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地球星人
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昨日の月は明けてもまだそこにいた。変な感じ。昨日よりも月をそばに感じながら、ポケットに手を突っ込んだ。寒い。この頃暑かったり寒かったりの寒暖差が激しい。昨日の夜は少し暑く感じたくせ今朝となれば冬だ。昼夜の前に季節は逆転を繰り返すようだ。つくづく地球も故障しかけなのだと思わされる。保証書はない。アダムとイブが初めに捨ててしまったのかもしれない。
夏の軽い服装とはちがって重装備な今日の季節は体も縮こまるし、好きじゃない。
「昨日のこと」で世界はやはり変わったと私は思い込んでいたから、朝の日常が少しつまらなかった。いざ変わった時、また退屈だと言えるかは知れたことではないが。SNS世界と現実世界には大きく隔たりがあるみたいだ。電車に乗っても、みな平然と朝の日常を全うしている。私もまたそうである。それにしても静かすぎる。ああ、もしかするとつり革を持つ私の前に座っている他校の生徒は今スマホで「昨日のこと」を叫んでいるかもしれない。きっとみんなそうなんだ。身体とのリンクが認証されてないんだろう。「昨日のこと」を口外せず過ごすにはハードすぎる。
「はーい、おはようございます」
あぁ、昨日と変わらない声量と周波数だ。昨日で時間は止まっていたのかも知れないな。
「えー、はい。みんなも知っているでしょうが、昼夜逆転計画は昨夜決定しましたね?。でもみんなは、いつも通り学校を過ごしなさい。それが学生の務めだからね」
クラス内はざわついた。先生が来る前から「昨日のこと」の1つや2つは聞こえてきたけど、みんな余り重大と考えてないみたいだ。
「できる訳ないじゃん」
クラスの全員が私を見た。しまった、つい口に出た。嫌な目立ち方をしたものだ。どうすれば、。
「ま、まぁ詳細を待ちましょう」
なんだ貴方も頭がそれでいっぱいなんじゃないか。見たらわかる。返し方も説得には全く満たない。
そうだ、出来るわけがなかった。みんなも知っているはずだ。事の引き金が、人類が犯した罪の積み重ねだということを。先人から受け継いできたCO2のバトンはしっかりと握ったままだ。
私たちも無論罪人に変わりない。何回のポイ捨てをしたかな。分別はしてたっけな。世界中の人達の指を足しても足りない。これからの余生+後世は償いだ。
".いつも通り"を無事全うした2月3日、今日は節分だ。棚には豆があって、私は5粒ほど一握に収めて玄関の戸を開けた。
今日も月は明るくて、無風だった。しかし今夜は寒かった。私は左手に収めた5粒から1つ右手に取り、空高く、地面と垂直に投げ上げた。目は必死に豆を追った。全く見えなかったが、月を背景に最高点を迎えた豆が辛うじて確認できた。その直後頭上に豆が当たった。鬼は外でも内でもいい。どうか、地獄の鬼にこの豆で私たち人間が内にいていいのか外に出るべきかを委ねたい。落ちた豆を食べるわけにもいかなくて、左手の豆を一気に口に放り込んだ。ゴリゴリという音が骨をつたい、頭で響いた。地球は言っている。「人類は外、人類以外は内」。冗談じゃなくて、人がここを追い出される日は限りなく近い。火星。宇宙。人は逃げ場を探す。地球以上に都合の良い星はないなんて私でもわかる。地球も人様に逆らえなかったみたいだ。時には風を吹かし、時に大粒の水を落とし、大地を揺すってきた。それも敵わず人は崩壊した街を修復し、たちまち発展していった。空には星が見えない。雲はない。月がポツンとある。地球も恒星さながらである。
月は私たちをどう見ているのだろう。地球をどう見ているのだろう。月は知っているのかな。地球の嘆きを。
「寒いや」
体を震わせた私は家に戻った。
「ねぇ、明日は午後から大雨だから傘忘れずにね」
自室へと、階段に足をかけた私に母は言った。
明日、誰か拭ってやってくれよ。こいつの涙。
夏の軽い服装とはちがって重装備な今日の季節は体も縮こまるし、好きじゃない。
「昨日のこと」で世界はやはり変わったと私は思い込んでいたから、朝の日常が少しつまらなかった。いざ変わった時、また退屈だと言えるかは知れたことではないが。SNS世界と現実世界には大きく隔たりがあるみたいだ。電車に乗っても、みな平然と朝の日常を全うしている。私もまたそうである。それにしても静かすぎる。ああ、もしかするとつり革を持つ私の前に座っている他校の生徒は今スマホで「昨日のこと」を叫んでいるかもしれない。きっとみんなそうなんだ。身体とのリンクが認証されてないんだろう。「昨日のこと」を口外せず過ごすにはハードすぎる。
「はーい、おはようございます」
あぁ、昨日と変わらない声量と周波数だ。昨日で時間は止まっていたのかも知れないな。
「えー、はい。みんなも知っているでしょうが、昼夜逆転計画は昨夜決定しましたね?。でもみんなは、いつも通り学校を過ごしなさい。それが学生の務めだからね」
クラス内はざわついた。先生が来る前から「昨日のこと」の1つや2つは聞こえてきたけど、みんな余り重大と考えてないみたいだ。
「できる訳ないじゃん」
クラスの全員が私を見た。しまった、つい口に出た。嫌な目立ち方をしたものだ。どうすれば、。
「ま、まぁ詳細を待ちましょう」
なんだ貴方も頭がそれでいっぱいなんじゃないか。見たらわかる。返し方も説得には全く満たない。
そうだ、出来るわけがなかった。みんなも知っているはずだ。事の引き金が、人類が犯した罪の積み重ねだということを。先人から受け継いできたCO2のバトンはしっかりと握ったままだ。
私たちも無論罪人に変わりない。何回のポイ捨てをしたかな。分別はしてたっけな。世界中の人達の指を足しても足りない。これからの余生+後世は償いだ。
".いつも通り"を無事全うした2月3日、今日は節分だ。棚には豆があって、私は5粒ほど一握に収めて玄関の戸を開けた。
今日も月は明るくて、無風だった。しかし今夜は寒かった。私は左手に収めた5粒から1つ右手に取り、空高く、地面と垂直に投げ上げた。目は必死に豆を追った。全く見えなかったが、月を背景に最高点を迎えた豆が辛うじて確認できた。その直後頭上に豆が当たった。鬼は外でも内でもいい。どうか、地獄の鬼にこの豆で私たち人間が内にいていいのか外に出るべきかを委ねたい。落ちた豆を食べるわけにもいかなくて、左手の豆を一気に口に放り込んだ。ゴリゴリという音が骨をつたい、頭で響いた。地球は言っている。「人類は外、人類以外は内」。冗談じゃなくて、人がここを追い出される日は限りなく近い。火星。宇宙。人は逃げ場を探す。地球以上に都合の良い星はないなんて私でもわかる。地球も人様に逆らえなかったみたいだ。時には風を吹かし、時に大粒の水を落とし、大地を揺すってきた。それも敵わず人は崩壊した街を修復し、たちまち発展していった。空には星が見えない。雲はない。月がポツンとある。地球も恒星さながらである。
月は私たちをどう見ているのだろう。地球をどう見ているのだろう。月は知っているのかな。地球の嘆きを。
「寒いや」
体を震わせた私は家に戻った。
「ねぇ、明日は午後から大雨だから傘忘れずにね」
自室へと、階段に足をかけた私に母は言った。
明日、誰か拭ってやってくれよ。こいつの涙。
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