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恋心とはなんと厄介なものなのだろう。自覚して初めて知る痛みに視界が滲む。こんなに近くにいるのに、相手の心にメイベルの心は決して届かない。だが、それも仕方のないことだ。
こんなことなら、自覚などしたくなかった。適切な距離感で、ただの同居人として過ごしていられれば何の問題もない。なのに、一度知った恋心は簡単には消えてなくなることもなく、どんどん膨らんでいく一方だ。
ならば、とメイベルはさらに言葉を紡ぐ。彼に拒絶してもらう、そのために。
「クロードさんは私に反応しないんですからとって、くっついて寝ようと支障はない……ぁっ」
メイベルが落ちないようにと、腰を支えてくれている腕に力が篭ったのが分かる。きつく抱きしめられて戸惑うメイベルの首筋に、クロードの鼻先が擦り付けられた。
「あ、あの……クロードさん?」
「君に反応しないと言った覚えはない」
「え……?」
首筋を彼の口元が掠める。ヌルリとした感触になぞられて、全身が一気に粟立った。
「ひ、あっ……」
「甘い香りがする」
はぁ、と艶かしいため息が吐かれ、クロードが僅かに身震いをする。支えてくれていたはずの手は、腰のラインを確かめるように動き出す。
「確かに俺には定期的な発情期は来ない」
低い声が耳を打つ。すり寄って来た彼の毛が耳朶を擽り、くすぐったさに身を捩った。
「俺が発情するのは、決まった相手にだけだ」
「あっ……」
言葉と共にクチュリと耳の中に濡れた音が響く。思わず上がった声は甘く、自分の声に驚いたメイベルは慌てて口を手で押さえた。
「や、クロードさん、なに……?」
「君の匂いが、俺を狂わせるんだ」
「え……?」
顔を上げると、青い瞳がこちらをジッと見つめていた。見開かれたメイベルの瞳から溢れ落ちた涙を、長い舌先がペロリと舐め取る。
「ずっと、君の匂いに発情してた」
「……うそぉ」
ポカンとするメイベルに、クロードは喉を鳴らして笑う。
「だって、そんな素振り全く……」
「ああ。必死で隠してたからな」
「な、何で……?」
「君に怯えられるのでは、と……怖かったんだ」
静かに見つめてくる青い瞳から目が離せない。
「だが、君がいなくなることの方がもっと怖い」
「クロードさん……」
「人のために動けることは君のいいところだ。それをやめろとは言わない。だが……もっと君自身のことも大事にして欲しい。本当に、生きた心地がしなかった」
「はい……ごめんなさい」
あの時、クロードが助けに来てくれなかったら、と思うとゾッとする。
「無事で良かった」
俯いたメイベルの頬にクロードの手の甲が触れた。フサフサとした毛で優しく撫でられながら、顔を上げると青い瞳と目が合った。徐々に浅くなる呼吸に、彼の熱い吐息が混じり合う程、二人の距離が近くなる。
「顔が赤いな」
「それは……ドキドキして……」
「もっと触れてもいいか?」
優しい声が降ってくる。さらに近付いてくる鼻先に、メイベルはそっと頤を上げ目を閉じた。唇に触れた感触は、想像よりも柔らかかった。
こんなことなら、自覚などしたくなかった。適切な距離感で、ただの同居人として過ごしていられれば何の問題もない。なのに、一度知った恋心は簡単には消えてなくなることもなく、どんどん膨らんでいく一方だ。
ならば、とメイベルはさらに言葉を紡ぐ。彼に拒絶してもらう、そのために。
「クロードさんは私に反応しないんですからとって、くっついて寝ようと支障はない……ぁっ」
メイベルが落ちないようにと、腰を支えてくれている腕に力が篭ったのが分かる。きつく抱きしめられて戸惑うメイベルの首筋に、クロードの鼻先が擦り付けられた。
「あ、あの……クロードさん?」
「君に反応しないと言った覚えはない」
「え……?」
首筋を彼の口元が掠める。ヌルリとした感触になぞられて、全身が一気に粟立った。
「ひ、あっ……」
「甘い香りがする」
はぁ、と艶かしいため息が吐かれ、クロードが僅かに身震いをする。支えてくれていたはずの手は、腰のラインを確かめるように動き出す。
「確かに俺には定期的な発情期は来ない」
低い声が耳を打つ。すり寄って来た彼の毛が耳朶を擽り、くすぐったさに身を捩った。
「俺が発情するのは、決まった相手にだけだ」
「あっ……」
言葉と共にクチュリと耳の中に濡れた音が響く。思わず上がった声は甘く、自分の声に驚いたメイベルは慌てて口を手で押さえた。
「や、クロードさん、なに……?」
「君の匂いが、俺を狂わせるんだ」
「え……?」
顔を上げると、青い瞳がこちらをジッと見つめていた。見開かれたメイベルの瞳から溢れ落ちた涙を、長い舌先がペロリと舐め取る。
「ずっと、君の匂いに発情してた」
「……うそぉ」
ポカンとするメイベルに、クロードは喉を鳴らして笑う。
「だって、そんな素振り全く……」
「ああ。必死で隠してたからな」
「な、何で……?」
「君に怯えられるのでは、と……怖かったんだ」
静かに見つめてくる青い瞳から目が離せない。
「だが、君がいなくなることの方がもっと怖い」
「クロードさん……」
「人のために動けることは君のいいところだ。それをやめろとは言わない。だが……もっと君自身のことも大事にして欲しい。本当に、生きた心地がしなかった」
「はい……ごめんなさい」
あの時、クロードが助けに来てくれなかったら、と思うとゾッとする。
「無事で良かった」
俯いたメイベルの頬にクロードの手の甲が触れた。フサフサとした毛で優しく撫でられながら、顔を上げると青い瞳と目が合った。徐々に浅くなる呼吸に、彼の熱い吐息が混じり合う程、二人の距離が近くなる。
「顔が赤いな」
「それは……ドキドキして……」
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優しい声が降ってくる。さらに近付いてくる鼻先に、メイベルはそっと頤を上げ目を閉じた。唇に触れた感触は、想像よりも柔らかかった。
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