スライムブリーダー?実は最強の職業でした

谷里 零

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あっ、僕死んだ

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「ん、う~ん」

 窓からの朝日が差し込みその光で目を覚ます。知らない部屋にいた事で少し戸惑うがぼんやりと思い出す。どうやらあのまま寝ちゃったみたいだ。
 昨日身体拭いてないや。食堂とか無いけどお湯用意してくれるかな?

 くぅ~

 食堂の事を考えたらお腹が鳴った。そうだ、昨日ご飯食べないで寝ちゃったんだ。取り敢えず、すでに冷め切った屋台で買った物をお腹に入れる。寝起きということもあるけど冷め切ったせいで味が濃く感じ、朝からなかなかヘビーだ。

 部屋を出てカウンターへ向かう。そこには昨日の夜いたお爺さんではなく若い女性が座っていた。

「おはようございます」

「おはようございます。よく寝られましたか?」

「はい!気持ちよく寝られました!」

 僕はギルドカードを取り出し、

「まとまった日数で部屋を借りたいんですが大丈夫ですか?」

「連泊希望でしたら十日からになります」

「それじゃ十日分お願いします」

「大銅貨七枚ですね」

 チャリーン

 お会計完了だ。これで着替えとか日用品の入ったリュックを置いて行けるぞ。

「あと、すいません。清拭用のお湯って用意して貰えるんですか?」

「夕方までに言ってもらえれば夜にご用意出来ますよ料金は鉄貨五枚になります。裏にある井戸であれば無料となっています」

 鉄貨五枚か。薪を使って沸かすのだろうし燃料代掛かるもんね。夜にお願いすると伝えて裏に回った。井戸水は冷たいけど身体拭けないと気持ち悪いからね。

 一通り終えて冒険者ギルドに向かった。キャサリーンさんは朝は混むから時間をずらした方がいいって言っていたから少し寝過ごしたし丁度いい位かな?

 僕的にはちょっと遅い位だと思ったけど、どうやら混む時間に来てしまったらしい。受付のカウンターには列が出来ていた。が、昨日同様ぽっかりと空いている受付が。

「おはようございます!」

「あら~エルム坊や、おはよう。早速受付するん?」

 ばちこーん、とウィンクをするキャサリーンさん。うっ、胃もたれが。朝ごはん食べすぎたかな?

「みんな並んでいるのに受付して貰っちゃって大丈夫ですか?」

「胡椒の粒より小さいタマタマしか持ってない男共の事なんて、気にしない気にしない。さて受付するわよん。昨日も説明したけど、本当はあそこにあるクエストボードから依頼書を持って来てここで受付するのん。だ、け、ど、エルム坊やは特別!わたしがたましぃを込めて選んであげたわん!」

 たましいは別として選んでくれた事にお礼を言う。

「今の貴方はGランク。本当は街の中で色々雑用とかして少しずつ冒険者の仕事を覚えた方がいいんだけど、貴方はあの子の紹介だし、特別にわたしの許可で外で出来る仕事を見繕ってあげたのん。それに……あなたの天職、初めは外に出た方がいいんじゃ無いかしらん?」

 エミリーさんに聞いたのかな?でもエミリーさんも僕の天職ちゃんと知ってるってわけじゃ無さそうだけど。取り敢えず曖昧に頷く。僕だって自分の天職について全然わからないことばかりだし。

 キャサリーンさんから渡されたのは薬草、毒消し草、その他幾つかの採取依頼だった。

「ほとんど初心者向けの依頼ねん。数に上限は無いけど最低でも十本からの買取になるわん。見つけたらじゃんじゃん採ってらっしゃい」

「分かりました」

「それと王都の近くにはそれほど高ランクの魔物は出ないけど、決して森には立ち入らない事よん。最近変な目撃情報もあるし。森の中の方が沢山依頼品が生えているけど決して欲をかかないことん。長く冒険者を続けるなら絶対に忘れてはいけないわよん」

「はい!ありがとうございます!」

「それでは行ってらっしゃい。良き冒険を」

 一瞬ドキッとしてしまった。キャサリーンさんがとても綺麗なお姉さんに見えたからだ。キャサリーンさんに見送られ、僕は冒険者として始めての依頼に出発した。


 で、現在僕は森の中にいる。


 早く冒険者を辞めたいとか、欲をかいたとかじゃ無いよ?ギルドを出てすぐに王都の外へと出たんだ。

 入る時は審査に時間がかかったのにギルドカードを見せるとすぐに出られて入る時もすぐに入れると聞いて感動しながら歩いていると、どこからともなく青い物体が現れた。

 あっ、スライムだ。って思ったらあれよあれよと、一体何処にいたの!?って程、周りがスライムだらけに。スライム達はある者は這うようにある者は跳ねるように徐々に僕に迫って来たんだ。大きさは僕の握り拳程度だけどあまりの数に僕は逃げ出した。

 幸い動きは鈍いようでなんとか振り切れたけど、立ち止まるたび、すぐにわらわらと現れる。
 やっと現れなくなったと思った時には僕は森の中にいるのに気付いたのだ。

 ひとまず落ち着くとしよう。キャサリーンさんは王都の近くには高ランクの魔物は出ないと言っていた。
 一応念の為に鞄の中から護身用の短剣を取り出す。

 ブフゥー

 首筋に生臭い生温かな風があたる。恐る恐る振り返る。見上げるほど大きな猪。口から伸びる立派な牙。ファングボアだ……。
 確かランクCの魔獣だったはず。
 そういえば『最近変な目撃情報もあるし』なんてキャサリーンさんが言ってたっけ。

 ファングボアは前傾姿勢になり後ろ足で地面をかいている。

 目の前には全身凶器のファングボア、かたやこちらは護身用の短剣一つ。


 あっ、僕死んだ


 ファングボアが突進して来る。あぁ、爺ちゃん、ごめんよ。何も恩返しできなくて。僕は固く目を瞑る。


 ドゴォーーーン!!!


 凄まじい衝撃音と共に土煙が立ち昇る。その衝撃で僕は尻餅をついた。って、えっ!?僕、生きてる?

 段々と土煙が晴れていくとそこにあったのは、あり得ない格好のファングボア。体が逆くの字になってお腹が地面に陥没している。

 何が起こったんだ!?

 と、その時ファングボアの頭に何かが現れた。


 木漏れ日に照らされ青く輝く流線形のボディ。スライムだ。


 そして、これが僕と相棒の初めての出会いだった。
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