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課題7:僕とボクの日常攻略
3:これで彼女は好きなところに行けるはず。
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彼女達――実体を持たない幽霊という存在にとって、身体とは、人間社会で生活するための器なのだという。
「カップと紅茶のような関係。言ってしまえばそれ以上でも以下でもないわ」
カップにヒビが入ったら別のカップへ中身を移せばいいように。器が朽ちても魂さえ残っていればなんとかなる。中身が零れたまま放置したりすると、いずれ蒸発して無くなる。そういうことらしい。
「ティーカップにコーヒー注ぐなんて冒涜が許されないように、もちろん相性はあるんだけど。まあ、そこはどうでも良いわ。許されないけどできない訳じゃない」
許されないけど、と彼女はもう一度念を押すように言う。
「容れ物と中身の話はこんな所ね。それで。テオが言う匂いは……そうね。感じたことあるかしら。家に入った瞬間に感じる、その家特有の香り。魂も同じで、人によって違うわ」
テオはそこに関して特に鼻が効くみたいなの。とノイスちゃんは言う。
「でも、テオの場合、嗅覚より感覚で察知してる所があるかもしれないわね。そうじゃなかったら、こんな離れた島国に居る貴方なんか見つけられないわよ」
「うん……凄いね。テオの嗅覚」
海も大陸も超えて見つけるとかどれだけだよ、と言うと、テオはあははと照れたように笑った。
「これでも随分かかったんだよ。日本に着いてからも、結構あちこち回ったし」
「そうなんだ。うん、理屈は大体分かったけど。……僕の匂いってそんな分かりやすいの?」
「そうだね、特徴的なのもあるけど、正直言うと直感だよ」
「直感」
「うん。普通の匂いは意識しないと分からないけど、ウィルの匂いだけはたまに……そうだな、方位磁針みたいに方向を指し示すんだ。もしかしたら、俺の中に君の血が混ざってるのかもしれない」
あそこに居たのは、俺と君と、あの女性だけだったし、とテオは言う。
なるほど。彼女の血は僕が飲んでしまったし、たとえ、覚えてる匂いが彼女であっても、とっくに僕の一部だ。もしかしたら残り香みたいなものがあるのかもしれない。
百年も残ってるかは疑問だけど。
「だから、この匂いはウィルだって確信と、どこかに居るって感覚だけはある」
「……ふむ」
なんだろう。話だけ聞くと、テオの状況は僕と似たもののような気がした。
僕の血がテオの中にあって、なにかしらの存在を主張する。
……悪さしてないと良いんだけど。
「と、話が逸れた。それで、色んな人の匂いを感じてきたけど、ウィルのはかなり特徴的でさ。鉄と霧みたいな匂いがするんだ。あと、時々匂いが変わる。別のが混ざったり、鉄っぽさが濃くなったり」
「鉄っぽさ……。血を飲んだ時とか、かな」
「かもね。そんな訳で、匂いを頼りに日本まできたんだけど。途中で匂いが変わったんだ」
「うん? 変わるのはよくあるんじゃないの?」
「そうなんだけど。春頃だったかな。いつもの比じゃない位、混ざった匂いが濃くなったんだ。うまく表現できないんだけど……土っぽいというか。土に染み付いた血、みたいな。呪いのような酷い臭い」
その例えに、僕はしきちゃんと顔を見合わせる。
彼女も同じ考えらしく、硬い表情でこくりと頷いた。
時期的にもきっと間違いない。
僕が彼女と出会い、血を吸った頃だ。
「その顔は心当たりあるんだね」
「さっき話しただろ。彼女の血と、その呪いのこと」
「ああ」
そう言えばそうだった、とテオは頷く。
「それで。その匂いがね。今のウィルからはあまりしないんだ」
「え」
「それは……」
僕としきちゃんの声が重なる。
「うん。多分、物理的に外に排出されたのかな。今は――」
と、台所に置いてたペットボトルを指差して「あれの方が、強い」と言った。
