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なんてこったい!
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僕は開口一番、大きな声でそう言った。爺ちゃんが言ってた。何事も始めが肝心だと。でもちょっと声が大きすぎたのかな?受付のお姉さんが目をぱちくりさせている。
「えっと、エルム君でよかったかな?私はテイマーズギルドの受付やってますエミリーです。働かせて下さいって事はギルド職員になりたいって事かな?」
「はい!」
「わざわざここのギルドを選んだって事はもしかして魔物関係の天職だった?」
「そうです」
「そうなんだ。それなら難しいかなー」
「えっ!?」
「あっ、ごめんなさい。実は私達ギルド職員は派遣なの、総合ギルドの」
「総合ギルド?」
「そう、受付やその他ギルド運営に必要な人材を派遣するギルドの事よ。受付にはもちろん各ギルドの知識は必要だけど、必ずしもそのギルドにあった天職が必要なわけではなくて、どちらかと言えば事務関係の天職が必要なの。ちなみに私もそっち関係の天職ね」
参ったなぁ。魔物関係の天職ならテイマーズギルドの職員になれると思ったんだけど。少し悩んでいるとエミリーさんから声がかかる。
「エルム君は魔物関係の天職なのよね?あっ、ちなみにどんな天職かは言わなくていいわよ?過度の詮索はご法度だし報告の義務もないのだから。それで、提案なんだけれどテイマーとして登録してみない?少なくとも魔物関係の天職ならテイムのスキルがあるはずなんだけど、契約した従魔と依頼をこなしたりするの」
スライムブリーダーは確かスライムしか契約出来ないと書いてあった。どちらにしてもスライムと一緒に依頼……ダメだ、全然想像出来ないや。
「……難しいと思います」
「研修とかもやってるから最初の従魔契約はギルドの方からお手伝い出来ると思うし、あまり難しく考える事は無いと思うよ?ここにいる人達だって最初はス・ラ・イ・ム・から始めているのだし」
ここにいる人達にとってはスライムは通過点と言うかスタートラインでも、僕にとってスライムは最初で最後、ゴールでしかない。
「ごめんなさい、やっぱり難しいと思います。……僕はスライムしか契約出来ないから」
ぽつり。俯きながら思わず本音をこぼしてしまった。
「エルム君」
呼ばれたので顔を上げる。そこには真剣な顔をしているエミリーさんの顔があった。
「ごめんなさい。今のでだ・い・た・い・察したわ。……あそこにいるエレメントバードを肩に乗せている女性、クルテさんって言うんだけど、彼女は天職をオープンにしているから引き合いに出させてもらうと、彼女の天職はエレメントテイマー。エレメント系の魔物や魔獣とのテイムを容易にする天職なの。その代わり他の種族と契約出来ないと言う欠点があるんだけど、スライムだけはどんなテイマーでも契約できる唯一の魔物なのよ」
その誰でも契約出来る魔物しか契約出来ない天職を持っているのが僕。
「早めに転職する事をお勧めするわ」
転職。この世には多種多様の天職があり星の数ほどあるとも言われているけど何に役に立つのかまるで分からない天職もある。所謂ハズレと呼ばれる天職だ。
例えば昼寝士。昼にすぐに寝ることが出来る天職。他にも少なくない数のハズレ天職があり救済措置として生涯で一度だけ転職する事が認められている。それでも一つだけ条件があって。
「天職の儀から一年間は転職をする事は許されない、ですよね」
「そう……ね」
エミリーさんは僕が今日天職を授かった事を思い出したのだろう。歯切れが悪い。しかし一年間か。爺ちゃんから餞別としてかなりお金を持たせてもらったから、切り詰めれば何とかなるけど出来ればあまり使いたく無い。どこか働ける所はないのか?
「エルム君、あなたすぐにでも働きたいのでしょう?」
「はい」
「そう……なら、冒険者になってみない?」
「冒険者……ですか?」
「テイマーズギルドでは従魔の能力に依存した依頼ばかりだけど、冒険者ギルドではそれこそ多種多様な様々な依頼があるわ。皿洗いとか溝掃除みたいな雑用から、採取、討伐その他諸々なんでもね。テイマーズギルドでテイマーとして登録しても恐らく受けられる仕事はほとんどゼロだと思うけど、冒険者になれば選り好みさえしなければ何かしら依頼を受けられると思うの。それこそ天職に関係なくね。それにあなたには冒・険・者・が合ってる」
「冒険者になります」
迷う事なく口にした。そうだ、僕は働きに来たんだ。体を動かすのが嫌だとか言っている場合じゃない。そろそろ日も暮れてきた。お礼を言って冒険者ギルドに行こう!
