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青か黒か……?
何についての質問なんだろう。
「……青です」
クリフォード様の瞳が美しい青だったから、そう答えた。クリフォード様は「君は全身真っ黒なのにね」と愉快そうに笑った。確かに私は今日、黒い洋服を着ていた。
続けてクリフォード様が言った。
「ライナスに伝えておくよ。明日の狩りに呼んでるから、仲良くするといい」
ライナス様は、第二王子であり、クリフォード様の腹違いの弟である。ライナス様も狩りに行くということは、クリフォード様の愛人のことを知っているはず。自分の兄と平民との関係を黙認している……?
朝、私がクリフォード様と狩りに出かけるということで、城の一つの話題となった。仲の良い王族の夫婦は珍しいため、使用人たちが喜んだ。王族は基本的に身内でもいがみ合っていることが多く、争いになれば使用人たちの気苦労が多くなると聞いた。
森へ行く途中では、第二王子のライナス様とお話することができた。クリフォード様とよく狩りに出かけるそうで、狩りに使う弓はライナス様が調達し、クリフォード様にプレゼントするのだという。
ライナス様が私に言う。
「兄上は矢を放つのは苦手なんだけど、弓自体は好きみたいなんだよね。俺は断然射るほうが好きでね」
ライナス様は屈託のない笑顔で、まるで昔から家族だったかのように接してくれる。私は初めての狩りだったので緊張していたのだけど、ライナス様と話すとほっとした。
私はライナス様にきいた。
「お二人は昔から狩りがお好きなんですか?」
「いやいや、兄上が狩りを本格的にし始めたのは二年前くらいからだよ。俺が筋トレメニューまで考えて、矢を射る方法を伝授したんだから!」
「ライナス様は……クリフォード様が森へ行く本当の理由を……ご存知ですよね?」
ライナス様は笑顔を崩すことなく「あはははは!」と笑い声をあげた。
「午前中は一緒に狩りをするけど、午後になると俺は単独行動で狩りをする。兄上はその間、森の中の小屋にいるのかもしれないけど、狩りに夢中になっている俺が知るよしもないさ!」
なるほど……。今までライナス様がクリフォード様の逢瀬の隠れ蓑になり、ごまかしてきたんだ。ライナス様は兄に利用されているとわかっていて笑っているけど、かまわないのだろうか……?
ライナス様は続けて私に言った。
「俺はエリザベスに会うのが楽しみだったんだよ。君の話はよく母上から聞いていたから」
「え!? ベアトリス様から!?」
王妃教育の教育長はライナス様の母ベアトリス様である。城では「鬼のベアトリス」という異名を持っていて、各方面で恐れられていた。私も泣かされたことがあり、王妃教育では初日からベアトリス様の「睨みつけ」で多くの貴族令嬢が縮み上がる。そして、逃げるように実家へ帰っていく。
ライナス様は私の反応を見てニヤリとした。
「その様子だと母上からこっぴどくやられたようだね。でも、母上は君のことを褒めていた。珍しいんだよね、母上が人を褒めるのって」
「さ、さようでございますか……。良いように言ってくださっているなら……嬉しいのですが……」
「これからもよろしくね、完璧な王太子妃さん!」
そう言うとライナス様は青色の糸の装飾が施された鞭を馬に軽く当て、先を行った。前方のクリフォード様を追い越して、気持ちよさそうに駆けていく。
私たちは、森の中の小屋に着いた。狩りの拠点として使っている――というのが表向きの小屋。実際には……。
馬から降りて繋いでいると、小屋の中から一人の女が出てきた。クリフォード様はその女を確認すると、近づいていき、抱きしめた。
こうして私は、森の中で起きる奇妙な密会を見守る妻となったのだった。
何についての質問なんだろう。
「……青です」
クリフォード様の瞳が美しい青だったから、そう答えた。クリフォード様は「君は全身真っ黒なのにね」と愉快そうに笑った。確かに私は今日、黒い洋服を着ていた。
続けてクリフォード様が言った。
「ライナスに伝えておくよ。明日の狩りに呼んでるから、仲良くするといい」
ライナス様は、第二王子であり、クリフォード様の腹違いの弟である。ライナス様も狩りに行くということは、クリフォード様の愛人のことを知っているはず。自分の兄と平民との関係を黙認している……?
朝、私がクリフォード様と狩りに出かけるということで、城の一つの話題となった。仲の良い王族の夫婦は珍しいため、使用人たちが喜んだ。王族は基本的に身内でもいがみ合っていることが多く、争いになれば使用人たちの気苦労が多くなると聞いた。
森へ行く途中では、第二王子のライナス様とお話することができた。クリフォード様とよく狩りに出かけるそうで、狩りに使う弓はライナス様が調達し、クリフォード様にプレゼントするのだという。
ライナス様が私に言う。
「兄上は矢を放つのは苦手なんだけど、弓自体は好きみたいなんだよね。俺は断然射るほうが好きでね」
ライナス様は屈託のない笑顔で、まるで昔から家族だったかのように接してくれる。私は初めての狩りだったので緊張していたのだけど、ライナス様と話すとほっとした。
私はライナス様にきいた。
「お二人は昔から狩りがお好きなんですか?」
「いやいや、兄上が狩りを本格的にし始めたのは二年前くらいからだよ。俺が筋トレメニューまで考えて、矢を射る方法を伝授したんだから!」
「ライナス様は……クリフォード様が森へ行く本当の理由を……ご存知ですよね?」
ライナス様は笑顔を崩すことなく「あはははは!」と笑い声をあげた。
「午前中は一緒に狩りをするけど、午後になると俺は単独行動で狩りをする。兄上はその間、森の中の小屋にいるのかもしれないけど、狩りに夢中になっている俺が知るよしもないさ!」
なるほど……。今までライナス様がクリフォード様の逢瀬の隠れ蓑になり、ごまかしてきたんだ。ライナス様は兄に利用されているとわかっていて笑っているけど、かまわないのだろうか……?
ライナス様は続けて私に言った。
「俺はエリザベスに会うのが楽しみだったんだよ。君の話はよく母上から聞いていたから」
「え!? ベアトリス様から!?」
王妃教育の教育長はライナス様の母ベアトリス様である。城では「鬼のベアトリス」という異名を持っていて、各方面で恐れられていた。私も泣かされたことがあり、王妃教育では初日からベアトリス様の「睨みつけ」で多くの貴族令嬢が縮み上がる。そして、逃げるように実家へ帰っていく。
ライナス様は私の反応を見てニヤリとした。
「その様子だと母上からこっぴどくやられたようだね。でも、母上は君のことを褒めていた。珍しいんだよね、母上が人を褒めるのって」
「さ、さようでございますか……。良いように言ってくださっているなら……嬉しいのですが……」
「これからもよろしくね、完璧な王太子妃さん!」
そう言うとライナス様は青色の糸の装飾が施された鞭を馬に軽く当て、先を行った。前方のクリフォード様を追い越して、気持ちよさそうに駆けていく。
私たちは、森の中の小屋に着いた。狩りの拠点として使っている――というのが表向きの小屋。実際には……。
馬から降りて繋いでいると、小屋の中から一人の女が出てきた。クリフォード様はその女を確認すると、近づいていき、抱きしめた。
こうして私は、森の中で起きる奇妙な密会を見守る妻となったのだった。
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