「今は血が少ないから薄まってるだけって可能性もある。もう少し時間が経って、本調子になればもっと分かると思う」
「なるほど……僕の事は分かった。で」
「うん」
「こっちが本題だよ」
と、しきちゃんを差す。
「彼女にその匂いはある?」
「ん……。ちょっと失礼」
そう言って、テオはしきちゃんの手を取る。脈を確かめるように手首に触れ、頷いた。
「涼しげな匂いがするね。可憐な花みたいだ」
「ありがとう、ございます」
「そうだな。多少は分かるけど、残り香って言っていいレベルかな」
「そっか」
僕と違ってしきちゃんに出血はほとんどない。なのに匂いが薄いと言う事は、やっぱり僕の方に本体があったらしい。
夢にまで出てきてあんなに喋ってくれる程だ。そりゃそうか。
改めて実感したあいつの存在に溜息が出そうだけど。それ以上に安堵の気持ちが大きかった。
「だってさ。良かったね」
そう言ってしきちゃんに笑いかけた。
彼の身勝手な呪いは、彼女にほとんど残っていない。
彼女の存在を己自身に縛り付ける呪いは、僕が引き受けた。一部がペットボトルの中とは言え、あれは僕の血だ。今はそんな理解でいいだろう。
彼の執着が呪いの本体で、それが彼女の居場所を縛っていると仮定すれば、彼女が存在できる場所は僕の近く、という事になるのかもしれない。一家全滅はしないだろうけど、居場所が制限される可能性は残っている。しきちゃんにとって、状況が好転したとは言えない気もする。
けど。
はい、と頷く彼女を見てると、なんか。純粋に嬉しいというか、しばらくはそれでもいいか、という気もした。どうにかできるまで部屋を貸し続ければいいだけの話だ。
置いといて。
「しきちゃんの居場所は、かつての家でも、呪いを内包する自分自身でもない。呪いは僕に奪われて、座敷童の能力しか残っていない……と、いいなあ」
「そうだね。あと、彼女の居場所を縛るのはウィルの可能性があるってことくらい?」
テオの余計な一言に思わず苦い顔をする。
「……分かってる」
ああ、ついさっきその可能性は考えたさ。考えたとも。
溜息をついて座り直す。
「僕に彼女の居場所を縛る意思はないけど、影響があるならなんとかしたいな」
「できそう?」
「分からない。僕はただ、この時代を平和に、穏やかに生きていきたいんだ。何事も無く過ぎていく平和な日常を謳歌したい。だから――」
ふと、言葉が切れた。
「うん。彼女にもそう思えるような生活をして欲しい。呪いがなんとかできれば、好きな家で過ごすことができるだろうしね」
僕らにとって住みにくいこの時代を、どうやって平和に平穏に生き抜いていくか。
僕が勝手に掲げてる課題だけど。しきちゃんも。テオとノイスちゃんはどうするか分からないけど、彼らも。人間と変わらない、普通の……体質や在り方は普通じゃないけれど。それを上手く使って違和感無く溶け込めるような。そんな生き方をしたい。して欲しい。
「ね」
念を押すように、しきちゃんに笑いかける。彼女はこくり、と小さく頷いた。
ああ、このまま彼女はどこかへ行ってしまうのだろうか。
座敷童が出て行った家は、没落するんじゃなかったっけ。なんて、関係ない不安もよぎるけど。別に僕の家は繁栄している訳でもない。慎ましく夜の世界を生きている。だからきっと大丈夫。
うん。大丈夫。なんて言い聞かせる。
だって、僕は彼女に一時の宿を貸しているだけ。そう。それだけのつもりだ。
彼女に行く場所がないのなら、という条件だった。
だから、出て行きたいなら。どこかへ行ってみたいなら。行ってもいい。
これは本心のはずだ。
なのに。なんだか胸が痛むのは何故だろう。
「お兄さん」
「何?」
「ボク、好きな所に行っても、良いのですか?」
「うん。行けるようになると思う。あいつは僕が引き受けた。あれをなんとかできたら、今度こそ君は解放されると思う。きっとどこへでも行けるよ」
「そう、ですか」
彼女は視線を落として呟いた。
次に彼女はなんと言うのだろう。どう別れを告げられるのだろう。
