芸術狂いの伯爵夫人はパトロン業で忙しい。

Hibah

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首都郊外の貧相なアパルトマンの前に、三台の豪華絢爛な馬車が停まった。周りの人たちはどんなお偉いさんが来たのだろうと、がやがや外に出てきた。

コルテオとヴァネッサはドーブル橋の下で愛を誓ってから、一緒に暮らし始めた。まだ三日しか経っていないため、ヴァネッサがコルテオの部屋に転がり込むかたちで生活をしていた。ヴァネッサは早速レストランのウェイトレスの職が見つかったため、次は二人の住まいを見つけようとしているところだった。

夏の名残りが窓をすり抜けてくる昼下がりに、ヴァネッサは屋外の異変に気づいた。通りがやけに騒がしい。窓を開けて見下ろすと、馬車が停まっていて、人だかりができていた。

一人の貴婦人と、スケッチブックを持った男が馬車から降りた。ベランジェールとセバスチャンである。


「ねえ、コルテオ! ベランジェール様とセバスチャン様がいらしたわよ! どうしたのかしら?」


コルテオは新作の絵画の下書きをしているところだった。ベランジェールが来たと聞いても、ぽかんとしていた。


「本当にベランジェール様なの? こんな汚いところに来ないと思うけど?」とつぶやきつつ、コルテオは窓際に立っているヴァネッサに近寄った。


二人とも、これからの甘い生活と現実的なあれこれで頭が一杯になっていて、展覧会の審査結果が出ることを忘れていたのだった。


コルテオは窓から目を凝らした。確かに、普通の馬車ではない馬車が停まっている。この時彼にはベランジェールとセバスチャンの姿が見えなかったため、まるで他人事のように馬車を眺めた。



コンコンコン



部屋のドアをノックする音が聞こえたかと思うと、駆け寄るヴァネッサがドアノブを触る前に開いた。

ヴァネッサはあらためて驚いた。そこにいたのは、やはりベランジェールだった。麗しいドレスで着飾ったその姿は、洗練された貴族の悠々とした趣きを放っていた。


「さあ、コルテオ! ヴァネッサ! 王都に行くわよ! 衣装も何もかも準備してあるから、そのまま来なさい」ベランジェールは元気な声を張り上げた。


「ええ!?」


コルテオとヴァネッサはともに驚きの声を上げた。ベランジェールはいそいそと彼らの手首を両手に握り、なぜ王都に行くのかという問いに答えることすらなく、彼らを連れて馬車に乗った。
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