危ない愛人を持つあなたが王太子でいられるのは、私のおかげです。裏切るのなら容赦しません。

Hibah

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ライナス様は後方にいる私を振り返りながら言った。
「昔のことなんだけどね。兄上は城を抜け出して平民の子と遊んでいたときに、川で溺れたことがあるんだ。そのとき助けに来た女の子のおかげで命が助かったんだ」

「その女の子がモニカ?」

「兄上はそう信じているけどね……正確には、モニカかどうかわからないんだ」

「え!? どういうことですか?」

「兄上は正式に王太子になってから、宰相のバイロンに命の恩人探しを命じた」

宰相バイロン……私にクリフォード様の秘密を教えた人……。

「そしてバイロンがモニカを見つけたわけですね」

「実はさっきいた小屋も、バイロンが用意してくれたんだ。まあもっとも……バイロンは城の派閥では兄上側に属する人だから当然だけど」

またバイロン……何が狙いなんだろう。クリフォード様を平民と会えるようにするなんて。クリフォード様がバレバレの行動をとったとしても、バイロンが抑え込んでいるから、丸く収まっている……? 私にモニカの存在を伝えれば、私が森の中へ行きクリフォード様を守る、というところまで読んでいた……?

私は念のため、ライナス様に確認した。
「ライナス様は……クリフォード様が溺れたとき、一緒にいなかったんですか?」

「ふふ……一緒にいたんだよ」

「じゃあその当時のことは覚えていないんですか? クリフォード様を助けたのはモニカだったんですか?」

ライナス様はしばらく沈黙していた。森の中の獣道を、私が通りやすいように草を撫で倒しながら、先へ先へ進んで行った。

「俺の記憶ではね……兄上を助けたのは黒髪の女の子だった」

モニカの髪はブロンズ……。

ということは……モニカではない……?
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