シャム猫

大器晩成らしい

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呼び出し

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族のリーダーである、皇紀さんから呼び出しをくらった。

直で呼び出されるなんて、俺、何もしてないよな?

あっ、もしかして、ショップ店員の由実ちゃんとデートばかりして、あまりというか、最近、顔を出していなかったからか?

いつからだっけ?

・・・由実ちゃんを口説き始めた頃から、来てないような?

やばっ。

俺の涙ぐましい努力の結果、由実ちゃんと、やっと、付き合って貰え、浮かれていただけで、族をフェードアウトしようなんて、思ってもいませんからね。


頭の中で、怒られた時の言い訳を考えながら、幹部専用ルームの扉をノックした。

「聡です」

「入れ」

「失礼します」

何を言われるのか、緊張しながら部屋の中へと入った。

「とりあえず、座れ」

皇紀さんの対面にあるソファーヘ座るよう促がされ、ドキドキしながら腰かけた。

「お前に聞きたい事がある」

きたきた。

「はい」

「前、送って来たメールについてだ」

えっ、そっち?

送った後、何の反応もなかったから、すっかり忘れていた。

今頃?

俺、何て書いたっけ?

慌てて、スマホの履歴を探して開き、確認。


「もっと詳しく話せ」

NO.3の篤志さんから差し出されたペットボトルを、恐縮しながら受け取り、喉を湿らせてから、見つけた時の事を、思い出しつつ、質問に答えていった。

皇紀さんの眉間の皺が、どんどん深くなっていって、怖いっす。

「恋人繋ぎしていた?」

「はい、初めから」

そう、俺に見つかってから始めたのではなく、声をかける前からしていた。

声をかけた後も、それとなく様子を見ていたが、ラブラブバカップルを見せつけられただけだった。

優しく肩や腰を引き寄せ、耳元で話しかけ、愛おしそうに見つめては、こめかみや頬にKISSをしていた。

それがまた、絵になっている。

流石外人、俺には出来ない芸当だ。


あ~、そういえば、口にもキスしてたな~

お土産コーナーで見た、一連の出来事を話したら、

「・・・湖箔である可能性は低いな」

そう言いながら、首を横に振っていたが、白雪という名について、偽名じゃないと思った根拠をしつこく訊かれた。


他にもいろいろと聞かれたが、結局、最近顔を出していなかった事に対して、一切、問われる事はなかった。

・・・もしかして、いなかった事に、気付かれていない?

良かったんだか、悪かったんだか、それはそれで、複雑なんだけど。


「分かった。もう下がっていい」

「はい、失礼しました」

飲みかけのペットボトルを手に、部屋を後にした。



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