シャム猫

大器晩成らしい

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森羅の場合

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俺は口数が少ない。

勉強と弓道しかしてこなかったからだ。

流行にも疎いし、気の利いた事一つ言えない、面白みのない男だ。

昔から、一人でいる事も多かったが、一人が好きな訳じゃない。

知っている人のいない所でなら、自分を一から作って行けるのではないか、友人と呼べる者ができるのではないかと、県外のこの学園に決めた。

全員が寮生活というのにも、ポイントが高かった。

自分の偏差値を知っているから、何処を受けても落ちる事はないだろうと、たいしてこの学園の事を調べずに受験をした。

受験会場での人の多さに、随分と人気の高い学園なんだな、としか思っていなかった。

失敗した。

合格者数と合格者特典を知らなかったのだ。

殆どが、持ち上がりの中、編入生は目立つようで、遠巻きにされているのを、感じる。

人間関係が出来上がっている中に入っていくのは難しいだろうな・・・

知らず、溜息がでる。

入学式、表を見て自分の席に座っていると、廊下のざわつきが大きくなってきた。

何の騒ぎだ?

何気なく廊下の方へ顔を向けると、扉が開き、見た事のない程の美少女が入ってきた。

誰もが驚いて、教室が静まり返る中、一人の生徒がその子に話しかけた。

「おう、湖箔っ、同じクラスだな」

「疾風、おはよう。知ってる奴が居て、よかったよ」

「こいつ、山城湖箔、編入組。俺の友達だからなっ、ちゃんと覚えとけよ!」

威嚇?牽制か・・・

「?編入生って、少ないの?」

「クラスに一人か二人じゃねぇかな」

「あぁ、珍しいのか。何か、すげぇ、見られるから、どこかおかしいのかと思った・・・初めて見る、知らない奴がきたからか」

見られる理由は違うんじゃないか?

いろいろと鈍感そうだ。

それより、この子も編入生らしいのに、気安く話せる友達が、既にできている事が、凄いと思った。

元からの知り合いなのだろうか?

だとしたら、入っていくのは難しいか?・・・
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