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元同僚である岸田の結婚式の招待状が届いた時、誰かと一緒に参加することなんて夢にも思っていなかった。当時付き合っていた人がいなかったというのもあるが、侑李は恋愛に疲れたいたから。
恋愛というのは難しい。人の気持ちは目に見えないから、言葉や表情で察するか、想像するしかない。ホテルマンの仕事をしていたから、そうした人の心を読む能力はある程度自信があったのだが、恋愛においてその能力は無に等しかった。
付き合った女性たちにいつも言われていたのは『本当に私のこと好き?』という問いかけ。それに好きだよ、といくら答えても何故か信じてもらえなくて、どうしたら信じてもらえるのかと途方に暮れた。結局、気持ちのすれ違いから別れる結果になり、信じてもらえないなら仕方がない、と後を追うこともしなかった。
告白されて、付き合って。それなりに好きだったけれど、気持ちが足りなかったのかもしれない。でも、付き合ってみないと分からないことだってあるから、そこからスタートしてもいいんじゃないかと思っていた。
だが、相手がそうではなかったのだと知ったのは、3年前に付き合っていた彼女から別れを切り出された時。
『小野原グループに勤めてるあなたが好きだったの』
当時勤めていた小野原グループでは、エリアマネージャーを勤めていて、そろそろ本部に、という話が上がっていた。付き合っていた彼女は、小野原グループの子会社の社長令嬢で、自身は秘書として働くキャリアウーマン。でも、庶民感覚もあって、ふと見せる子供のような仕草が好きだった。
だが、小野原グループを辞めると言った侑李に、彼女が告げたのは別れの言葉。その後の話など聞こうともせず、席を立った彼女を侑李も追いかけはしなかった。
あの時、追いかけていれば、未来は違っていたかもしれない。だが、あそこで追いかけることができないほど、侑李はショックを受けたのだ。彼女が見ていたのは、小野原グループの人間としての侑李なのかと。
奈月に名刺を初めて渡した時、正直どちらの名刺を見せるべきか悩んだ。最終的に小野原グループの方を選んだのは、肩書きの違い。エリアマネージャーと副社長を天秤にかけ、エリアマネージャーの方が彼女を萎縮させないだろうと思った。
結果的にすぐバレてしまったけれど、今では良かったと思っている。それは香山奈月という人が、肩書きや勤め先で人を判断しない人なのだということが分かったから。彼女は小鳥遊侑李という一人の男を真っ直ぐに見てくれる。この人を手放したくない、と心の底から思った瞬間だった。
恋愛というのは難しい。人の気持ちは目に見えないから、言葉や表情で察するか、想像するしかない。ホテルマンの仕事をしていたから、そうした人の心を読む能力はある程度自信があったのだが、恋愛においてその能力は無に等しかった。
付き合った女性たちにいつも言われていたのは『本当に私のこと好き?』という問いかけ。それに好きだよ、といくら答えても何故か信じてもらえなくて、どうしたら信じてもらえるのかと途方に暮れた。結局、気持ちのすれ違いから別れる結果になり、信じてもらえないなら仕方がない、と後を追うこともしなかった。
告白されて、付き合って。それなりに好きだったけれど、気持ちが足りなかったのかもしれない。でも、付き合ってみないと分からないことだってあるから、そこからスタートしてもいいんじゃないかと思っていた。
だが、相手がそうではなかったのだと知ったのは、3年前に付き合っていた彼女から別れを切り出された時。
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あの時、追いかけていれば、未来は違っていたかもしれない。だが、あそこで追いかけることができないほど、侑李はショックを受けたのだ。彼女が見ていたのは、小野原グループの人間としての侑李なのかと。
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結果的にすぐバレてしまったけれど、今では良かったと思っている。それは香山奈月という人が、肩書きや勤め先で人を判断しない人なのだということが分かったから。彼女は小鳥遊侑李という一人の男を真っ直ぐに見てくれる。この人を手放したくない、と心の底から思った瞬間だった。
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