分からない。頭が回らない。息が詰まりそうだ。
客人が居ることも忘れて、僕は彼女の言葉の続きを待つ。
「それなら、ボクは。ここに。この家に居たいです」
「え」
彼女は僕に向き合って正座をし、きれいに背筋を正す。
「あのお部屋に、もう少し居たいです。だから。この家に、お兄さんの傍に。居させてください」
「カップと紅茶のような関係。言ってしまえばそれ以上でも以下でもないわ」
カップにヒビが入ったら別のカップへ中身を移せばいいように。器が朽ちても魂さえ残っていればなんとかなる。中身が零れたまま放置したりすると、いずれ蒸発して無くなる。そういうことらしい。
「ティーカップにコーヒー注ぐなんて冒涜が許されないように、もちろん相性はあるんだけど。まあ、そこはどうでも良いわ。許されないけどできない訳じゃない」
許されないけど、と彼女はもう一度念を押すように言う。
「容れ物と中身の話はこんな所ね。それで。テオが言う匂いは……そうね。感じたことあるかしら。家に入った瞬間に感じる、その家特有の香り。魂も同じで、人によって違うわ」
テオはそこに関して特に鼻が効くみたいなの。とノイスちゃんは言う。
「でも、テオの場合、嗅覚より感覚で察知してる所があるかもしれないわね。そうじゃなかったら、こんな離れた島国に居る貴方なんか見つけられないわよ」
「うん……凄いね。テオの嗅覚」
海も大陸も超えて見つけるとかどれだけだよ、と言うと、テオはあははと照れたように笑った。
「これでも随分かかったんだよ。日本に着いてからも、結構あちこち回ったし」
「そうなんだ。うん、理屈は大体分かったけど。……僕の匂いってそんな分かりやすいの?」
「そうだね、特徴的なのもあるけど、正直言うと直感だよ」
「直感」
「うん。普通の匂いは意識しないと分からないけど、ウィルの匂いだけはたまに……そうだな、方位磁針みたいに方向を指し示すんだ。もしかしたら、俺の中に君の血が混ざってるのかもしれない」
あそこに居たのは、俺と君と、あの女性だけだったし、とテオは言う。
なるほど。彼女の血は僕が飲んでしまったし、たとえ、覚えてる匂いが彼女であっても、とっくに僕の一部だ。もしかしたら残り香みたいなものがあるのかもしれない。
百年も残ってるかは疑問だけど。
「だから、この匂いはウィルだって確信と、どこかに居るって感覚だけはある」
「……ふむ」
なんだろう。話だけ聞くと、テオの状況は僕と似たもののような気がした。
僕の血がテオの中にあって、なにかしらの存在を主張する。
……悪さしてないと良いんだけど。
「と、話が逸れた。それで、色んな人の匂いを感じてきたけど、ウィルのはかなり特徴的でさ。鉄と霧みたいな匂いがするんだ。あと、時々匂いが変わる。別のが混ざったり、鉄っぽさが濃くなったり」
「鉄っぽさ……。血を飲んだ時とか、かな」
「かもね。そんな訳で、匂いを頼りに日本まできたんだけど。途中で匂いが変わったんだ」
「うん? 変わるのはよくあるんじゃないの?」
「そうなんだけど。春頃だったかな。いつもの比じゃない位、混ざった匂いが濃くなったんだ。うまく表現できないんだけど……土っぽいというか。土に染み付いた血、みたいな。呪いのような酷い臭い」
その例えに、僕はしきちゃんと顔を見合わせる。
彼女も同じ考えらしく、硬い表情でこくりと頷いた。
時期的にもきっと間違いない。
僕が彼女と出会い、血を吸った頃だ。
「その顔は心当たりあるんだね」
「さっき話しただろ。彼女の血と、その呪いのこと」
「ああ」
そう言えばそうだった、とテオは頷く。
「それで。その匂いがね。今のウィルからはあまりしないんだ」
「え」
「それは……」
僕としきちゃんの声が重なる。
「うん。多分、物理的に外に排出されたのかな。今は――」
と、台所に置いてたペットボトルを指差して「あれの方が、強い」と言った。
「今は血が少ないから薄まってるだけって可能性もある。もう少し時間が経って、本調子になればもっと分かると思う」
