昼夜逆転、目をあけよ

きーち

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全翼

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案の定、今日は快晴だった。一片の曇りない、青空。なんだ、この世界は美しいんだ。とは言うが目に見えないものが地球を覆っている。そう思うと、「上辺だけの人間」というものが恐ろしくなってくる。目に見えない、裏。少し嫌気な言葉に聞こえる、裏。もちろん良い裏もある。私だって裏の1つや2つ。表面だけで生きているはずもない。
寝巻きが故窓から滲み出る冷気が感じ取れる。曇った窓に弧を描いた。指が冷たい。
「天気予報、どうなってんの」
降らなくてよかったけど、逆だったらたまったもんじゃない。全国の主婦が眉間にシワを寄せるだろう。

発表から2日。変わりない日常に不思議を感じる。今朝も月が浮かんでいる。
鳥がさえずる。羽ばたく。どこに行くのか。一度飛んだ鳥はどこをゴールにして飛んでいるのだろう。見たことはない。
私の今のゴールは学校だ。電車に揺られて定時に最寄駅に着く。電車の中で私が何をしていようがゴールは必然に訪れる。揺られていようが、座って位置を確立していようが、寝ていようが。
鳥はいつも同じルートで、同じ場所に向かうのだろうか。鳥世界では電車なんてものはないから、親から授かったその羽をはためかせるほかない。好きであんなに飛んでいるのか。人間は、鳥に憧れた。人は背中に羽が欲しかった。飛行機は人の夢そのものだったに違いない。ライト兄弟は子供の頃、鳥のように空を飛ぶことを夢見ていた。人間を代表して夢を具現化し、体現化した彼らは絶えのない拍手が送られたろう。
そうだ、何故だろう。この危機を人間以外に当てはめるのを忘れている自分がいるのに気づいた。そりゃ人型と鳥では種類は、かたちは違う。しかし、違えど命に変わりなく、秤にかけてどちらに傾くということもない。
「鳥を見ただけなのに」
私は飛ぶ鳥を見ただけで深く、深く物事に考えをめぐらしてしまうようになった。この世界がそうさせたのだ。そして「そうさせる世界」を作り上げたのは紛れもなく人の手であり、人々はそれに今更気付く。世界を汚す手元を見ず、足元に忍び寄る刑罰に気付かない。人は、愚かなものなのだと改めて考えさせられる。無論私も同類である。例えば、暑ければクーラーをつけた。寝ている時でさえそれは駆動し続けた。朝、家を出るギリギリの時間に起きた私は急いで家を出た。それは駆動したままだった。そして家に帰り、異様に冷たい空気に触れる。あぁ、付けっ放しだったんだと。そしてまず後悔する。何を後悔すると思う?。
「クーラー代がまた高くつくよ、」
大抵の人々が気にするのは金銭的問題で、「地球に与えた影響」なんてものは微塵も考えない。どうかしている。住まわせてもらっている癖、部屋を汚す人を誰が許すのか。そんな中で、"立つ鳥跡を濁さず"を徹するのは再生可能エネルギーへの研究を進める人だとか。そして、"鳥"を立たなければならないようにしたのは"ゴミを漁るカラス"の如く燃料を求めては使い、室内温室効果ガスだとか濁流を引き起こした私達だ。綺麗な水鳥達に謝罪は欠かせない。実際それが身を結び、地球に延命を与えている。
カラスと水鳥。人々が嫌うのはどちらだろう。無論カラスだ。述べた通り、ゴミを漁っては荒らす鳥を誰が好き好む。対して水鳥とは静寂を感じさせられる。
あんな、漆黒の汚い羽。

学校に着く頃、私の脳は疲れていた。校門の30メートル手前、電線にて鳴くカラスを見た。

神話に、こんな話がある。カラスの羽は、元々は黒ではなくて銀色だった。では何故今は黒なのか。
貪欲なカラスは、コップに入った水を独占していた。それを見た神様が、カラスからコップを奪い、綺麗な銀色の羽を漆黒に染めてやった。
星座を見てみると、からす座の隣にはコップ座が並んでいる。カラスのくちばしが丁度、ギリギリ届かない所にコップ座があるのだ。

校門まであと20メートル。電線にてカラスが再び鳴いた。
私は妙な嫌気がさした。

カラスは、人に置き換えてもいいかもしれない。
昼夜逆転する日は目と鼻の先だ。出来ることなら早く償いたい。

そして残り僅かな、「陽のある生活」をまた難なく過ごす。

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