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二人の間に流れた微妙な空気。店内に流れているはずのピアノ協奏曲さえ、茉歩の耳には聞こえなくなった。でもそれは多分一瞬のこと。その静寂を破ったのは、葉一の背後から顔を覗かせた麻倉エミリだった。
「葉一さん? どうなさったの?」
至極当然のように葉一の腕に寄り添ったエミリは、彼の視線を追って茉歩の存在に気が付いた。彼女も一瞬驚いたように目を見張ったが、すぐさま口許に綺麗な笑みを浮かべる。
「あら、茉歩さんじゃない。こちらで働いてらしたの?」
「ええ……いらっしゃいませ。お二人様ですか?」
エミリのお陰でどうにか気を取り直す。営業スマイルを顔に貼りつけて、動揺を隠すことに成功した。
「いや、俺は……」
「ええ、二人です。カウンターでもよろしいかしら?」
「はい。こちらにどうぞ」
ふいと視線を外した葉一を、エミリがグイグイとカウンターまで引っ張る。茉歩が二人の前におしぼりを置くと、葉一はため息を吐きながら渋々といった様子で腰を下ろした。
「ご注文は、何になさいますか?」
「そうね……私は甘いカクテルを。葉一さんは、スコッチよね? ストレートで」
「……はい」
勝手知ったる、とばかりに葉一の分のオーダーをするエミリ。二人はこういうバーにもよく来るのだろうか。そう思うと、胸の奥が何故だかモヤモヤしてくる。
「葉一さん? どうなさったの?」
至極当然のように葉一の腕に寄り添ったエミリは、彼の視線を追って茉歩の存在に気が付いた。彼女も一瞬驚いたように目を見張ったが、すぐさま口許に綺麗な笑みを浮かべる。
「あら、茉歩さんじゃない。こちらで働いてらしたの?」
「ええ……いらっしゃいませ。お二人様ですか?」
エミリのお陰でどうにか気を取り直す。営業スマイルを顔に貼りつけて、動揺を隠すことに成功した。
「いや、俺は……」
「ええ、二人です。カウンターでもよろしいかしら?」
「はい。こちらにどうぞ」
ふいと視線を外した葉一を、エミリがグイグイとカウンターまで引っ張る。茉歩が二人の前におしぼりを置くと、葉一はため息を吐きながら渋々といった様子で腰を下ろした。
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