
「わからん。そこまでは調査できなかった」
「だったら今回は行こう。少ししたら森を抜けて岩場につながっているはずだよ」
ドローン一号の尊い犠牲によって手に入れた情報だ。
この目で直接確認せず、帰るなんてできない。
「あの鳥がまだいるかもしれない。今日は川上の方を調査して、岩場は明日にしないか?」
「俺もファイヤーバードと出会いたくないからね。そうしよう」
火の玉を吐いたから勝手に命名してやった。
意味は通じたみたいなので、今後も使い続けよう。
「信也は前方、光輝は川を警戒して進んでくれ。俺は圭子と裕真の護衛に専念する」
ユミの名前は呼ばれなかったが、意地悪をされているわけじゃない。俺の護衛という固定した役割があるので、誠は指示を出さなかったのだ。
隊列を調整して歩き始めたんだけど、川岸の地面には石が沢山転がっているので歩きにくい。
途中で小さな滝が出現して崖を登らなければならなくなったんだけど、ミスラムを階段状にすることで難所を軽くクリアした。武具だけじゃなく便利な道具にもなる、頼もしいゴーレムだね。作っておいてよかった。
さらに30分ほど歩いていると、今度は大きな滝に遭遇した。高さは10メートルほどあって、ミスラムを階段にしても届きそうにない。
別の道がないか探すために滝の裏に入ると、ツヤツヤした透明のクリスタルのような物を発見した。恐らく石英だろう。こういった場所に何らかの鉱脈があるかもしれないと、昔聞いたことがある。
もちろん何もない場合もあるんだけど、軽く探すぐらいはしたいな。
「ねぇ。この岩を少し採掘できないかな?」
誠の腕をぽんぽんと叩いた。
破拳のスキルは殴った対象を破壊する能力があるので、叩きつければ穴を開けられると思ったのだ。
「やるだけ、やってみるか」
腰を落として誠が構えると、肘まで伸びている白い手甲が光った。スキルを発動した証拠だ。
ユミはミスラムを使って大盾を作ったので、俺たちは後ろに隠れる。これで破片が飛んできても怪我はしないはずだ。
誠が石英のあった場所に向けて一発殴った。小さな穴ができただけだが、二発目で大きなヒビが入り、三発目で穴が広がる。1メートルぐらいは掘れただろうか。
「もういいか?」
「ダメ! もっと奥まで調べたい!」
武器として使っている白い手甲は傷ついてないんだ。誠の体力も大丈夫そうだし、ワガママを言ってみた。
今回は譲らないよ!
「わかったよ」
マナポーションを飲んでから、誠は破拳のスキルを連続で使う。どんどん横穴は深くなっていって、最後は5メートルほどまで掘れた。
これなら軽く調べるには十分だろう。
マジックバッグからライトを取り出して、穴の中を確認していく。
石英が光を反射するなか、岩に白いラインがあるのに気づいた。ライトを近づけるとキラキラと光っている。さらにエーテルの反応を確かめるため、測定器を近づけると周囲よりも数値が10倍以上も高い。
これは決定だ。新しい鉱脈を見つけたぞ。
穴から出て、皆に報告する。
「ここにミスリル鉱脈がある。埋蔵量はどのぐらいかは、調べないと分からないけど、純度は高そうだ」
「ラルクノアの他にも貴重な素材があったのか。さらに価値は高まったな」
渋谷ダンジョンが人気なのは、ミスリル銀が採取できるからだ。
放置ダンジョンにも存在するのであれば、ここが人気になる理由がさらに1つ増えたね。
鍛冶スキル持ちがいれば、鉱石からミスリル銀だけを抽出できるから、持ち帰るのは不純物を除いた少量になるし、錬金術師を雇えばマジックバッグが使える。
山奥にあるからといって運搬が大きな問題になる可能性は低い。
「疲れたから、俺はもう動きたくない。ここで一泊するぞ!」
外を見れば太陽が沈み始めていた。
新しい発見もできたことだし、俺も賛成だ。
滝の裏側から出て川岸から少し離れる。地面が平らなところを選んで、俺たちはテントを張ることにした。
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