人違いで恋してしまった私を許してください。溺愛伯爵様は旅に出ました。

Hibah

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16 ローレンス視点

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僕は盗賊の”ローレンス”に事の成り行きを説明した。

「というわけで、お前を僕の屋敷に連れて帰る。もし妻にお前への気持ちが残っているなら、お前を見逃してやる。しかし残っていなければ、即刻王都警察に突き出す。お前にとっては損のない取引だろう? 僕は今すぐにだって王都警察を呼ぶことができるんだから」

”ローレンス”はニヤニヤしながら、
「そんなにかっこつけてていいのかい、本物のローレンスさんよ。俺が奥さんをかっさらっちゃうぜ。イヒヒヒヒヒ」
と気色悪い声を出した。

危険なことは理解している。でも厳重な警戒態勢のもとで会うなら、問題ないはず。いざというときは、僕が必ずジュリエッタを守る。

「服装は……そのままでいいだろう。どこからどう見ても立派な貴族様だ」

「そりゃどうも。後悔させてやるよ」




屋敷に着いた。
久しぶりの帰宅である。

……盗賊と一緒にいると思うと、道中この上なく苦痛だった。まるで自分まで盗賊になったような気分だった。

長い旅もようやく終わりに近づいている。

あとはなんとか明るく、何ごともなかったかのようにジュリエッタに振る舞わねば……。

「やあジュリエッタ! 長い間留守にしてすまなかったね!」

ジュリエッタが走って迎えに来てくれた。不安そうな顔から一転、安心したような顔に変わった。ジュリエッタの顔を見てほっとした。やっと帰ってきたんだ。

「お待ち……申し上げておりました。お帰りなさいませ」

ジュリエッタのかすれるような声を聞いて、申し訳ないことをしたという気持ちでいっぱいだった。彼女の目には涙がうっすら見える。やはり怒っているだろうか。主人がこんなに家を空けたのだから、さぞかし不安だったろう。

この上なく愛おしいと思った僕は、ジュリエッタを抱き寄せて、頭を撫でた。

「君が街で見たという”ローレンス”を連れて帰ってきたよ」

僕は盗賊の”ローレンス”を紹介した。不本意ではあるが、これが僕の道だった。

”ローレンス”はまるで貴族のようにスマートなおじぎをして、ジュリエッタに挨拶した。

「はじめまして、ジュリエッタさん。わたしのことを慕ってくれていたという話を聞いて、今日お会いできるのを楽しみにしておりました」

さすがペテン師。振る舞いもさることながら、さりげなく「自分のことを慕っていたんですよね」アピールをしている。その自信満々な態度で、男女問わずたくさんの人を騙してきたのだろう。

ジュリエッタは戸惑いながら「は、はあ……」と力ない声を漏らすだけだった。不意に訪れた再会にびっくりするのも無理はない。

反応がいまいちだと思ったのか、”ローレンス”はジュリエッタに向き合い、勇敢な声でこう言った。
「ジュリエッタさん、今すぐにとは言いませんが、私と結婚してもらえませんか?」
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