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明日、世界が変わる。
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計画が確定されてから、時間は早送りに過ぎた。気づけば、明日はもう昼夜逆転ではないか。それでもあまり焦っていないのは、やはり強制の裏に見いだせる自由だ。1人が自分のことをずっと監視しているのか?。そんなことできるわけがない。まぁ、この世界には法が存在するわけだから、日中に外に出歩くことを禁じる法律くらいできるんだろう。外に出歩くなら警察に腕を掴まれるに決まってる。
しかし、ある日のニュースで言っていた。某私立大学教授のコメンテーターが、「昼に外に出てやる、なんて猛者はいるでしょうが、玄関を出ると足を止めるでしょうね。なにせ、暑いもんですから。人は"死"にとても敏感な生き物ですので。えぇ、まあ鈍かったら困りますけどね。この暑さだと死ぬな、なんて考えが挙がるのは零コンマ何秒の域ですよ」
最後の一言は穏やかだった表情と優しい口調が変わった。
「自殺行為ですよ」と。
--------------------------------------
マスクから白のこぼれる、冷え込んだ朝はこれで最後らしい。そりゃ3月といえどまだ冬が足を伸ばしているから、比較的過ごしやすい。しかし危険な夏になってからの昼夜逆転では遅すぎる。生活リズムの崩壊が人々の健康状態の悪化を促す。要は慣れ、である。だから4ヶ月も前から昼夜逆転計画は始まるのだ。
いつもはホームにてスマホをいじっていた私も、線路や電線やらを眺めていた。向かい側3番ホームに特急電車が通過した。線路と線路の間を生きる雑草が激しく揺れている。さぞかし寒いだろう。電車が通る度、彼らの表情からは嫌気が感じられる。最後の朝が晴れていてよかった。雲をちぎったように程よく散りばめられた青空は絵に描いたみたいだ。最後にふさわしい。
「2番ホームに、電車が参ります」
駅員のアナウンスを聞いた時、私はこの景色をしっかり目に焼き付けようと必死になった。目の前の景色を電車が横切った。軽くない足取りで電車に乗ると、窓越しに再び3番ホームが見えた。よく見ると線路にはペットボトルのキャップがポツンといた。もう見つけられないのだろうか。ギリギリ電車に潰されない所で、動かずにそこにいた。無意識にキャップと"社会からこぼれた人"を重ねた。あんなに落ちた人にはなりたくない。キャップも、"社会からこぼれた人"も言うだろう。落ちたくて落ちたのではない、と。
電車が動いて、キャップは見えなくなった。ホームと同じく私はずっと流れていく景色を目で追っては追った。車内も、外も、静寂だった。いつもは鉤括弧だらけなのになぁ、と車内を見渡した。そして悲しい気持ちになった。全員は手を膝に置いて外を見ていた。私と同じで、悲しい目をしていた。
もう直ぐで目的の駅に着く。最後の朝が終わる。
改札を抜けてからは気づけば席についていた、と言ったところか。まるで記憶がなかった。"昼夜逆転"はそれほどまでに私を変えるのか。1ヶ月前と、今日では全く違っていた。全てが愛おしく感じた。もう朝に葉の上を滑る朝露は見れない。もう昼間の日向ぼっこもできない。
当たり前とは何だ。日常とは何だ。
日常こそが非日常だったという事をこの1ヶ月で全人類が知る。
ただ…………昼と夜が変わるだけなのに。
しかし、ある日のニュースで言っていた。某私立大学教授のコメンテーターが、「昼に外に出てやる、なんて猛者はいるでしょうが、玄関を出ると足を止めるでしょうね。なにせ、暑いもんですから。人は"死"にとても敏感な生き物ですので。えぇ、まあ鈍かったら困りますけどね。この暑さだと死ぬな、なんて考えが挙がるのは零コンマ何秒の域ですよ」
最後の一言は穏やかだった表情と優しい口調が変わった。
「自殺行為ですよ」と。
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マスクから白のこぼれる、冷え込んだ朝はこれで最後らしい。そりゃ3月といえどまだ冬が足を伸ばしているから、比較的過ごしやすい。しかし危険な夏になってからの昼夜逆転では遅すぎる。生活リズムの崩壊が人々の健康状態の悪化を促す。要は慣れ、である。だから4ヶ月も前から昼夜逆転計画は始まるのだ。
いつもはホームにてスマホをいじっていた私も、線路や電線やらを眺めていた。向かい側3番ホームに特急電車が通過した。線路と線路の間を生きる雑草が激しく揺れている。さぞかし寒いだろう。電車が通る度、彼らの表情からは嫌気が感じられる。最後の朝が晴れていてよかった。雲をちぎったように程よく散りばめられた青空は絵に描いたみたいだ。最後にふさわしい。
「2番ホームに、電車が参ります」
駅員のアナウンスを聞いた時、私はこの景色をしっかり目に焼き付けようと必死になった。目の前の景色を電車が横切った。軽くない足取りで電車に乗ると、窓越しに再び3番ホームが見えた。よく見ると線路にはペットボトルのキャップがポツンといた。もう見つけられないのだろうか。ギリギリ電車に潰されない所で、動かずにそこにいた。無意識にキャップと"社会からこぼれた人"を重ねた。あんなに落ちた人にはなりたくない。キャップも、"社会からこぼれた人"も言うだろう。落ちたくて落ちたのではない、と。
電車が動いて、キャップは見えなくなった。ホームと同じく私はずっと流れていく景色を目で追っては追った。車内も、外も、静寂だった。いつもは鉤括弧だらけなのになぁ、と車内を見渡した。そして悲しい気持ちになった。全員は手を膝に置いて外を見ていた。私と同じで、悲しい目をしていた。
もう直ぐで目的の駅に着く。最後の朝が終わる。
改札を抜けてからは気づけば席についていた、と言ったところか。まるで記憶がなかった。"昼夜逆転"はそれほどまでに私を変えるのか。1ヶ月前と、今日では全く違っていた。全てが愛おしく感じた。もう朝に葉の上を滑る朝露は見れない。もう昼間の日向ぼっこもできない。
当たり前とは何だ。日常とは何だ。
日常こそが非日常だったという事をこの1ヶ月で全人類が知る。
ただ…………昼と夜が変わるだけなのに。
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