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8甘い罠【★】
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部屋に入ったユリウスは、静まり返った室内の様子に眉を潜めた。ベッドを確認するも、リゼルの姿はない。そのことに胸騒ぎを覚えて、彼は部屋を飛び出した。
「まぁ、陛下?」
息を切らし向かったのは、侍女のマイラが使う使用人たちの部屋。国王直々の訪問に驚く同室の侍女に断って、ユリウスはマイラを連れ出した。
歩きながらリゼルがいないことを聞いたマイラは、すぐに歩を早め、迷わず客間を目指した。
「リゼル様はロザーナ姫様に招待を受けたと。まさかとは思いますけれど……」
それを聞いて、ユリウスも歩を早める。その歩みは、マイラが走らねばならぬ程の速度だった。
部屋の前に着いたユリウスは、マイラに声を出さぬよう指示し、中の様子を伺った。
* * *
「可愛らしい胸。本当に、十歳のお身体ですのね」
朦朧とし出したリゼルをベッドに横たわらせ、寝間着を剥ぎ取ったロザーナは乾いた笑い声を上げた。
「こんな子供の体躯に、私が負けるなど……あってはならないの……」
「ぁ……っ」
ゆっくりと鎖骨から胸を撫でられ、リゼルの身体がビクビクと反応する。お茶に混ぜた媚薬が効いていることを確認したロザーナは、満足げに微笑んだ。
「まだ、陛下と夜は共にされてないのでしょう? ハジメテは痛いですから、せめてもの親切心で、我が国に伝わる媚薬を使いましたの」
「んぁ……っ」
身体を這う指に敏感に反応するリゼルに、 ロザーナは嘲笑を浮かべる。
「ご存知? 貴女がお飲みになったその媚薬は、リゼルの花の根から抽出されますの。皮肉ですわね、同じ名前の花によって蕩けたココが、今から見知らぬ男のモノを受け入れるのですから」
「な、にを……?」
息も絶え絶えになりながら、ロザーナの言葉に疑問を投げ掛ける。そんなリゼルの割れ目に、ロザーナは指を添わせながら優しく囁いた。
「ある者に、貴女を汚すよう命じましたの。そしたら、汚れた貴女はお払い箱。でもいいでしょう? 媚薬のお陰で、貴女は至高の快楽を得るんですもの。その代わり、陛下は私が頂戴しますわ」
「な……っ」
その時、二人の耳に扉をノックする音が届いた。
「来ましたわ。貴女を破滅と快楽に導く者が」
嬉しそうに扉を開けに行ったロザーナだったが、そこにいた人物を見て凍り付いた。
「貴女が待っていたのは、そこに伸びている男か?」
「へ、陛下……っ」
ユリウスは数分前に到着し、部屋に押し入ろうとしたが、その前に現れた男を捕獲していた。そして、ロザーナの計画を吐かせ、昏倒させた上で扉をノックしたのである。
「ロザーナ姫を捕らえよ」
「はっ!」
マイラが呼びに走って駆け付けてきた従者にロザーナを任せ、ユリウスは部屋に押し入る。そして、ベッドに何も纏わぬ姿で横たわるリゼルを見付けると、すぐさま従者に出ていくよう命じた。
ロザーナの叫び声が聞こえたが、苛立ちしか起こらない。扉が閉まるとユリウスはリゼルに駆け寄り、自分の上着を着せようとした。
「ぁ……っ」
「……っ」
布が触れるだけで身体がビクビクと反応するまでに敏感になったリゼルは、小さく声を上げる。その艶かしい喘声に、ユリウスは一瞬で固まった。
上気した白い肌に、潤んだ青い瞳。濡れたピンク色の唇からは、甘い吐息が漏れていた。
「ユ、リウス、様……?」
「大丈夫か……?」
涙の滲んだ瞳でユリウスを見上げ、リゼルは腕を伸ばした。戸惑うユリウスの手を掴むと、彼女は自分の頬に彼の手を導く。
「良、かった……ユリウ、ス様、で……」
ロザーナの計画を聞かされ、見知らぬ男に汚れるのだと思っていたリゼルは、目の前にいるユリウスの姿に心の底から安堵した。
自分は彼の妻なのだ。他の誰でもない、自分の全てを捧げるのは、彼でなくてはならない。
媚薬のせいか、だるさもあったがリゼルは身体を何とか起こす。心配そうに自分を見つめるユリウスに向かい合うと、いつもは言えない素直な言葉が口をついた。
「ユリウス様、お慕いしています。貴方にしか、この身体を晒したくはありません……こんな幼い子供にしか見えない私では、貴方の妻として不足かもしれませんが……私のこと、お嫌いですか?」
「っ、嫌いなわけ……」
不安げに揺れるリゼルの瞳に、ユリウスは熱いものが込み上げてくる。初めてリゼルから聞いた積極的な言葉と、甘い告白に心臓が破裂しそうだった。
ユリウスは一度口を紡ぐと、自らも素直な言葉をぶつけようと口を開いた。
「貴女を、愛している……ずっと、前から」
「ユリウス様……」
