俺が好きなのはあなただけ〜恋愛初心者は極上男子の腕の中〜

鈴屋埜猫

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「大丈夫。奈月さんができないことを手伝うだけだよ」

「……何も、しません?」

 そろそろと上目遣いで見つめられて、侑李の男心がくすぐられる。この無防備な顔は危険だ。これまで付き合った男性がいないことは知っているが、他の男にこの顔を見せてはいないかと妙に嫉妬心を煽られた。

「しない。でも、奈月さん。他の男をそんな顔で見ちゃダメだからね」

「へ?」

 ポカンとする彼女は侑李の言葉の意味が分かっていないようだ。そんな彼女に苦笑して、侑李は彼女の背に手を当てて洗面所の方へと誘導する。

 だが、ドアの前まで来ると、奈月はくるりと身体を反転させた。

「あの、自分で! 自分で脱ぐので! 覗かないでくださいね」

 一緒に洗面所に入ろうとすると、全力で止められた。顔を真っ赤にしてドアを閉められ、どこかの鶴のようだな、と笑みが溢れる。
 キッチンのカウンターに背中を預けて、静かに待っていると、程なくしてドアが開き、奈月が顔だけ出した。

「お待たせ、しました」

 スッと消えた彼女の後を追って中へと入る。奈月は脱いだブラウスで身体の前を隠し、洗面所の隅にいた。侑李はタオルを1枚取り、彼女に渡す。
 奈月が着ていたパンツスーツは綺麗に畳んであり、置き場に困ったのか、蓋を閉めた洗濯機の上にちょこんと乗っていた。

「下着はそのまま?」

「え、と……」

 器用に脇に広げたタオルの端を挟み、身体を隠しながらブラウスを畳んでいた奈月が視線を彷徨わせる。お風呂に浸かるわけではないから、付けたままでも問題はないかもしれないが。

「ブラジャーは外したら? 前を隠してたら大丈夫だよ。極力見ないようにするし」

「はい……」

 奈月の返事を聞いて、侑李は彼女に背を向ける。そして自分もシャツを脱いだ。
 新しいタオルを一枚取って、先に浴室に入る。蒸気で満たされているからさほど寒さは感じないが、念のため浴室暖房を入れる。最初はそんな機能は不要だと思っていたが、あると便利なものだ。

「寒かったり、暑かったりしたら言って」

「大丈夫です」

 床に洗面器で取ったお風呂のお湯をかけて、奈月を風呂椅子に座らせる。また洗面器にお湯を満たし、そこにつけたタオルを絞った。

「じゃあ、拭くね」

「はい。お願いします」

 不安を与えないよう、声をかけるとしっかりした声が帰ってくる。
 少し下を向いた彼女のうなじが露になっている。いつもは下ろしている髪を、やりやすいように髪ゴムで括ってくれていた。
 そこにキスしたい衝動に駆られながら、侑李は黙々と彼女の肌に濡らしたタオルを這わせていく。日に焼けていない白い肌。女性らしいラインが目に飛び込んできて、ため息が出そうだ。
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