シャム猫

大器晩成らしい

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「食事を持ってきたけど、食べる前に、熱測っておこう。はい」

ピッ

ジョエルから電子体温計を受け取り、脇の下に差し込んだ。


ピピピピッ 

計測終了の音が鳴り、腕を持ち上げ、取り出し、何度になってるか、確認した。

「何度だった?」

「37度0分」

「微熱だね。今朝よりは、だいぶ下がってるけど、夜、ぶり返すかもしれないから、油断しないようにしよう」

「はい」

優しく頭を撫でられ、素直に頷いた。

「じゃあ、食べようか」

机の上に置いておいた、トレーを膝の上に載せてくれ、ジョエルもベッドの横に椅子を移動させ、自分の膝の上にトレーを置いた。

「ジョエル、食べ辛くない?」

「少しね。でも、別々の部屋で食べるのは、寂しいかな。せっかく近くにいるんだし、一緒に食べた方が、楽しいからね」

「うん」


「湖箔、夏休みは、実家に帰るのか?」

「帰らないと思う」

実家近くは、皇紀の仲間がうろついてるだろうから、帰るのは拙いと思う。

見つかったら、皇紀の所に、引き摺って行かれそうだし、後を付けられて、ここを突き止められても嫌だ。

長期休暇中、寮が閉まるなら、帰るしかないけど、そうじゃない。

ここの寮は、年中無休で、食堂での食事も提供してくれる。

平日は朝晩、祝日・土日と学園が休みの日は朝昼晩。

平日の昼食だけ、学園内の食堂を利用する事になる。

外出や外泊の届出は、遊び回らない為ってのが1番の理由かもしれないけど、食数を把握する為っていうのもあるのだと思う。


「遊ぶ予定とかは?」

「家族で温泉に行くくらいかな?後で外泊届け出さなくちゃ」

「2泊くらい?」

「3泊4日、迎えに来てもらって、そのまま行く感じ」

「そっか、じゃあ、他の空いている日でいいから、3日間、俺に付き合ってくれない?」

「?3日ですか?・・別にいいですけど、何かあるんですか?」

何か手伝って欲しい事とかあるのかな?

「合宿の時に貰ったチケット、期限が、3ヶ月なんだよね」

合宿の時のチケットって言えば、あれか?

ツイスターゲームの時の優勝商品。

某夢の国、二日分のチケット付き宿泊券×二人分ってやつ。

ここで、その話をするって事は、俺を誘ってるって事だよな?

「俺とでいいの?」

確か、好きな人がいるって言ってた筈。

気付いても貰えないとか何とか。

その人誘ってみなくていいのかな?

・・・あっ、宿泊だから難しいのか?


「もちろん。一緒に行ってくれませんか?」

真剣な顔で気障っぽく、手を差し出された。

これはあれか?

喜んでとかいうのが、正解なのか?

「よろこんで?」

首を傾げて、そっと手を重ねてみた。

「「・・・プッ・フフッ」」

顔を見合わせたら、思わず吹き出しちゃった。


まっ、いっか。

先生と二人だけで旅行とか、考えた事もなかったけど、ジョエルとなら、楽しめそう。






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