「なるほど……僕の事は分かった。で」
「うん」
「こっちが本題だよ」
と、しきちゃんを差す。
「彼女にその匂いはある?」
「ん……。ちょっと失礼」
そう言って、テオはしきちゃんの手を取る。脈を確かめるように手首に触れ、頷いた。
「涼しげな匂いがするね。可憐な花みたいだ」
「ありがとう、ございます」
「そうだな。多少は分かるけど、残り香って言っていいレベルかな」
「そっか」
僕と違ってしきちゃんに出血はほとんどない。なのに匂いが薄いと言う事は、やっぱり僕の方に本体があったらしい。
夢にまで出てきてあんなに喋ってくれる程だ。そりゃそうか。
改めて実感したあいつの存在に溜息が出そうだけど。それ以上に安堵の気持ちが大きかった。
「だってさ。良かったね」
そう言ってしきちゃんに笑いかけた。
彼の身勝手な呪いは、彼女にほとんど残っていない。
彼女の存在を己自身に縛り付ける呪いは、僕が引き受けた。一部がペットボトルの中とは言え、あれは僕の血だ。今はそんな理解でいいだろう。
彼の執着が呪いの本体で、それが彼女の居場所を縛っていると仮定すれば、彼女が存在できる場所は僕の近く、という事になるのかもしれない。一家全滅はしないだろうけど、居場所が制限される可能性は残っている。しきちゃんにとって、状況が好転したとは言えない気もする。
けど。
はい、と頷く彼女を見てると、なんか。純粋に嬉しいというか、しばらくはそれでもいいか、という気もした。どうにかできるまで部屋を貸し続ければいいだけの話だ。
置いといて。
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「そうだね。あと、彼女の居場所を縛るのはウィルの可能性があるってことくらい?」
テオの余計な一言に思わず苦い顔をする。
「……分かってる」
ああ、ついさっきその可能性は考えたさ。考えたとも。
溜息をついて座り直す。
「僕に彼女の居場所を縛る意思はないけど、影響があるならなんとかしたいな」
「できそう?」
「分からない。僕はただ、この時代を平和に、穏やかに生きていきたいんだ。何事も無く過ぎていく平和な日常を謳歌したい。だから――」
ふと、言葉が切れた。
「うん。彼女にもそう思えるような生活をして欲しい。呪いがなんとかできれば、好きな家で過ごすことができるだろうしね」
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「ね」
念を押すように、しきちゃんに笑いかける。彼女はこくり、と小さく頷いた。
ああ、このまま彼女はどこかへ行ってしまうのだろうか。
座敷童が出て行った家は、没落するんじゃなかったっけ。なんて、関係ない不安もよぎるけど。別に僕の家は繁栄している訳でもない。慎ましく夜の世界を生きている。だからきっと大丈夫。
うん。大丈夫。なんて言い聞かせる。
だって、僕は彼女に一時の宿を貸しているだけ。そう。それだけのつもりだ。
彼女に行く場所がないのなら、という条件だった。
だから、出て行きたいなら。どこかへ行ってみたいなら。行ってもいい。
これは本心のはずだ。
なのに。なんだか胸が痛むのは何故だろう。
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「何?」
「ボク、好きな所に行っても、良いのですか?」
「うん。行けるようになると思う。あいつは僕が引き受けた。あれをなんとかできたら、今度こそ君は解放されると思う。きっとどこへでも行けるよ」
「そう、ですか」
彼女は視線を落として呟いた。
次に彼女はなんと言うのだろう。どう別れを告げられるのだろう。
分からない。頭が回らない。息が詰まりそうだ。
客人が居ることも忘れて、僕は彼女の言葉の続きを待つ。
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