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27 最終話

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「銀賞よ! コルテオ! やったわね!」


ベランジェールは馬車が動き始めてからやっとコルテオに結果を伝えた。

わけもわからず馬車に連れ込まれたコルテオはベランジェールの興奮した様子にかなり怯えていたが、「銀賞」という言葉を聞いた途端、すぐに何を指すのか理解した。


「そうだ、展覧会! おいらは銀賞だったんですか?」


ベランジェールは無邪気な少女のようにバンザイした。


「そうよ。立派な成績をおさめたわね。あなたの芸術が認められて、私はこの上なく嬉しいわ」


コルテオは信じられない気持ちで、隣のヴァネッサの顔を見た。

ヴァネッサはすでに目に涙を浮かべていた。


「……コルテオ! おめでとう!」


ヴァネッサはコルテオの手を強く握った。コルテオもそれに応えた。そして二人は抱きしめ合い「よかった……よかった……!」と何度もその喜びを噛み締めた。



王都へ向かう馬車に揺られながら、コルテオは銀賞を取ったという達成感よりもむしろ、入賞によってヴァネッサとこれからも一緒にいられるであろう未来図を手にしたことが嬉しかった。入賞者には王家のお墨付きがもらえるし、国内外から制作依頼もくる。ヴァネッサと暮らすという生活への不安は、受賞の知らせによって吹き飛んだのであった。



王宮に着くと、大広間にはすでに受賞者たちの絵が大々的に飾られていた。受賞者の作品にしか使われない特別な額縁に入っていて、どれもが作品の素晴らしさを最大限に発揮させている。ベランジェールはそれぞれの作品の前に立つと鼻息を荒くし、セバスチャンに絵についてメモをとらせた。

すがすがしい香りが王宮いっぱいに広がっていた。

ヴァネッサはコルテオの絵の前まで来ると、涙を抑えられず、人目もはばからず泣いた。コルテオの作品は肖像画だった。小麦色の肌の女性が神々しい微笑みをたたえ、優しさと愛にあふれた表情をしていた。額縁の下で光り輝いているプレートには、立派な美しい書で『ヴァネッサ』と刻まれていたのであった。
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