スライムブリーダー?実は最強の職業でした

谷里 零

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漢の娘?

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 夕暮れ時の王都の大通り。ここら辺は食堂とか酒場が多いのかな?あちこちで行列が出来ているし何よりいい匂いがする。あそこのお店の行列の人数、僕の住んでた村の人口より多いんじゃないか?ちゃんと自分で稼いで余裕が出来たら一度いってみよう。

 冒険者ギルドは教会を挟んで正反対に位置していたけど何とか人の波に飲まれながら辿り着く事が出来た。

 近づくにつれ武器らしき物を持っている人が多くなって来たけど故郷の村にいた冒険者みたいにガチガチの全身鎧を身につけている人は一人もいない。殆ど部分鎧か革鎧だ。
 周りを観察しながら中に入るとテイマーズギルドと造りはほとんど一緒で違うのはスペースの半分が酒場の様になっている事だった。

 夕暮れ時ということもあって受付には長蛇の列。今日、天職の儀を受けたばかりの若い人はおらずほとんど冒険者ばかりだ。どの列に並ぼうかと迷っているとポツンと空いている受付があった。
 あそこでキャサリーンさんを呼んでもらおうと並んでいる人達に申し訳なく思いながらも歩いていく。

「あ~ら、いらっしゃい!初めて見る顔ねん」

「すいません、間違えました」

 ガシッ

 改めて列に並び直そうと振り返ろうとした所、頭を鷲掴みにされた。なっ、なんだこれ!?びくともしないぞっ!

「うぶねぇ~、食べちゃいたい。それで、冒険者ギルドにどういった御用なのん?」

 目の前で巨大な何かが口を開いた。逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ!目の前にいるのは恐らく人間だ!ちゃんと目を見て話さなきゃ!

「こっ、これを……」

 頭を鷲掴みにされたまま恐る恐る鞄から紹介状を手渡す。

「あら、ラブレター?」

「ち、違います!これをキャサリーンさんにお願いします!」

「あらぁ~やっぱりラブレターなんじゃない」

「えっ?」

「キャサリーンは、わ、た、し」

 ばちこーん、と音が鳴りそうなウィンクをして見せた自称キャサリーンさん。見た目は筋骨隆々、顔は大変彫りが深く、針金の様な金髪の剛毛を無理矢理細かい沢山の三つ編みにしてキャサリーンのキャの字もない様な見た目をしている。どちらかと言えばゴンザレスとかの方がしっくりくるんじゃないか?
 その自称キャサリーンさんは僕の頭を鷲掴みにしたまま器用に手紙を開くと手紙を読み始めた。

「あら、あなたエミリーからの紹介なの?凄いじゃない!早速登録しましょう!」

 そう言って自称……もうキャサリーンさんでいいや。ごそごそとカウンター下から水晶玉を取り出した。
 天職の儀に使用した物よりもうんと小さめの水晶玉でその横には長方形の箱がある。因みにまだ僕の頭は鷲掴みされ中だ。

「使い方は分かるよねん。こ、こ、に手を置くだけよん。この、た、ま、に」

 卑猥に聞こえる言い方はやめて欲しい。
 僕はその言葉を無視し水晶玉に手を置いた。淡く光ると直ぐにその光は消えていく。だけど天職の儀と違って水晶の中に文字が現れない。

「そろそろ出そう!いくっ!いくっ!いくわよん!」

 僕はその雑音を華麗に無視し、水晶玉の横にある箱に注目している。水晶玉の光がそっちに移動したように見えたからだ。

 チーーーン

 箱から板?カードの様なものが出て来た。キャサリーンさんはそれを取り出し僕の目の前に持ってきた。ついでにキャサリーンさんの顔も目の前にある。近い、怖い。

「これがあなたのギルドカードよ。これは絶対に無くさない事!初回はエミリーの紹介もあってこっちもちだけど、再発行はそうもいかないわん。このカードの使い方の説明は必要かしらん?」

「お、お願いします」

「素直でよろしい。見栄張っちゃって知ったかぶりするお馬鹿さんじゃ無くてよかったわん」

 そう言って一歩引いてくれた。よかった、顔が近すぎて全然カードに目がいかなかった。

「まずはカードの確認よ。まだこちらに見せる必要はないわん。あなただけで確認してくれるん?」

 言われ通りに確認する。

 所属 冒険者ギルド
 名前 エルム グローディア
 年齢 十五歳
 天職 スライムブリーダー


「カードに上から所属、名前、年齢、天職、ってあると思うけど間違いないん?」

「はい、間違いないです」

「それじゃ、次に天職の所を押しながら上へなぞってみてくれる?や、さ、し、く、よ」

 少し強めに押しながら上へなぞる。おっ?文字が出て来た!


 スキル スライム鑑定
     スライム従魔契約
     ◼️◼️◼️◼️
     ◼️◼️◼️◼️
     ◼️◼️◼️◼️


「多分スキルが出て来たと思うんだけどどう?」

「はい!これが僕の持っているスキルなんですね!」

「そうよん?スキルの横にレベルは出てる?」

「レベルですか?特にそういった表記はないですね」

「それじゃあ、それは天職と一緒に覚えたスキルねん。職業スキルや固有スキルとも言うのよん」

「いくつか見えないスキルがあるんですけど」

「それは条件がまだ整っていないのねん。例えば剣士の天職持ちがまだ剣を持っていないとか。あなたも条件が揃えば見えるようになるわよん」

 僕にとって剣のようなもの。十中八九スライムを育てる事に関係しているんだと思う。その前にまずはスライムをテイムする事を目標にしよう。

 その後もギルドカードで出来る事を教えてもらった。身分証代わりになる事やお金を預けられる事、そんな中でも僕にとって一番嬉しかったことは、このカードを見せれば大抵のお店で割引して貰えると言う事だった。冒険者のランクについても教えて貰ったけど高ランクの冒険者になれるとは思っておらずあまり詳しくは聞かなかった。

「最後に天職の所を一回押してみてん」

 ぽちっ

 軽く押してみると……えっ!?天職の欄が消えた?あっ!スキルも消えている!

「天職は基本信用している人以外教えない事。普段はちゃんと消しておくのよん。取り敢えず今日はこの辺ねん。明日依頼を受けにいらっしゃい」

「ありがとうございました!」

 ようやく鷲掴みから解放された。この頃には僕はキャサリーンさんにすっかり慣れてしまっていた。慣れって怖いね。
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