シャム猫

大器晩成らしい

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紫艶の場合11

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食堂で並んでいる時、湖箔の態度に違和感を覚えた。

席を探しているようで、そうじゃないような。

前が随分空いた事を指摘すると、ごめんといい、前を詰める。

誰かを捜しているのか?

態度にあまり出さないようにしているからか、判り辛いが、見当たらなくて、がっかりしている?そんな風に感じる。


トレーを受け取り、空いている席に向かう。

端から俺、湖箔、俺の前に疾風、湖箔の前に森羅って具合に座った。

座って直ぐ、林間学校時の体験学習希望調査アンケートを提出したか、訊かれた。

正直、どれでもいいと思うが、どうせなら、湖箔達と同じにしようと思って、提出しないでおいた。

そして、湖箔達も、クラスが違うのに、ちゃんと俺も、頭数に入れていて、希望を訊いてくれた上、3人共、用紙を提出しないでいてくれた事が分かって、何か、胸がむず痒く感じた。

要するに、嬉しいって事だ。


話しが決まった丁度そのタイミングで、ジョエルが、湖箔に声をかけた。

「楽しそうだね。隣いい?」

「どうぞ」

湖箔が、ジョエルを見て、口角を上げたのを見て、またしても、小さな違和感。

何か、以前とは、二人の間に漂う雰囲気が、変わったような?・・・

感覚的なものだから、あくまで、感じるという程度なんだが、気になるといったら気になる。


ジョエルとも林間学校の話から、ウォークラリーの話になり、湖箔には地図は任せられないという話になった。

本人がクイズだけ頑張ると言った事に対し、全員で揃って肯定したら、盛大に拗ねて、プイッと横を向いてしまった。

なのに、少し黙って考える素振りをした後、横を向いたまま、疾風と森羅に、「置いて行かないでね」と、耳を赤く染めながら小声で告げるとは、腕を上げたな。

デレ具合が、可愛いな、おい。

これは堪らない。

周りの奴等も、顔に手を当て、身悶えている。

こいつら全員、俺達の会話に意識を向けていたのか?

結構小さな声だったのに、聞こえていたのか・・・

凄ぇ耳、良すぎ。





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