異世界への迷い人?

大器晩成らしい

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「では、リョウさんの結界を、一時解除します」

《膜状結界解除》

セントローレンが結界を解除すると同時に、濃密な香りが溢れ出し、一気に部屋の中を満たした。

たとえようもない程、上品で甘く、それでいて、とてつもなくエロい香り。

密閉された空間に匂いが充満し、毎日嗅いでいた筈の俺達でさえ、くらっとしている。

外はもちろんの事、テントの中でも、入り口から、ある程度の香りは拡散していたのだろう、濃くはあっても、ここまで濃くなる事はなかったのだから。

下半身に熱が溜まって来て、はっきり言って不味い。

俺達でこれなんだから、耐性のない王達は、もっと大変だろう。

「セントローレン、結界を」

王が慌てて、指示を出し、急いでリョウに、膜状結界を張り直させた。


だが、匂いは濃いままだ。

結界を張っても、既に出てしまった匂いが、消えるわけじゃないからな。

それに、一気に濃くはならなくても、もともと、押さえ切れていないのだから、少しずつ漏れてる匂いで、益々、濃くなる一方だろう。

「張り直しましたが・・・どう致しましょう?」

「ここまでとは、思わなかったからな」

「この部屋の結界も、長くは持ちそうにないのですが・・・」

ずっと、魔力を消費しているからな。

いくら、ユーコン様の魔力が多いと言っても、限界はある。

「あの・・・」

おずおずとリョウが手を上げた。

「どうした?リョウ」

「濡れたタオルを振り回すと、匂いがその濡れタオルに吸着するから、部屋の中の匂いとか、消臭できる、って聞いた事が・・・。やった事はないので、どれくらいの効き目があるとかは、判らないのですが・・・」

自信なさげに答えるのが、また何とも、俺達の庇護欲をそそる。

「とりあえず、他に案も無いようですし、試してみましょう。ユーコン様、確か、属性に水を持ってらっしゃいましたよね?濡らして貰ってもいいですか?」

ワゴンの上に敷いてあるタオルと、お手拭用のタオルをユーコン様に渡し、適度に濡らしてもらい、片方をアムールに渡し、リョウが言った通りに、くるくると振り回してみた。








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