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15 ローレンス視点

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ウィリアム様との交易の話を終え、僕は王都の街へ来た。自分の屋敷を出立してからはすでに二か月が経っていた。

ただでさえウィリアム様との会合が難航したのに、さらにここで”ローレンス”を名乗る盗賊を待つとなると、あとどれくらいの時間がかかるだろう。

手紙のやりとりはしているけど、ジュリエッタは僕を心配しているかもしれない。決して浮気をしているわけでもなく、やましい気持ちはないのだけど、疑われてもしかたないほど屋敷を空けてしまっている。




使用人に命じ、僕なりの捜査網を張り巡らせてみた。王都であれば貴族が多く出歩いているので格好だけでは判断がつきにくい。でも、リリアンから聞いた”ローレンス”の背格好や使用人の姿の情報もあるので、そのわずかな手がかりをもとに調べるしかなかった。

屋敷に帰らせていた使用人も戻ってきた。城からの請求書を精査してもらった結果、やはり僕や使用人が買ったものではないものが混ざっていた。しかも、月に一度僕の名前を使って買い物をしていることまでわかった。絶対に許せないぞこいつ……。

この事実がまだ王都警察にバレていないのは、不幸中の幸いだった。おそらく犯人の”ローレンス”も「まだバレていない」という認識を持っているだろうし、僕が捕まえるには好都合である。”ローレンス”は一度使ったお店は二度と使わないようで、お店の絞り込みもできる。






「ローレンス様! やつを見つけました!」

僕が使用人からその一報をもらったときには、王都の街に着いてから四か月が経っていた。僕自身は貴族の格好をやめていて、商人の格好をしていた。街に溶け込み、目立たないようにするためである。

「よくやった! 捕まえたか?」

「はい。街外れの道中で捕縛しました」

「よし、会いに行く」



宿を出て、街外れの道を急いだ。
使用人たちが”ローレンス”とその使用人を捕縛し、人目につきにくい森の中で拘束していた。

「ローレンス様。こいつらです。ローレンス様の名を使い、店で宝石を買いました。物はこちらになります」

それは皮肉にも、ジュリエッタ好みの赤い宝石だった。

「なぜこれを買った?」

僕がこう問うと、”ローレンス”は「ちっ」と舌打ちしたあと、「値段がちょうどよかったからだよ。どうでもいいだろ」と答えた。

ジュリエッタのために買った……というわけではなさそうだった。僕は胸を撫で下ろした。赤い宝石だとわかった瞬間、ゾクっとしたからだ。

ジュリエッタを1ミリでも疑わなかったかと言われると、事実ではないかもしれない。それくらい僕は自信を失っていたし、彼女を疑ってしまうほどの弱い心を自覚した。

信じているはずの人を疑うのが、こんなに辛いことだなんて……。

僕は”ローレンス”に向かってこう言った。
「お前に……会わせたい人がいる」
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