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私がこぶしを握りしめたまま姉に近づこうとしたとき、姉は私に言った。
「オリバーはあんたのこと好きじゃないのよ。ましてや愛してなんかいない。オリバーは私と一緒にいるとき、あんたの悪口ばかり言ってるんだから」
「……どういうこと?」
「察しが悪いわね。だから昔から嫌いなのよ。勉強もできないしどんくさい。絵を描かせても音楽をさせてもだめ。取り柄がなに一つない。オリバーがそんなあんたと一緒にいたいと思うわけないでしょ」
「私のことは放っておいて。なんでオリバーとお姉様が一緒にいたわけ?」
「オリバーがあんたじゃなくて私を愛してくれているからよ。出会った頃から、私と結婚したいって言ってたんだから。そうよね、オリバー?」
私はあの事件以来、オリバーと姉は二人きりでは会っていないと思っていた。だってあんなに取り沙汰されたんだよ。
それなのに……私の知らないところで二人は会っていた?
ねえオリバー? どうして黙ったままなの?
もしかして家にたくさん来てくれていたのは、姉に会うため……?
私は諦めきれなかった。希望はないかもしれないけど、オリバーをまだ信じていたい気持ちもあった。
かつてとちがって、今度は私が必死だった。
「オリバーは私に『絶対に幸せにする』って言ってくれたよね。私はあの日のあの言葉を信じ続けてきたし、今も信じてる。私もオリバーと結婚したい。夫婦になって、一緒に歳をとって、平凡に暮らしましょう?」
私が言葉を発すれば発するほど、オリバーの私への気持ちが手のひらからこぼれ落ちていくような気がする……。
姉とオリバーを引き裂くあの事件をきっかけにして、逆に恋が燃え上がってしまったんだろうか。オリバーは姉に私の悪口を言っているみたいだし……。否定もしないってことは、きっと事実なのね。オリバーは陰で私を笑い、姉にも同じように甘い言葉をささやいたんだわ。
「どっちもうるさいんだよ!」
オリバーが突然床を蹴った。
姉は「え?」という顔をした。
「オリバー、どうしたの? 前にも私の宝石をあげたでしょ? 足りなかった? 他にもほしい?」
「ソフィア、どんな生き方をすればそんなに妹を蔑むことができるんだ。口を開けば悪口ばかり」
オリバーが私をかばってくれてる……?
「オリバーはあんたのこと好きじゃないのよ。ましてや愛してなんかいない。オリバーは私と一緒にいるとき、あんたの悪口ばかり言ってるんだから」
「……どういうこと?」
「察しが悪いわね。だから昔から嫌いなのよ。勉強もできないしどんくさい。絵を描かせても音楽をさせてもだめ。取り柄がなに一つない。オリバーがそんなあんたと一緒にいたいと思うわけないでしょ」
「私のことは放っておいて。なんでオリバーとお姉様が一緒にいたわけ?」
「オリバーがあんたじゃなくて私を愛してくれているからよ。出会った頃から、私と結婚したいって言ってたんだから。そうよね、オリバー?」
私はあの事件以来、オリバーと姉は二人きりでは会っていないと思っていた。だってあんなに取り沙汰されたんだよ。
それなのに……私の知らないところで二人は会っていた?
ねえオリバー? どうして黙ったままなの?
もしかして家にたくさん来てくれていたのは、姉に会うため……?
私は諦めきれなかった。希望はないかもしれないけど、オリバーをまだ信じていたい気持ちもあった。
かつてとちがって、今度は私が必死だった。
「オリバーは私に『絶対に幸せにする』って言ってくれたよね。私はあの日のあの言葉を信じ続けてきたし、今も信じてる。私もオリバーと結婚したい。夫婦になって、一緒に歳をとって、平凡に暮らしましょう?」
私が言葉を発すれば発するほど、オリバーの私への気持ちが手のひらからこぼれ落ちていくような気がする……。
姉とオリバーを引き裂くあの事件をきっかけにして、逆に恋が燃え上がってしまったんだろうか。オリバーは姉に私の悪口を言っているみたいだし……。否定もしないってことは、きっと事実なのね。オリバーは陰で私を笑い、姉にも同じように甘い言葉をささやいたんだわ。
「どっちもうるさいんだよ!」
オリバーが突然床を蹴った。
姉は「え?」という顔をした。
「オリバー、どうしたの? 前にも私の宝石をあげたでしょ? 足りなかった? 他にもほしい?」
「ソフィア、どんな生き方をすればそんなに妹を蔑むことができるんだ。口を開けば悪口ばかり」
オリバーが私をかばってくれてる……?
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