異世界への迷い人?

大器晩成らしい

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僕が人の声に気付けたって事は、獣達も気付いたって事だ。

獣達の方が、耳がいいのだから。

顔はそっちに向け、唸りながら威嚇しているけど、耳はピクピクさせながら、僕の方へと向いている。

意識を僕に向けたままって・・・器用だね。

逃がす気はさらさら無いって事かな?


・・・そう言えば僕だけ、吼えられたり、唸って威嚇とかされたり、していないかも?

何でだろう?

今思えば、ただただ、大きな身体で道を塞ぎ、意図した方向へ向かわせようと、頑張っていた様にもみえる。

夢で見たのと同じ様に、必ず一箇所だけ逃げられるように開けてあって、山の中へ入る前に、囲まれそうになった時以来、完全に囲ってくる様な事はしない。

連れて行きたい、決まった場所でもあるのかも。

このまま、こっちの方向に走るのは、不味いかも。

僕、無理矢理にでも、この獣達が嫌がる方に向かって走るべき?

何となくだけど、ここまで来ると、僕には攻撃してこないような気もするし。

う~ん。

やっぱり、自分から向かって行くには怖いんだよなぁ、やたらでかいし。

よく、こんなのに、戦いを挑めたな?

立ち向かっていった同級生達には、尊敬するよ。


・・・さっき、助けを求めちゃったけど、これ、大丈夫かな?

人数によっては、救助の人達も、やられちゃう可能性大。

ここで、ちょっと休憩してる間に、いつの間にか獣も増えちゃってるし、さっきの情報、ちょっと間違ってるよね。

1・2・3・・・・28

あ~、もうっ、動くなよ!

数え辛い!!

でも、少なくとも28頭はいる。

ス~

大きく息を吸って、もう一度、大声を張り上げた。

「やっぱいいで~す!!獣は28頭以上に増えてます!!危険ですから逃げて下さ~い」

助けを求めておいて、やっぱいいなんて、何か間抜けっぽいけど、自分の為に、大勢が犠牲になるのは、見たくないからね。

仕方ない。

ふ~、水分も補給できたし、もう一走り、頑張るか・・・

よしっ、行くぞ。

元来た方向に向かって走ってみよう。

大きいから怖いなんて、言ってられない。

とりあえずは、道を開けてもらうのに、ポッケからスプレー缶を取り出し、獣達へと向けて噴霧した。

少量でも効き目があるのは確認済みだから、シュッ、シュッって、短く顔に向けて吹きかけ、狼達が避けて開いた場所を、全力で、走り抜けた。





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