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国王陛下がおもむろに近づいてくる。
怖かったけど、なんとか踏ん張った。城の世界にいる以上、おそらくこれからも王族貴族の争いが日常のように起きていく。今回の出来事は、私が王妃になるための最初の試練だと感じた。今まで厳しいと思っていた王妃教育なんて……今日の事件からしてみれば、おままごとのようなものだ。
国王陛下は私の正面まで来ると、私がどんな反応をするか観察しているかのようだった。
「エリザベス。お前は王太子妃を続けろ。次の王太子はライナスだ。ライナスを支えろ。わかったな?」
私も国王陛下をまっすぐ見つめた。
「はい。かしこまりました」
覚悟は決めていた。私は王太子妃。王太子を支え、国に貢献する。それだけだ。
国王陛下が去ったあと、ライナス様に申し上げた。
「ライナス様。国王陛下の命令で、あなたの妻となります。あなたを支え、国の役に立ちます」
ライナス様は微笑んでいたけど、たしなめるように私に言った。
「俺を支えるとか、国のためになるとか、そういうのはよそうよ。俺はエリザベスのことが好きなんだ。そしてそれが公然と許されるようになった。俺はこんなに幸せを感じたことはない。君は幸せじゃないのか?」
私はクリフォード様とモニカを想像して、痛みを伴う涙が心臓を通っていくのを感じた。在り処のわからない涙腺から出たものだった。
「……私がライナス様のため、国のためにならなければ、どうしてあの二人の死は報われましょう。私はあの二人を犠牲にして、王太子妃という立場にしがみついたも同然なのです」
ライナス様は私の涙を拭った。
「それは違う。兄上たちは滅びるべくして滅びたんだよ。兄上は俺たちを利用し、モニカは兄上に大きな嘘をついていた。俺たちは……俺たちの幸せを追い求めてもいいんだよ」
「そんなことが……許されてもいいのでしょうか? 私に笑顔になる権利などあるのでしょうか?」
「絶対にある! エリザベスの幸せを世界で一番願っているのは俺だ! 俺は君が幸せじゃなきゃ嫌だ。もし君が不幸なら、生きている意味なんてない。エリザベス……君は俺が嫌いか?」
「……嫌いなわけないじゃないですか。好きで好きで、どうしようもなく好きなんです。私はライナス様のことが好き。ずっと好き。初めて狩りに行ったあの日から、ずっとあなたのことが好き」
「俺も、ずっとずっと好きだった! 愛してるんだよ。君を幸せにするために俺は生きる」
ライナス様が私を抱きしめてくれた。ぎゅっと、力強く。私は許された。好きな人を愛することを。
「かしこまりました。私も、ライナス様を幸せにするために生きます。だって私は……完璧な王太子妃ですもの」
ライナス様も目尻に涙を浮かべ「そうだよ。あの王妃教育を勝ち抜いた、完璧な王太子妃様なんだから」と、冗談ぽく笑った。
小屋で起きた事件から時が経ち、ライナス様は正式に王太子となった。私も改めて王太子妃となり、政務に携わった。
そして私はやっと……宰相バイロンと会合の機会を持った。
怖かったけど、なんとか踏ん張った。城の世界にいる以上、おそらくこれからも王族貴族の争いが日常のように起きていく。今回の出来事は、私が王妃になるための最初の試練だと感じた。今まで厳しいと思っていた王妃教育なんて……今日の事件からしてみれば、おままごとのようなものだ。
国王陛下は私の正面まで来ると、私がどんな反応をするか観察しているかのようだった。
「エリザベス。お前は王太子妃を続けろ。次の王太子はライナスだ。ライナスを支えろ。わかったな?」
私も国王陛下をまっすぐ見つめた。
「はい。かしこまりました」
覚悟は決めていた。私は王太子妃。王太子を支え、国に貢献する。それだけだ。
国王陛下が去ったあと、ライナス様に申し上げた。
「ライナス様。国王陛下の命令で、あなたの妻となります。あなたを支え、国の役に立ちます」
ライナス様は微笑んでいたけど、たしなめるように私に言った。
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私はクリフォード様とモニカを想像して、痛みを伴う涙が心臓を通っていくのを感じた。在り処のわからない涙腺から出たものだった。
「……私がライナス様のため、国のためにならなければ、どうしてあの二人の死は報われましょう。私はあの二人を犠牲にして、王太子妃という立場にしがみついたも同然なのです」
ライナス様は私の涙を拭った。
「それは違う。兄上たちは滅びるべくして滅びたんだよ。兄上は俺たちを利用し、モニカは兄上に大きな嘘をついていた。俺たちは……俺たちの幸せを追い求めてもいいんだよ」
「そんなことが……許されてもいいのでしょうか? 私に笑顔になる権利などあるのでしょうか?」
「絶対にある! エリザベスの幸せを世界で一番願っているのは俺だ! 俺は君が幸せじゃなきゃ嫌だ。もし君が不幸なら、生きている意味なんてない。エリザベス……君は俺が嫌いか?」
「……嫌いなわけないじゃないですか。好きで好きで、どうしようもなく好きなんです。私はライナス様のことが好き。ずっと好き。初めて狩りに行ったあの日から、ずっとあなたのことが好き」
「俺も、ずっとずっと好きだった! 愛してるんだよ。君を幸せにするために俺は生きる」
ライナス様が私を抱きしめてくれた。ぎゅっと、力強く。私は許された。好きな人を愛することを。
「かしこまりました。私も、ライナス様を幸せにするために生きます。だって私は……完璧な王太子妃ですもの」
ライナス様も目尻に涙を浮かべ「そうだよ。あの王妃教育を勝ち抜いた、完璧な王太子妃様なんだから」と、冗談ぽく笑った。
小屋で起きた事件から時が経ち、ライナス様は正式に王太子となった。私も改めて王太子妃となり、政務に携わった。
そして私はやっと……宰相バイロンと会合の機会を持った。
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