抱き寄せられたリゼルの唇が、ユリウスのそれと重なり合う。ただ合わさるだけのキスから、お互いに貪るようなキスに変わる頃には、二人の身体は溶け合うように隙間なく密着していた。
「まぁ、陛下?」
息を切らし向かったのは、侍女のマイラが使う使用人たちの部屋。国王直々の訪問に驚く同室の侍女に断って、ユリウスはマイラを連れ出した。
歩きながらリゼルがいないことを聞いたマイラは、すぐに歩を早め、迷わず客間を目指した。
「リゼル様はロザーナ姫様に招待を受けたと。まさかとは思いますけれど……」
それを聞いて、ユリウスも歩を早める。その歩みは、マイラが走らねばならぬ程の速度だった。
部屋の前に着いたユリウスは、マイラに声を出さぬよう指示し、中の様子を伺った。
* * *
「可愛らしい胸。本当に、十歳のお身体ですのね」
朦朧とし出したリゼルをベッドに横たわらせ、寝間着を剥ぎ取ったロザーナは乾いた笑い声を上げた。
「こんな子供の体躯に、私が負けるなど……あってはならないの……」
「ぁ……っ」
ゆっくりと鎖骨から胸を撫でられ、リゼルの身体がビクビクと反応する。お茶に混ぜた媚薬が効いていることを確認したロザーナは、満足げに微笑んだ。
「まだ、陛下と夜は共にされてないのでしょう? ハジメテは痛いですから、せめてもの親切心で、我が国に伝わる媚薬を使いましたの」
「んぁ……っ」
身体を這う指に敏感に反応するリゼルに、 ロザーナは嘲笑を浮かべる。
「ご存知? 貴女がお飲みになったその媚薬は、リゼルの花の根から抽出されますの。皮肉ですわね、同じ名前の花によって蕩けたココが、今から見知らぬ男のモノを受け入れるのですから」
「な、にを……?」
息も絶え絶えになりながら、ロザーナの言葉に疑問を投げ掛ける。そんなリゼルの割れ目に、ロザーナは指を添わせながら優しく囁いた。
「ある者に、貴女を汚すよう命じましたの。そしたら、汚れた貴女はお払い箱。でもいいでしょう? 媚薬のお陰で、貴女は至高の快楽を得るんですもの。その代わり、陛下は私が頂戴しますわ」
「な……っ」
その時、二人の耳に扉をノックする音が届いた。
「来ましたわ。貴女を破滅と快楽に導く者が」
嬉しそうに扉を開けに行ったロザーナだったが、そこにいた人物を見て凍り付いた。
「貴女が待っていたのは、そこに伸びている男か?」
「へ、陛下……っ」
ユリウスは数分前に到着し、部屋に押し入ろうとしたが、その前に現れた男を捕獲していた。そして、ロザーナの計画を吐かせ、昏倒させた上で扉をノックしたのである。
「ロザーナ姫を捕らえよ」
「はっ!」
マイラが呼びに走って駆け付けてきた従者にロザーナを任せ、ユリウスは部屋に押し入る。そして、ベッドに何も纏わぬ姿で横たわるリゼルを見付けると、すぐさま従者に出ていくよう命じた。
ロザーナの叫び声が聞こえたが、苛立ちしか起こらない。扉が閉まるとユリウスはリゼルに駆け寄り、自分の上着を着せようとした。
「ぁ……っ」
「……っ」
布が触れるだけで身体がビクビクと反応するまでに敏感になったリゼルは、小さく声を上げる。その艶かしい喘声に、ユリウスは一瞬で固まった。
上気した白い肌に、潤んだ青い瞳。濡れたピンク色の唇からは、甘い吐息が漏れていた。
「ユ、リウス、様……?」
「大丈夫か……?」
涙の滲んだ瞳でユリウスを見上げ、リゼルは腕を伸ばした。戸惑うユリウスの手を掴むと、彼女は自分の頬に彼の手を導く。
「良、かった……ユリウ、ス様、で……」
ロザーナの計画を聞かされ、見知らぬ男に汚れるのだと思っていたリゼルは、目の前にいるユリウスの姿に心の底から安堵した。
自分は彼の妻なのだ。他の誰でもない、自分の全てを捧げるのは、彼でなくてはならない。
媚薬のせいか、だるさもあったがリゼルは身体を何とか起こす。心配そうに自分を見つめるユリウスに向かい合うと、いつもは言えない素直な言葉が口をついた。
「ユリウス様、お慕いしています。貴方にしか、この身体を晒したくはありません……こんな幼い子供にしか見えない私では、貴方の妻として不足かもしれませんが……私のこと、お嫌いですか?」
「っ、嫌いなわけ……」
不安げに揺れるリゼルの瞳に、ユリウスは熱いものが込み上げてくる。初めてリゼルから聞いた積極的な言葉と、甘い告白に心臓が破裂しそうだった。
ユリウスは一度口を紡ぐと、自らも素直な言葉をぶつけようと口を開いた。
「貴女を、愛している……ずっと、前から」
「ユリウス様……」
抱き寄せられたリゼルの唇が、ユリウスのそれと重なり合う。ただ合わさるだけのキスから、お互いに貪るようなキスに変わる頃には、二人の身体は溶け合うように隙間なく密着していた。
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