異世界への迷い人?

大器晩成らしい

文字の大きさ
上 下
50 / 242

50

しおりを挟む
「リョウ君、こっちの人にも、同じ様に塗ってもらっていい?」

「はい」

「じゃあ、綺麗にして、アルコール消毒をしちゃうね」

さっきの人の傷が治った理由は、解からない。

でも、怪我人はまだまだいる。

いったん、その件は横におき、次の人の処置をする事にした。

新しい布を盥の水に浸け、軽く絞ってから、血や汚れを拭い、<クリーン>って言うと、布が綺麗に戻り、それをまた水に浸ける。

それを何回か繰り返し、綺麗になったら、脱脂綿にアルコールを滲み込ませ、患部につけていく。

それが済んだら、僕と場所を交換。

僕はさっきと同じ様に、早く治りますようにって祈りながら、痛くないよう、そっと塗っていく。

塗り終わって、全体を見ると、やっぱり傷は消えている。

ほらねって、傍についていた隊員さんを見上げると、目を見開いて、固まっていた。

つんつん

袖を引っ張ると、

「ああ、ごめんね。ちょっとその薬、いいかな?」

掌を出してきたから、その上に乗せると、周囲を見回し〝ちょっと待ってて〟って言って、消毒をしている人の所に行き、何かを話しながらその薬を交換し、薬を塗っている所を少し眺めてから、戻ってきた。

「お待たせ。次に行こう」

「はい」

次の人の傷も深い。

噛み付かれた痕が、痛々しい。

それなのに、噛み千切られる前に、他の人が、首を切り落としてくれたから、良かったって笑ってる。

腕に、その頭をくっつけたまま、この救護所に来たらしい。

ナイフが刺さった時と同じ対処方法のようだ。

二人がかりで、上顎と下顎を掴み、腕から牙を引き抜くと同時に、ポーションを飲まされたから、出血量が少なくてすんだって、怪我の割には、平然としている。

ダークウルフの歯並びがわかるぐらい、はっきりと、穴が開いちゃってるのに。

僕だったら、えぐえぐと泣いてるところだよ。

さっきと同じ様に、消毒まで済ませると、交換してきた軟膏を渡された。

「今度は、この薬でお願いね」

「はい」

さっきと違う薬なのかな?

まぁ、いいか。

早く治りますようにって祈りながら、大きい穴の所は少し多めに、って感じにのせながら、そっと塗りひろげた。




しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

精霊王の契約者

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:4,460

異世界転移なんてしたくないのにくしゃみが止まらないっ!

BL / 連載中 24h.ポイント:327pt お気に入り:7

第1王子に一目惚れされて困ってます!!!

BL / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:207

草刈りおじさん最速で魔王を倒して過去に戻される(仮) 連載版

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:6

新 異世界無料サービスから始まった?異世界冒険だと思う?

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:173

三男のVRMMO記

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:2,658

義弟の引き立て役の僕が、冷酷皇帝に溺愛される

BL / 連載中 24h.ポイント:177pt お気に入り:167

処理中です...