「あっ、ちょっと待ってて!」
「え?」
エミリーさんはそう言うと何かを書き始めた。
「これ、私からの紹介状。冒険者ギルドにキャシー……キャサリーンって受付がいるから渡して。すぐに登録するように書いてあるから」
キャサリーンさんか。
「ありがとうございます!」
「何か困った事があったら相談に乗るからいつでも来てちょうだい。もしテイムしたなら従魔登録はしなくちゃいけないから、ちゃんと登録しに来るのよ」
「はい!何から何まで教えていただいてありがとうございます!」
そう言ってテイマーズギルドを後にするのであった。
「えっと、エルム君でよかったかな?私はテイマーズギルドの受付やってますエミリーです。働かせて下さいって事はギルド職員になりたいって事かな?」
「はい!」
「わざわざここのギルドを選んだって事はもしかして魔物関係の天職だった?」
「そうです」
「そうなんだ。それなら難しいかなー」
「えっ!?」
「あっ、ごめんなさい。実は私達ギルド職員は派遣なの、総合ギルドの」
「総合ギルド?」
「そう、受付やその他ギルド運営に必要な人材を派遣するギルドの事よ。受付にはもちろん各ギルドの知識は必要だけど、必ずしもそのギルドにあった天職が必要なわけではなくて、どちらかと言えば事務関係の天職が必要なの。ちなみに私もそっち関係の天職ね」
参ったなぁ。魔物関係の天職ならテイマーズギルドの職員になれると思ったんだけど。少し悩んでいるとエミリーさんから声がかかる。
「エルム君は魔物関係の天職なのよね?あっ、ちなみにどんな天職かは言わなくていいわよ?過度の詮索はご法度だし報告の義務もないのだから。それで、提案なんだけれどテイマーとして登録してみない?少なくとも魔物関係の天職ならテイムのスキルがあるはずなんだけど、契約した従魔と依頼をこなしたりするの」
スライムブリーダーは確かスライムしか契約出来ないと書いてあった。どちらにしてもスライムと一緒に依頼……ダメだ、全然想像出来ないや。
「……難しいと思います」
「研修とかもやってるから最初の従魔契約はギルドの方からお手伝い出来ると思うし、あまり難しく考える事は無いと思うよ?ここにいる人達だって最初はス・ラ・イ・ム・から始めているのだし」
ここにいる人達にとってはスライムは通過点と言うかスタートラインでも、僕にとってスライムは最初で最後、ゴールでしかない。
「ごめんなさい、やっぱり難しいと思います。……僕はスライムしか契約出来ないから」
ぽつり。俯きながら思わず本音をこぼしてしまった。
「エルム君」
呼ばれたので顔を上げる。そこには真剣な顔をしているエミリーさんの顔があった。
「ごめんなさい。今のでだ・い・た・い・察したわ。……あそこにいるエレメントバードを肩に乗せている女性、クルテさんって言うんだけど、彼女は天職をオープンにしているから引き合いに出させてもらうと、彼女の天職はエレメントテイマー。エレメント系の魔物や魔獣とのテイムを容易にする天職なの。その代わり他の種族と契約出来ないと言う欠点があるんだけど、スライムだけはどんなテイマーでも契約できる唯一の魔物なのよ」
その誰でも契約出来る魔物しか契約出来ない天職を持っているのが僕。
「早めに転職する事をお勧めするわ」
転職。この世には多種多様の天職があり星の数ほどあるとも言われているけど何に役に立つのかまるで分からない天職もある。所謂ハズレと呼ばれる天職だ。
例えば昼寝士。昼にすぐに寝ることが出来る天職。他にも少なくない数のハズレ天職があり救済措置として生涯で一度だけ転職する事が認められている。それでも一つだけ条件があって。
「天職の儀から一年間は転職をする事は許されない、ですよね」
「そう……ね」
エミリーさんは僕が今日天職を授かった事を思い出したのだろう。歯切れが悪い。しかし一年間か。爺ちゃんから餞別としてかなりお金を持たせてもらったから、切り詰めれば何とかなるけど出来ればあまり使いたく無い。どこか働ける所はないのか?
「エルム君、あなたすぐにでも働きたいのでしょう?」
「はい」
「そう……なら、冒険者になってみない?」
「冒険者……ですか?」
「テイマーズギルドでは従魔の能力に依存した依頼ばかりだけど、冒険者ギルドではそれこそ多種多様な様々な依頼があるわ。皿洗いとか溝掃除みたいな雑用から、採取、討伐その他諸々なんでもね。テイマーズギルドでテイマーとして登録しても恐らく受けられる仕事はほとんどゼロだと思うけど、冒険者になれば選り好みさえしなければ何かしら依頼を受けられると思うの。それこそ天職に関係なくね。それにあなたには冒・険・者・が合ってる」
「冒険者になります」
迷う事なく口にした。そうだ、僕は働きに来たんだ。体を動かすのが嫌だとか言っている場合じゃない。そろそろ日も暮れてきた。お礼を言って冒険者ギルドに行こう!
「あっ、ちょっと待ってて!」
「え?」
エミリーさんはそう言うと何かを書き始めた。
「これ、私からの紹介状。冒険者ギルドにキャシー……キャサリーンって受付がいるから渡して。すぐに登録するように書いてあるから」
キャサリーンさんか。
「ありがとうございます!」
「何か困った事があったら相談に乗るからいつでも来てちょうだい。もしテイムしたなら従魔登録はしなくちゃいけないから、ちゃんと登録しに来るのよ」
「はい!何から何まで教えていただいてありがとうございます!」
そう言ってテイマーズギルドを後にするのであった。
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