不純な浮気夫が許せないので、痛い目を見てもらいましょう。

Hibah

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フランス語の家庭教師エレオノーラによるレッスンが始まったが、ゴードン男爵は一向にフランス語を学ばなかった。その理由は、学習法を先生であるはずのエレオノーラに任せず、自分なりの方法を彼女に提案して、しかも定まらないからであった。

ゴードン男爵は、外国語を学習するための各種方法をいかに自分が知っているかをエレオノーラにわかってもらいたくて必死だった。たとえば、聖書を2つ用意し、フランス語と自国語を比較しながら学習しようとしたり、あえて英語を学ぶことでフランス語にアプローチしたりするなど、レッスンごとに学習法を変えた。……アルファベットすら覚えていないのにである!

目的地を失った回り道は、もはや回り道と呼べず、一単語も頭に入らない学習は頭でっかちの度を超えていたと言えよう。(むろん、ある程度学習が進んでからは様々な学習アプローチを試すことが有効である)。



エレオノーラも最初はゴードン男爵をやる気ある生徒として見ていたが、三か月経ってもフランス語のアルファベットの読み方すら覚えられていない彼にいらだちを覚えていた。そして一番困ったのは……レッスン時間の半分近くは雑談に充てられることだった。フランス語が喋れるといかに素晴らしいだろうといったような妄想に付き合うだけならまだしも、エレオノーラの個人的趣向やプライベートの生活まで聞いてくるようになったのだ。

エレオノーラはもともと超裕福な商人の娘なので、お金には困っていない。教師という仕事を通じて、自分の生き方を掴みたい人間である。よってゴードン男爵がもし不純な動機しか持ち合わせていない生徒であるなら、すぐに断りたかった。



ある日曜日の午後、レッスンが終わったエレオノーラはゴードン男爵の妻カチェリーナに相談を持ちかけた。北から吹く風が南へ落ち葉を集めるような冬の終わりだった。


「奥様。大変申し上げにくいのですが、ゴードン様の学習が思うように進んでおりません。教師であるわたしの責任であることはもっともなのですが、どのように進めていけばよいのか途方に暮れております……」
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