俺が好きなのはあなただけ〜恋愛初心者は極上男子の腕の中〜

鈴屋埜猫

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 お詫びのつもりでシミ抜きに来ただけだったのに、ご馳走されてしまった。軽い食事とのことだったが、食後にはデザートまで頂いてしまい、恐縮するばかりだ。

「小鳥遊さん、お料理上手なんですね」

 彼が用意してくれた食事は、ほかほかのロールキャベツ。クリームソースで煮込まれていて、中に入ったチーズがとろけて絶品だった。これを奈月がシミ抜きしている内に用意したのだと思うと、頭が下がる思いだ。
 シンプルな家具で統一されたリビングも、綺麗に整えられている。さっきの洗面所も洗面台はおろか、蛇口もピカピカだったし、彼は普段から家事をやる人なのだろう。でなければ、こうはならない。

「独りが長いもので」

「……おいくつか、聞いても?」

 淹れてもらったコーヒーを受け取りながら尋ねると、奈月の隣に座った彼は幾分言いにくそうに顔を歪める。

「あー……36、です」

「え、見えない!」

 年下だとは思わなかったが、いっても30代前半だと思っていた。驚く奈月に、破顔した彼はさらに若く見える。

「童顔なんですよ」

「年下だとは思いませんでしたが、あんまり変わらないかと……」

「香山さんは……って、女性に年齢を尋ねるのは失礼ですね」

「構いませんよ。私は来年30になります」

 笑いながら答えると、コーヒーに口をつけながら侑李がじっと見つめてきた。

「香山さんこそ、29歳には見えませんね」

「そうですか?」

 もう30になる、というつもりで言ったのに、まだ20代だと気を遣われたようで気恥ずかしくなる。誤魔化すようにコーヒーに口をつけた奈月は、次の彼の言葉で吹き出しそうになった。

「はい。とっても可愛らしい」

 可愛いなんて男性に面と向かって言われたことなど初めてだ。奈月は一気に顔が火照るのを感じる。

「香山さんはどうして街コンに参加してたんですか?」

「あ……それ聞きます?」

「すみません、出過ぎたことを」

「ああ、いえ、全然。まぁ大したことじゃないんですよ」

 コーヒーを一口飲みながら、どう言ったものかと思案する。こういう時、嘘でも取り繕った方がいいのかもしれない。初対面の、しかも男性に根掘り葉掘り、女の事情なんて言っても迷惑な限りだ。ただ、こんな時どう取り繕えばいいのかすら検討もつかない。そして何より、この手のことで奈月は嘘が付けない性分だった。

「母から、結婚はいつなのかとせっつかれてまして」

「お母様から?」

「はい。口を開けば彼氏はいないのか、結婚はするつもりなのかって。母が私を心配しているのは分かってるんですが、毎回言われると正直しんどくて」
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